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第9章-第83話 はんがーでっきにて

お読み頂きましてありがとうございます。

「ここがフライトデッキだ。このハンガー掛けに魔法の袋の端を掛けていくんだ。」


 魔法の袋の使い方は同じだ。取り出したいモノの思い浮かべて、袋の中に手を差し入れ、取り出すと念じるだけだ。


「半分しか出ていませんが。」


 魔法の袋からは戦闘機の前方部分から主翼に掛けて飛び出していた。


 それはそうだ。モノが出て来たとしてもそこから移動できなければ、全てを取り出せないのだ。どんな人間だろうと戦闘機を持ち上げられない。


「自分の足があるんだから出せる。」


「足?」


「そうだ。この戦闘機の場合、翼から車輪が付いた車軸が出ているだろう。」


 魔法の袋に入れる際にも後ろ半分まで覆うようにしてから、車軸を持って入れと念じたのだ。


「それでどうするんですか?」


「しゃがんで持ちやすい位置に三角の戻るボタンと進むボタンがあるから進むボタンを押すんだ。」


 魔法の袋を持って、戦闘機に手を触れた状態で入れと念じるだけで入るので戻るボタンを普通は使わないんだが、魔法の袋を知らない人間が戦闘機を袋に収納するためにあるのだ。


「押しました。・・・あ痛。」


 ボタンを押してからしばらくすると前に移動する。ボタンを押してから翼の下から顔を上げた千代子さんの頭に前に進んできた翼がぶつかる。


「バカだな。翼の前に立っていればぶつかる。良かったな。車輪に踏み潰されていたら死んでいたぞ。」


 戦闘機に安全装置は付いてないので何かにぶつかったとしても停まらないのだ。


「笑い事ですかっ。それにしても見たことが無い形の機体ですね。」


「戦闘機の機体は詳しいのか?」


 女性なのに戦闘機に詳しいなんて思わなかったな。


「紙飛行機の原型にするために調べましたから。本当に飛ぶんですか?」


 なるほどな。でもこの機体は戦闘機として最悪の風洞テストだったというから候補にも上がらなかったに違いない。


「失礼なヤツだな。結構有名なんだぞ。F117ナイトホークが原型だ。いわゆるステルス機ってヤツだ。」


 無人機だから出っ張りも無い。紙飛行機というにはやや厚いが1枚の板だ。骨組はオリハルコンを使用しているが殆ど木製なのだ。


 夜鷹なんてゴロが悪くて後で何を言われるか想像つくけど、隼鷹に搭載するならピッタリだ。


「でも真っ白な機体じゃないですかステルス機って真っ黒なんでしょ。」


「ああコイツは昼間の作戦に使うから真っ白にした。エンジンもコックピットも全部、空間連結魔法で外付けだ。だからタンカー内部のフライトシミュレーターから操縦できるようになっている。」


 翼の制御は元々ワイヤーに寄るもので自動制御も含め電子機器は全て空間連結魔法で外付けされている。これだけでもレーダーに殆ど写らない。ジェットエンジンの排気口が赤外線レーダーに引っ掛かるくらいだ。


「搭載兵器は爆弾ですかミサイルですか?」


「何も載せてないよ。空母に転用可能とはいえ、今は民間のタンカーだ。この戦闘機以外は空母に転用後外部から持ち込まれる。」


 機関銃は載せられるように設計されているが今は載せてない。


「じゃあ今は役立たずですか。」


「ステルス機だと言っただろうが、機体には反転の魔法陣が組み込まれていてレーダーがこの機体を捉えると発射した電波の一切合切が発射した場所に戻るんだ。レーダーの表示板は真っ白だな。」


 これ1機が空を飛べば地上のレーダー施設は役立たずだ。その間、他の戦闘機が領空侵犯し放題ということである。


「やっぱり役立たずじゃないですか。」


 酷いっ。


「1度試験的に飛ばして抑止力して使う。これで俺を怒らせる国があれば攻め滅ぼすことも可能だからな。」


 この戦闘機の有用性に気付いたとき戦慄を覚えるに違いない。各国の軍のトップがこんなものを民間企業が持っていると知ったら、どんな顔をするかな。少なくともその得体のしれなさに慎重に事を進めるだろう。


「アメリカ軍と組んでですか?」


 侵略兵器としては核兵器を上回る戦力となりえる兵器だ。だから専守防衛の日本では使えないので有事の際にはアメリカ軍の傘下に入れるようにしてあるのだ。


「そうだ。今、民間のタンカーに搭載してるのも地球上の軍事バランスを揺るがしかねないからだ。兵器として使うんだったら国連の多国籍軍かな。明日、秋田県沖に出たところで飛行試験を行う。」


「明日の朝、佐渡島に到着する前ですか?」


「ああ。既に世界各国には飛行試験のことは伝えてある。」


「もしかして六菱航空機から出したテスト飛行のことですか?」


「そうだ。次世代機のテスト飛行としてある。もちろん、アメリカ軍と自衛隊にはレーダーを使わないよう伝達される手筈になっているはずだがな。」


「はず・・・って。誰かが情報を漏らすということですか。」


「民間企業だしな。反転魔法陣は俺と渚佑子で設置したから漏れないだろうがステルス機というのは漏れると思っている。」


「まさか意図的に漏らしたとか。」


「そうとも言うかな。興味を持てば、あらゆるレーダーを使って機影を捉えようとするだろう。誰かが裏切ればすぐに解る仕組みだ。」


 渚佑子の『知識』スキルを使い、各国の報告書を入手すれば評価も必要無さそうだ。


「本当にアメリカ軍や自衛隊が裏切ると。」


「2・3の部署で済めばいいが。どちらの国のシビリアンコントロールの方が統制が取れているかだ。文民統制など絵に描いた餅だからな。自衛隊の専守防衛も怪しいもんだ。」



ハンガーデッキとは戦闘機を格納し、エレベーターにて送り出すところですが

この空母隼鷹の場合、フライトデッキの後部にある戦闘機を出し入れするための魔法の袋を掛けるハンガー掛けの場所です。

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