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第7章-第60話 けいじばつ

お読み頂きましてありがとうございます。

「財務大臣。では、普通の人々が性少数者と偽った場合、適用されると仰るのですね。」


 予算委員会で先の衆院議員選挙で野党第1党に躍り出た護憲民主党の土居党首が得意そうな顔で質問を連発している。


『財務大臣 山田トムくん。』


 このくん呼びは馴れないな。まるで小学生になった気分だ。


 質問されているのは俺だ。質問内容は性少数者を差別した場合に個人には刑事罰、法人には行政指導が課せられる法律について、差別を受けた人の対象範囲を質問されたため、自称した人間であると答えたのだが相手はアホな質問を繰り返してきた、


「まず最初に性少数者は普通の人間です。質問内容を訂正頂きたい。」


 またかよ。


 党を代表するような人々は50代以上なためか、性少数者に対する差別意識が強く質問内容自体に差別発言と取れる内容が含まれ、自滅している。


『土居亘くん。』


「財務大臣。はぐらかさないで頂きたい。本物の性少数者も偽者の性少数者も適用するということでしょうか?」


 差別発言に気付いたのであろう。ご機嫌だった土居党首がイライラした様子に口早に質問を繰り返してくる。夕刊の新聞の一面記事は決まったな。


「偽者の性少数者などという人間は世の中に存在しません。自称すれば皆性少数者です。この法律では人の心まで縛れません。性少数者であると自称した場合に親、配偶者、子供、友人といった人々に嫌われる可能性があります。面と向って縁を切る人は居ないと思いますが、疎遠になることはあるでしょう。そんなリスクを侵してまで性少数者であると偽る人間が何処にいるというのでしょう。」


 例えば名誉を毀損するような事を公的に発言された場合、今まで民事訴訟でしか取り扱わなかったが、本人の申し出により、逮捕起訴されると最大禁固6ヶ月の刑事罰を与えれることになる。法人の場合は法人に差別が無かったことを証明する義務が課せられ、青色申告停止など厳しい行政処分が待ち受けている。


「そんな些細なことで冤罪事件を作り出すと仰るのですね。質問を終ります。」


 紋切り口調で質問を終らせられてしまった。些細なことでも無い。民事訴訟で立件できるのだから、冤罪事件でも無いのだがなあ。まあ後の記者会見で説明すればいいだろう。


 トモヒロくんによれば、DNAが男性のトランスジェンダーが女性向けの服を着て、嗜好が良く似た人が集まる飲食店で、見知らぬ男性から突然、痴漢行為を受けたりするらしい。


 男が好きな男だから女装をする。女性に見られたがっている。痴漢することで女性扱いをしてやる。


 この行為の根源には、そういった差別意識があるそうだ。確かに同性愛指向のあるトランスジェンダーが居るらしいのだが、それはゲイセクシャルやバイセクシャルであって、トランスジェンダーであることとは何も関わりが無い。


 女装をする人は、似合うからする男性や女性の服を着た自分を鏡で見るのが好きな人、同じ嗜好を持つ人と交流を持つためにする人、心が女性で心の思うままに女性の服を着る人など、多様な人々たちだという。


 さらにやっかいなのだがトランスジェンダーの中にも、そういった考え方が蔓延っている。


 でも考えて欲しい。飲み屋で隣に座っただけの関係の女性に対して男性を痴漢を行えば、それは立派な犯罪だ。


 酔っていたなんて言い訳は役に立たない。恋人のような女性に味方する男性が居れば殴られるだろうし、店員から即座に店から追い出されるだろう。


 それが普通なのだ。


 トランスジェンダーだというだけで、犯罪にならないなんて考え方は間違っている。


 飲食店のトランスジェンダーの店員はそういう嗜好のトランスジェンダーでは無い客を相手に商売をしており、多少の行為では騒がず、日々の糧を得る手段としていることがまかり通ってしまっている。


 そのためトランスジェンダーの店員の中には、トランスジェンダーの客に対して、女性に見られているんだからという理由で我慢を強いる人間も居るらしい。


 またトランスジェンダーの客側も男性として生活してきているので、そういった思考が理解できるので我慢してしまう。


 そして痴漢行為がまかり通ってしまった男性はさらにトランスジェンダー相手ならばしても良いと誤解してしまう。


 本当に嫌だと思ったトランスジェンダーが痴漢した男性を訴え、この法律により刑が重くなり、この悪循環が断ち切られることを切に願うものである。


 そういえば、俺の会社にも同じような差別意識がある。被害者は俺。加害者は女性社員だ。


 見知らぬ社員に通りすがりに尻を撫でられるなんて日常茶飯事だし、会議室で2人になれば抱きついてくる。


 常々社長や管理職は社員に奉仕して、気持ち良く働いて貰うように指導していることが裏目に出ているらしい。社内のセクシャルハラスメントの規則を作ろうとする度に女性社員の抵抗にあって頓挫している。


 それに日常的にハグされることが多くなってきている。当然、相手は親しい友人なので嫌な顔もできない。


 社長は社員が好き。セクハラされることが好き。女性社員なら社長をセクハラしてもいい。


 そう思われているに違いない。


 俺は性少数者では無いので、この法律には守られない。だから、なんとしてでも社内にセクシャルハラスメントの規則を作り上げてやる。


 そう心に誓うのだった。


性少数者に対する差別意識。

何処まで理解して貰えるんだろう。

貴方が男性なら、妻や娘が痴漢を受けたら嫌ですよね。

トランスジェンダーを恋人に持つ男性だって嫌なんです。

ましてトランスジェンダー本人は、物凄く嫌なはず、喧嘩が強いトランスジェンダーならば殴りかかっても可笑しくない。

怪我を負わせてしまった場合、刑を受けるのはトランスジェンダーだという理不尽まである。


この話を聞いたとき自分の中にも、そういった差別意識があることに気付き、今も葛藤しています。

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