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第3章-第25話 ばっくすぴん

お読み頂きましてありがとうございます。

「社長。日本シリーズの第1戦とは思えないくらいテンションが低いな。主催が日本野球機構だからか?」


 日本シリーズの対戦相手である東京ドラドラズの本拠地である東京都調布市のドラドラズスタジアムのベンチで公安調査庁の件に頭を悩ませていると勘違いした監督が声を掛けてくる。


 確かに法律スレスレの危ない橋を渡った時期もあったが俺が行った事業はあらゆる法律を守って進めているものばかりだ。まあ魔法を使ってズルしているところはやや無法状態だが、そこは法律が無いのは仕方が無い。


 チバラギ国との貿易に関しても、あらゆる法律を精査したところ国際的に認知されていない国からの物資に関しては港や空港などの水際で税金を払うことになっている。国内に既に入ってしまった物資に関しては遡って税金を払う法律が無いのだ。


 例えばアメリカから在日米軍基地に輸送され、米兵にに支給された物資を日本国内で売却したようなものだ。それが兵器ならば取り締まりようもあるだろうが食糧ではどうしようも無いのだ。


 だが行政府が立法府に無断で法律の解釈を変更し、遡って適用されてしまえば防御しようがない。だが過去にはそうやって犯罪者とされた経営者が幾人も居るのだ。


 まあそうなったら経営の主軸をアメリカに移動して、徹底的に法廷で戦うしか無いだろう。最悪、ヴァーチャルリアリティー時空間やゲートやコロニーの使用の優先順位を下げるなどの圧力も辞さないつもりだ。


「おいおい。俺はどんな守銭奴だよ。」


 日本シリーズはセントラルリーグとパシフィックリーグのクライマックスシリーズの勝者の本拠地球場で行われるが日本野球機構の主催となりチケット収入の一部は後で分配される。


 俺が万が一逮捕されることになれば当然、日本での社会的地位は剥奪されることになり、プロ野球選手などやれなくなるよな。


 その辺りは別に心配していない。会社の経営など何処に居てもできる。野球選手もアメリカ大統領に強制されそうな嫌な予感もある。


 問題はアメリカなど俺と付き合いのある国々がどう出るかが全く読めない。宇宙開発に関しては俺と俺の会社無くしては絶対に進まない領域となっており、最悪日本という国が見捨てられる結果になる恐れさえもあるのだ。


 それだけは絶対に避けたいのだが、動き出してしまえば止めようが無いのだろうな。そこまで考えて、幾つか奇策を用意してあるがどこまで通用するだろうか。だが何も無いのが一番なのだがな。


「じゃあ何を悩んでいるんだ?」


 まさかプロ野球の監督にこんなことは相談できない。もう1つの悩み事を話すことにする。


「今日のバッティングをどうしようかと思って。実はマトモに打席に立つのは初めてなんだ。」


 今日の試合はセントラルリーグの本拠地球場だから指名打者制では無い。交流戦では指名打者を使える試合ばかりで登板した。クライマックスシリーズでは那須くんと交互に投手と外野手を交換したが俺の打席は指名打者に入って貰ったのだ。


「ああ。社長にホームラン打てとは言わないさ。ただ立って見送りの三振でいいよ。でも奇策を用意しているんだろ。楽しみにしているよ。」


 最近、行動が読まれているみたいだ。奇策は用意してあるのは確かだ。

















 打席は3回の裏に回ってきた。両球団共に凡打の山を築いておりお互いにゼロ点のままだった。3回の裏の先頭打者としては是非とも出塁したい場面だ。


 監督にはああいったが風魔法を使えば普通にバッティングした打球をホームランにすることも容易い。だが後で専門家がビデオを見れば芯で捕らえてない打球が何故ホームランになったのか不思議がるだろう。


 だけどそこまで自分が活躍するつもりは無い。それに確かめてみたいこともある。


『おおっと、社長がセフティーバントだ。しかし打球は強く三塁手の目の前だ。・・・・なにぃ。バックスピンが掛かって打球がホームに戻っていく。なんてラッキーな当りだ!』


 もちろんワザとだ。高めのボール球の下を思い切り叩きバックスピンを掛けた。もちろん風魔法で回転をさらに勢いを足している。


 球の行方を追ったキャッチャーがサードに指示を出すからキャッチャー自身は動かない。一度止まった身体を動かして球を捕りに行っている間に1塁は楽々セーフだった。


 後は監督にサインを送り、盗塁で2進3進を決める。後は外野フライで1点をもぎ取った。


「結構普通だったろ。バッティングは苦手なんだ。球を打つならゴルフのほうが得意だ。」


 ベンチに戻り、監督に声を掛ける。Ziphoneグループの役員となってからはゴルフをする機会も増えた。一番得意なのはSWだ。高く上げる球に風魔法で回転を掛ける。グリーンを外してカラー部分からグリーン中央に乗せると良い具合にピン傍に止まってくれるのだ。


「えっ。あの打球を意図して打ったのか?」


 監督があんぐりと口を開けて呆けている。


「ああ。今度は外野手の前を狙ってみようかな。」


 外野手の前なんて単打コースだろうが球が弾んでくるものだと思って待っていると球がその場にピタっと止まり、外野手がもたつく間に2塁まで進塁したら、どんな顔をするだろうな。

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