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第4章-第28話 ドタバタ劇

お読み頂きましてありがとうございます。

「さつきはナツキと一緒にチバラギに居ないのか?」


 チバラギの後宮も久しぶりだ。万が一のことを考え、長女アキエと元妻、長男ナツキとさつきを後宮に避難させたのだが、さつきは俺について日本に戻るときかないのだ。


「万が一のことが無いように最善の手を尽くさないと気がすまないんです。」


「そうは言ってもなあ。相手が誰か解っていないだろ。」


 今回のことで俺が城だと思っていたものが砂上の楼閣だと気付いたのだ。力押しされれば相手を叩き潰せば済むが今回のように相手が解らず真綿で首を絞めるようなやり方をされたのでは対処のしようが無いのだ。


「ですから、こちらに味方する人々が総力を結集して全力で叩き潰すんです。」


「怖いな。大山鳴動して鼠一匹だったらどうするつもりだ?」


 相手がアメリカ大統領以上の権力を持っているとは思わないのでそうなる可能性が高いのだ。だから最後の最後まで助けは求めないつもりだったのだが、さつきは横に連携させるつもりのようだ。


「あちらの世界が貴方を失うよりもずっといいはずです。」


「解った。横のネットワークは元々君たちのものだからな。口は出すまい。そう心配するな。渚佑子が向こう側につかない限り、最悪の事態にはならないさ。」


「渚佑子さんを疑ってらっしゃるんですか?」


「いいや。彼女ならこんな回りくどい手段は使わないな。いや彼女の掌の上で踊っているだけかもしれん。始終、睨まれているからな。そろそろ愛想が尽きるかもしれんと思ってな。」


 彼女なら俺の息の根を止めることなど容易い。俺が一番苦しむ手段を見つけることも容易い。冷酷な彼女ならそれを実行することも容易いはずだ。


「ありえません。」


「まあそうなっても仕方が無いほど、扱き使ってきたからな。」


 はっきり言って彼女さえいれば、相手が銀河連邦だろうと蹴散らせるかもしれない。そうなれば俺は不用ということだ。


「本気で言っているんですか!」


 仕舞いにはさつきが怒り出した・・・が、俺が笑いながら言っていることに気付いたのだろう。すぐに笑顔に戻る。


「いや多分本気じゃない。最悪のケースを想定しているだけだ。」


     ☆


「バカじゃないのか?」


 てっきり日本シリーズが終ってから、逮捕しにくるとばかり思っていたのだが第5戦が行われる日に逮捕状が発行されたらしい。


 第5戦の先発として既に俺の名前が挙げられており、競技を妨害するようなタイミングだ。


 その動きは事前にテレビ局各社が捉えているようで心配した一星テレビを抱えるスターグループのオーナーである井筒さんが会社に現われたのである。


「特に日々テレビが積極的に報道するようで、東京地検特捜部前とこのマンションの前で2元中継を行うみたいです。」


「一星さんは中立だよな。」


 Ziphoneグループというスポンサーの手前、基本報道各社は中立的立場を取るはずだ。


「全く報道しないことも考えているですが・・・。」


「それは止めたほうがいい。できれば積極的に動いて欲しい。この件の黒幕が解り次第、情報を提供するつもりだ。」


「黒幕が居るんですか?」


「ああ首相の居ないこのタイミング。縦割りのはずの官僚組織が協調して動いていることから見ても、この日本を裏から牛耳っている人物が居るはずだ。」


「相手は何をしたいんでしょうか。貴方の日本での社会的イメージの下落・・・は無いですよね。」


「まあな。元々俺にはダークなイメージが付き纏っているからな。傘下の会社の一時的な株価の下落・・・も考え難い。今期の利益をフイにしても自己株式取得に走ることになるだろう。」


「では貴方を拘束することが目的では?」


「そうなんだろうな。留置場内で命を狙われることになるのかもな。俺に死んで欲しい輩か。」


「心当たりは?」


「星の数ほどあるな。味方も増えたが敵も増えただろうからな。」


 マンションの管理人として渚佑子が公式に警察に突き出している数だけでも年間100人を下らないはずだ。マンションにケント王子が滞在されているときはMI6に引き渡しているし、アメリカ大統領が滞在されているときはCIAに引き渡しているからおそらく数倍にのぼっているはず。


 闇の世界の人間たちは渚佑子が裏で処理しているのだろう。その数は計り知れない。


 日本国内では滅多にタチの悪い輩に絡まれることもないから、その存在を忘れがちだが繁華街に出店しても出会わないから確実に処理されているらしい。


「見えてきましたね。」


 日々テレビの映像にこのマンションが姿を現した。アナウンサーは日本の九龍城砦といった聞くに堪えない言葉を連発している。数々の魔法陣が設置してある所為で空間が歪み視認しにくい状態になっているのは確かだ。


「日々テレビへの訴訟の準備も必要そうだな。」


 そのままテレビ映像を追っているとパトカーがマンション駐車場の入口に対して、まるでバリケードを破るように突っ込んできた。


「危ない!」


 パトカーに俺に対して悪意を持つ人物が乗っていたらしく。結界の魔法陣の効果なのか、何もないところでパトカーが横転し歩道を歩いていたランドセルを背負った小学生の列に突っ込んだのだ。

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