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第9章-第85話 ひしょはむずかしい

お読み頂きましてありがとうございます。

「大したこと無かったな。」


 飛行試験は無事に終了した。


「ロシア軍機2機、中国軍機3機を混乱に落として、それを言いますか。」


 竹島付近でロシア軍機、初島付近で中国軍機に出会った。


 案の定、友軍の戦闘機の位置さえ分からずニアミス寸前だった。


 自動操縦を解除して周辺空域を飛びながら、渚佑子に非常脱出装置で飛び出した乗員の救助と墜落地点で着水寸前の戦闘機を『箱』スキルに回収するように指示したのだ。


「千代子。渚佑子の前だぞ。」


「・・・うっ。発言の自由くらい認めてください。」


「認めない訳じゃ無いが自制しろと言っているんだ。口の根が渇かないうちに言うことじゃないだろ。全く。業務に支障が出ない程度のお仕置きを頼む。」


 渚佑子の期待の眼差しに、つい指示してしまった。


「すみません。ごめんなさい。もう言いません。」


「ダメだな。Xデーがいつ来ても良いように秘書室は人員を3倍に増やす。3度目は無いと思えよ。」


 これぐらい脅しておけばいいか。


「・・・う、うっ・・・うううう。」


 那須くんに教えて貰ったが人が泣くときは汗が分泌されるらしい。それなのに汗かきの千代子さんの額に汗が浮いていない。嘘泣きだな。腹芸かよ器用なやつだ。


「泣き真似してもダメだ。・・・渚佑子。戦闘機は海域に着水したことにして回収できたし、人命救助も出来たんだから上出来だ。」


 後は寄港先から解放するだけだ。彼らには本国で証言して貰わなければならないし、相手国に恩を売ることもできる。


 しかもほぼ無傷の戦闘機が2機だ。アメリカ軍は幾らで買ってくれるだろうか。


「なんで解ったんですか、・・・ナスシンですね。」


 もうスキルの内容をペラペラと喋って、いや上手いこと言って聞き出したんだろう。そんなに親しくしているのか拙いな。那須くんは影響を受けやすいからな。


「那須くんに会うことも禁じる。お前の相手をさせたら悪影響だ。」


「酷・・・・・・。」


 渚佑子が千代子さんの前に立ちはだかる。流石の千代子さんも言葉を噤んだようだ。


「しかし、南北朝鮮は何も仕掛けて来なかったな。」


 アメリカ軍が朝鮮半島から撤退してから、南北朝鮮は統一するする言いながら出来ないでいる。南朝鮮は北朝鮮から一方的に搾取され続けているのが現状だ。


 しかも世界中でワガママを言い続けてきたツケから、貿易の枠組みに参加させて貰えない状況だ。


 それでも国を維持出来ているのは日本との優遇貿易によるものなのだが、相変わらず日本にはワガママ言い放題なのだ。


「北朝鮮は軍が報告を上層部に上げていない模様ですが、南朝鮮は未だに混乱状態に陥っているようです。」


 恨みがましく視線を向けてくる千代子さんの代わりに渚佑子が答えてくれた。別に真面目に仕事の話をする分には構わないんだがなあ。ツッコミや軽口を叩かなければいいのだ。


 なるほどレーダー施設が使えなくなったと報告などしたら北朝鮮の担当者は粛清されるに違いない。今頃、責任の押し付けあいをしているのかもしれんな。


 南朝鮮は日本からの情報は不要と言い続けており、アメリカ軍も碌に情報を渡して無い。だが軍事施設は整っているから、時間は掛かるが結論にたどり着くだろう。


 まあ日本に優れた技術があることを認めるか否かは解らないが、その時点で北朝鮮にも情報が流れるだろう。


「千代子。中国、ロシアに大使館を通さずに連絡を入れろ。」


 鷹山首相を信用するしない以前に自衛隊やマスコミに嗅ぎつけられないようにすることが大事だ。情報が漏れるのは仕方が無いがそれは遅ければ遅いほうが良い、


 出来る限り相手国の面目を保ちつつ交渉にあたる必要があるのだ。


 既にスペースコロニー計画で各国とのパイプも出来つつある。相手国も海面に着水した戦闘機に関する詳しい情報を握っている乗員は早く返して欲しいところだろう。無視することはあるまい。


「・・・・・・・。」


「どうした。誰が黙り込めと言った。仕事だぞ。出来る限り自分で考え承認を取り行動に移す。それとも今すぐクビにして欲しいのか?」


「わ、解りました。内部ネットワークを管理するさつき奥様に連絡を取り、ご相談致します。」


 このところ体調が悪そうなさつきに仕事をさせたくないのだが、そうも言っていられない。


「それでいいぞ。問題無い。それから時間がある時で構わないから、渚佑子に秘書としての基礎を教えてやってくれ。」



「そ、それは。私の代わりですか。」


「違う違う。渚佑子はボディーガードとして待機しているときに秘書と間違われることが多いんだが基本的な受け答えも出来なくて話にならんのだ。よろしく頼むよ。」


 今回のような出先での秘書業務を代行したいというのが渚佑子の希望だ。


「それなら、智弘くんのほうが適任では無いでしょうか。」


「お前がトモヒロくんに秘書業務を教えて、渚佑子に教えさせるのか。それができればベストだが時期尚早だ。まだ17歳なんだぞ。将来、何をやりたいのかも決めかねている時期だ。今はそっとしておこう。」


 実は以前、俺が逮捕されるという情報を掴み、社長代行として加納家から借り受けたときに、ふっかけられたのだ。時給1000万円とかどうなんだと思うが誰も代わりが居なかったので仕方なしに払ったのだ。


 自分の意思で俺の会社で働く分には何も言わないらしいが、強制的に借り受ける場合は必要な費用なのだ。だから素直に高校卒業まで待つことにしているのだ。

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