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第8章-第78話 ぎねん

お読み頂きましてありがとうございます。

「娘のロイザーよ。」


 まずは親子の対面が先だ。


「こ、これは・・・。」


「お母様に似ているでしょ。隔世遺伝ね。」


 ナツキやアキエやクリスもそうだったが、子供たちは誰も俺に殆ど似ていない。ナツキなんかCEOの赤ちゃんの頃とソックリだそうで、今から禿げるだろうと言われている。俺の容姿は劣勢遺伝子のようなのだ。


 しかし、ここまで俺の容姿の影も形も無いと本当に俺の子供だろうかと疑ってしまうな。それほどローズ婆さんにソックリだったのである。


 丁度、この子が生まれるのと前後してローズ婆さんは亡くなっている。アポロディーナのようにローズ婆さんが前世だったりしないだろうか。


 死ぬまで、俺とエッチすることに固執していたらしいからな。今にも化けて出てきそうだ。


「この人が世界を救ったお父様?」


 ローズ婆さんと同じ顔をした娘が上目遣いですり寄ってくる。行動パターンも同じだ。


「そうよ。次はいつ来てくださるか解らないから、言いたいことがあれば言っておくのよ。」


 アポロという神話の中の人物に操られたアポロディーナが災害を引き起こしていたという裏がアリアリの結末で真実は歴史上闇葬られたが表面上は俺が世界を救ったことになっているらしい。


 実にアポロディーナの能力は素晴らしい。高層マンションの地下に100万人規模のシェルターを完成させてしまった。しかも、その下には光ファイバーを引き、10万人分の食糧生産が可能な農場まで作成したのだ。


 これで宇宙人が攻めて来たとしても長期間籠城可能になっている。


「抗議だろうが、要望だろうが、俺に叶えられることなら、何でも言ってくれ。」


 そんなことで150年放置した隙間が埋まるとは思わないが、出来るだけのことはしてやりたい。


 それにクリスティーの次の王なのだ。頻繁に『召喚』されても困るからな。


 この世界の『召喚』魔法を使うには30人以上の魔術師と召喚の間が必要なため、この国の王しか行えないのだ。


「じゃあ、私にも子種をちょうだい。」


 思わず部屋の端まで『移動』してしまった。まさか、本当にローズ婆さんの生まれ変わりなのだろうか。


「なんで逃げるのよ!」


 ローズ婆さんの顔した娘が駆け寄ってくる。


「お前は俺の子供なんだぞ!」


「なんだ。そんなことなの。クロナスなんてゼススの父親であり、祖父であり、曾祖父なのよ。」


 またしても神話の世界の人物が登場してくる。如何にもそれっぽい。クロナスは娘や孫娘とエッチしたらしい。やっぱり渚佑子を連れて来なかったのは失敗だった。


「無理だ。我が国では近親相姦は禁忌とされているんだ。何でそんなことを考えているんだ。」


 あくまで日本での話だ。チバラギだと違ってくる。考えたくも無いが過去には同じように初代国王を目指して純血主義を唱えて近親結婚を続けた例もあったのだが、皆さん失敗している。


 それはそうだ。


 レベルアップの際の思いに左右されるのだからな。


「ええっ。だってぇ。私は直系のはずなのに魔法が使えないんだもの。」


「おい。ちょっと待て! クリスティー! お前にだけは、『魔術師』になる秘訣を教えたよな。」


 確かダンジョンの中で次に敵を倒せばレベルアップするタイミングを渚佑子の『鑑定』スキルで確認。『魔術師』になると思い込ませたまま、皆で押さえつけた敵をクリスティーに殺させたことがあったはずだ。


 クリスティーには詳細に説明しないと納得してくれないため、全てのカラクリを教えたはずだ。


「あっ。」


 あっ・・・じゃねえだろう。あのとき一般には広めるなとは言ったが自分の子供の時に使わずして何時使うんだ。そういえば息子のクリスも違う職業だったな。


 あいつは俺が嫌いで別の職業を選んだんだと思ったんだが違うのか。もしかして、あいつが俺を嫌う要因の一つなんじゃあ・・・。


「これで万事解決だな。面倒だから俺の滞在中はクリスティーが相手しろ。」


「ええっ。何処が解決しているの?」


「まだ解らないのか。代々口伝で伝えていっているんだろうな。『魔術師』になれると思い続ければなれるという秘密を。代々『魔術師』を輩出しているのは、クリスティーがレベルアップの際に『魔術師』になれた場面に立ち会った面々だろう。」


「・・・・・・・・そういえば・・・そうかも。」


「だから、俺の子供であるロイザーが『魔術師』では無いことを発表すれば、口伝が間違いで偶然『魔術師』になったと思い込むと思うぞ。」


 1度でも疑念が生まれれば継承を躊躇するはずだ。数百年単位の時が流れれば消えうせるに違いない。

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