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第1章-第3話 たまごがさきかにわとりがさきか

お読み頂きましてありがとうございます。

 結局はホワイトハウスまで同行させられ説明させられた。


 いろいろと期待されているのはわかるが胃が痛い。幾ら守備範囲が広い俺でも無理だと思うんだがなあ。


     ☆


「バカヤロー!」


 イカン。ついつい鈴江相手だと怒鳴ってしまう。まだまだだよなあ。もうちょっと冷静に叱れよな。


「どうしてですか?」


 ヤオヘー傘下のクレジットカードのサービスで牛丼のスキスキのクーポンを発行することになったのだが一緒に話を聞いていた鈴江が『和牛すき焼き丼』にクーポンが使えないと言い出したのだ。


 クーポンは『牛丼・カレー』を注文した場合にのみ使用できると記載されており、季節商品だった『和牛すき焼き丼』に使えないのはある意味合っている。


「じゃあ、従業員はお客様にどう説明すると言うんだ!」


「それは、『和牛すき焼き丼は牛丼じゃありません・・・』」


 鈴江の声が尻すぼみになった。ようやく理解できたらしい。つまり従業員におかしな日本語の文章を喋らせてしまうのだ。


「ましてや牛丼のスキスキの名前の由来はすき焼き大好きなんだぞ。会社の威信にかけて、そんなことを言ってはダメだ。俺たちは日本人なんだぞ。日本語を理解できない会社だというレッテルを貼られてしまうんだ。このことがどれだけ悪影響を与えるかわからないのか!」


 まあ俺は日本人じゃないし、従業員の中には外国人のアルバイトも沢山働いている。


「すみません。私も気付きませんでした。」


 渚佑子もか。


「そうか。企画段階からそういった文章の監修をして貰う必要があるかもしれん。日本人だから解るだろうと思ってはダメなのかもしれないな。ちょっと検討してみよう。」


     ☆


「すまなかった。」


 今度は俺が謝る番だ。


「本当ですよ。」


 良かった。2人きりになった渚佑子は笑いながら俺の顔を覗き込んでくる。


「ところで『知識』スキルで銀河連邦の知識まで調べられるんだな。宇宙船の製造方法とかもありそうだよな。」


「それがですね。あるにはあるのですが、肝心の推進装置に地球に無い金属が使われているらしくて翻訳してくれないんです。」


「ほう。どういったところに使われているんだ。」


「動力源はレーザービームらしいのですが特定の金属に反射させることで前に進む推進力にするみたいなんです。」


「うん。何処かで聞いたような話だな。・・・そうか。ミスリルにレーザービームを当てることで宇宙空間で位置を修正できる装置を宇宙服に搭載したぞ。原理はこんなところか?」


 スミス金属でミスリルとオリハルコンの耐久テストを実施した際にレーザービームをどれだけ高出力にしても穴ひとつ開かないミスリルが僅かに動いたのだ。穴が開く前提で周囲を軽く固定していただけだったため偶然見つけたのだが新発見だった。


 俺はその設計書を渚佑子に手渡す。


「そうです。こんなふうな設計書です。」


「それなら、使えそうだな。動力源は何だ?」


「宇宙船内部にアメリカ軍最新原子力空母3隻分の発電機を持っているようです。」


 おいおい。本当にチートだよな。アメリカの超トップシークレットも丸見えかよ。


 今のアメリカには原子力空母1隻分の予算を通すだけでもかなり大変なのだ。3隻分なんて通しようがない。


「無理か。」


「無理じゃないですよ。10メートル四方にコンパクト化された核融合炉のようでプラズマの封じ込めも理論上99.9パーセントまで達していてほぼ無限にエネルギーの再生成が行なわれているようです。ただヘリウム3を使用しますので地球上の全てのヘリウム3を使用しても1年も稼動しないようです。」


 おいおいできると言いながら突き落とすなよ。


「ヘリウム3は月に大量に存在するから、発電設備を月に宇宙船で持って行き設置して、空間連結で電力だけ宇宙船に供給すればいいよな。」


「それじゃあ。鶏が先か卵が先かの問題になってしまいますよ。それよりも良い方法があります。この世界には大量のヘリウム3が存在するので私が『錬金術』スキルを使って変換すればいいのです。良い考えでしょう。」


「ダメだ。ダメだ。ダメだ。ヘリウム3は安定元素の一種だが、危険物質には変わりは無い。そんなことを渚佑子にさせられない。」

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