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第5章-第40話 政界再編

お読み頂きましてありがとうございます。


魑魅魍魎な政界話はできるだけ短くしたいので「宇宙開発編」の一部にします。

「大野沢って誰だ。アポイントメントは?」


 留置場から戻った日は引っ切り無しの電話対応に追われていた。その大半が俺の声を聞くだけで安心してくれたようだったので良かったのだが大統領には呆れたので、ホットラインが繋がっても無視だ。


「民主政治党前幹事長の大野沢信行氏のようです。アポイントメントはございません。」


「千代子。何度も言うが、今日はアポの無い来客には会わない。ヴァーチャルリアリティ時空間で頭は休めたが、身体はまだしんどいんだ。この年齢になって貫徹なんぞやるもんじゃないな。」


 少々大袈裟に欠伸をしてみせる。


 留置場から戻ってきてからヴァーチャルリアリティ時空間内時間で1日、日本時間で3時間程で頭を休ませ、状況を整理してから戻ってきている。チビ女神に強化された所為か体調も万全だ。


 本当はさつきのところへ行って労いの言葉を掛けたいところだが、これからやってくるに違いない有象無象のやっかいごとを考えると、そうも言って居られないところだ。


 暫くすればホワイトハウスの空間連結してある扉から戻ってくるだろう。


「でも前幹事長ですよ。本当に会わなくて良いんですか?」


 千代子さんって、時々ミーハーというか権力におもねるというか。俺の優先順位を無視してくる。まあZiphoneの秘書だったんだから当然か。


「ああ、民主政治党なら窓口は鷹山首相だけだ。先程も『どうしよう』って泣きつきのホットラインが入ったばかりだぞ。何かあるならその時に言っているだろう。そうだ一星テレビから政治部の記者が常駐しているはずだから行かせろ。言えるような用件なら記者に話すだろう。」


「それでは、敵対姿勢と見られてしまいますよ。」


「構わん。そんな輩と会うくらいなら従業員たちの前に行って安心させてやりたいんだ。」


「でも、そうは言って居られないみたいですよ。」


 千代子さんが冷たい眼差しを社長室の扉に投げかける。


 社長室の外側から受付嬢と男の押し問答が聞こえてきたのだ。


「俺は逃げるぞ。渚佑子。まずは社内であの男と出会わないようにルートを確保してくれ。後は都内の各店舗を回る。それぞれ5分くらいだ。千代子、後は任せたぞ。」

















「今度は野党護憲民主党の党首なのか。どうなっているんだ!」


 1日で東日本の職場を回りきり、今日は西日本の職場を回るつもりで本社に立ち寄ってみると今度は野党第一党の党首が待ち構えていた。


「社長を政界再編の旗頭にしようとしているんじゃないでしょうか。」


 千代子さんが冷静な顔で進言してくる。


「鷹山首相が友達扱いする俺を政界再編の旗頭だと。しかも昨日訪ねてきたのは与党内でも親鷹山派と言われる大野沢派の領袖だぞ。」


 大野沢派は先の党首選挙でも早々と鷹山首相を推して派閥から大臣を多数出している。その派閥が首相を裏切るだろうと千代子さんは言っているのだ。


 確かに野党は首相が戻り次第開かれる臨時国会で不信任案を提出すると息巻いており、与党内の反鷹山派に属する議員たちの内、幾人かは首相の責任論を展開しているし、反旗を翻しそうな様相を呈している。


「ですが・・・。」


 まあ確かにアメリカの信任を得ている俺を旗頭にすればできないことはないだろうが絶対に嫌だ。


「それが本当なら嫌だな。渚佑子、野党が5回は潰れそうなネタを掴んでおいてくれ。」


「了解しました。」


 傍に控えていた渚佑子が頷く。心当たりがあるらしい。


「えっ。意外・・・。」


「さっきから、ブツブツと失礼なことを言っているぞ千代子。」


「社長って、破壊魔だと思っていたので・・・いやいや、そうじゃないですか。市場の秩序を破壊し正論をゴリ押しして新たな市場を生むのが社長のやり方。」


 破壊魔ってマイヤーじゃあるまいし、あまりの言い方に俺が千代子を睨みつけると慌てて言いなおした。あまり変わらんが。


「古今東西、市場の生み出し方なんて同じだよ。市場原理が働いて破壊されるか。法律が変わって破壊されるかの違いであって、破壊なくしては誕生もありえないさ。だが政界は違う。政界再編なんぞあってもらっては困るのが財界の一致した意見だ。」


 戦後日本では何度か政権与党が野党に下っているが、市場に企業に労働者に良かったことなど一度も無い。それなのに選挙民は夢を抱いてしまうのだ。


 消費税増税に反対を唱えて政界再編を成し遂げた野党の党首が首相に就いた途端に消費税増税を決めたり、労働組合から官僚のミスを情報として吸い上げ、与党の責任論に持ち込んだ野党が政権に就いた途端、財源無しにバラマキを始めて増税を決めるなど、碌なことをしないのだ。


 政権与党が長期的持続的に日本経済に対してやってくれることこそが人々に安定をもたらしているということがわからないらしく。短期的に景気が良くなる方向にばかり進みたがるのである。困ったものだ。

消費税増税を調べていて、面白いことに気付きました。

5%に上げると決めたときも8%10%上げると決めたときも政権交代後の元野党の首相なんですね。


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