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第3章-第27話 うらぎりもの

お読み頂きましてありがとうございます。

「なんでですか!」


 渚佑子の『知識』スキルにより、逮捕状の請求の書類が作られたことを知った俺は、お義父さんのところへ辞表を提出に来たのだが受理して貰えなかった。


「小手先の手段は使いたくはないのじゃ。それに海外で裏切り者扱いされるほうがダメージが大きい。」


 確かに小手先の手段だ。少しでもZiphoneの株価への影響を減らそうとしているのだから。肩の力が抜ける。


「そういうものですか?」


 さつきとの関係やお義父さんとの関係、全てこちらからは切りようが無いのだ。逮捕されれば、最悪離婚され、Ziphoneグループとの関係も白紙に戻されるくらいのことは覚悟していた。


「そうじゃ。国内の投資家が売りに出せば、海外の投資家にとってはチャンス。世界レベルの宇宙開発にトムが欠かせない存在だというのを知らないは日本人くらいだぞ。宇宙開発における利益を日本から取り上げる良い機会だ。Ziphoneグループの資金余力を全て山田ホールディングスの傘下の会社の株に注ぎたいくらいじゃ。」


 確かに俺や渚佑子が居なければアメリカの月基地は放棄するしか無いだろうし、ゲートも渚佑子が居なければ閉じたままだ。スペースコロニーぐらいなら山田ホールディングス傘下の会社を俺から取り上げれば数百年後に再構築できるかもしれないけど。


「それこそインサイダー取引を疑われますよ。」


 逮捕状の容疑はインサイダー取引だった。それもネットショッピングで有名なテンテンに関するもので、美木会長が倒れた現場に居合わせたという推測らしい。


 こちらでも調べてみたが美木会長が倒れたのは控え室でそのまま密かに救急車で運ばれている。


 そもそもインサイダー取引法違反は発表前の内部情報を元に株取引を行ったことであり、この場合健康診断の結果、医者が知った事実を元に株取引を行ったというのであればまだしも、現場に居合わせた場合に起訴された例は無いのだ。


 法解釈を大幅に拡大解釈したもので、まず起訴には持ち込めないということだった。


 となれば俺に社会的ダメージを与えるためだけに行われるのだ。悪意という他ない。公安調査庁でなければ、まずありえないことらしい。


 しかも首相外遊中のことであり、帰ってくれば執行停止もありえるのだ。


「しかし、本当に捕まってみせるのか? お主なら逃げ切ることもできるじゃろ。」


 確かに『移動』魔法を使えば世界中を転々として逃げながら会社を経営することもできなくはない。


 だが逮捕状が発行されたというだけでも社会的ダメージは計り知れないのだ。それを引き替えに黒幕を突き止めなければ、何度でもどんな手段を使ってでも俺を社会的に抹殺しようと動くだろう。


 ボディーガード役としての渚佑子によれば、俺自身に危害を加えようとしている痕跡は無いらしいのだ。


「ええまあ。それにこの世界が俺をどれだけ必要としているか解るでしょう?」


 お義父さんには本音を吐露しておく。俺を本当の意味で必要としていなければ、全て誰かに譲り渡してチバラギに引き篭もろうと思っている。


「・・・解った。ありえないとは思うが悪役は引き受けてやるから、さつきと子供は連れていくんだぞ。」


「もちろんです。その時はよろしくお願いします。」


 チバラギからでも出来ることはあるだろうが、最悪通路の閉鎖も考慮しておかなければいけない。


 その前にこの世界を渚佑子を捨てた裏切り者として殺されそうだな。

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