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第8章-第75話 みくだりはん

お読み頂きましてありがとうございます。

「へえ。この人がプロ野球の・・・。」


 イキナリやってくれた。ジェイが歌番組のトークの中で俺がド素人の歌手であることと絡めて、権力を使いプロ野球に入団したことを暴露してくれたのだ。


「目立ちたがり屋だよね。」


 それはジェイのことじゃないのか・・・。


 きっと俺に対する批判が高まればグループから追い出せるとでも思っているのだろう。


「・・・あ、トムさんが活躍した今日の映像があるそうです。」


 しかも映像まで、コネを使って歌番組のプロデューサーに話を通しておいていたらしい。


「えっ。今日・・活躍・・・・ドラフト会議の映像じゃあないの?」


 ジェイはドラフト会議の映像が流れると思っていたらしい。それをプロデューサーが気をきかして今日のプロ野球中継の映像を入手したみたいだ。


 スタジオのモニターに映っていたのは3者連続三振とお立ち台の映像だった。流石は映像のプロだ。格好良く編集してくれていた。


 スタジオに居た歌手たちから歓声が飛んでくる。めちゃくちゃ恥ずかしい。


「凄い。凄いじゃないですか。プロ野球球団の社長でありながら一流の野球選手。時価総額数千億の実業家でありながらZiphoneの副社長。今話題のヴァーチャルリアルティの開発者でありながらソフトウェアを供給するアイドルグループの一員でもある。」


 何か幾つか被っている気がするが我ながらやり過ぎ感一杯だなあ。でもこれ以外にも公爵家が所有する領地や企業、チバラギ国の領地。何一つ疎かに出来ない。


 更に気になっているのが松阪とチバラギ国を繋ぐ通路で小さな女神に言われたことだ。何一つ、詳しい情報は与えてくれなかったが、この日本いやこちらの世界に将来とんでもない災厄が降りかかるらしい。


 自然災害ならあんな言い方はしなかったに違いない。


「いや、全て俺の力というわけじゃ無い「しかも、あのゴンCEOの娘婿なんですよね。」」


 俺が司会者に向かって言葉を返すとジェイが横入りしてくる。既婚者だと言いたかったらしい。


 周囲では溜め息とネタだろうが『愛人でもいい。』などと言うグラビア出身のタレントの叫び声が聞こえた。


「あんなことを言っていますが、彼女たちは如何ですか?」


 司会者が少々意地悪な質問を投げかけてくる。


「そ・・・そんな勿体ないですよ。貴女たちならもっと素敵な人に巡り会えます。」


 カメラに向かって微笑みかける。


 ヤバい。思わず側室枠も一杯と言うところだった。今の笑顔、ぎこちなくなかっただろうか。


「では歌って貰いましょう。Motyで『境の渡った先』」


     ☆


「中田ぁ。ニヤニヤ笑いやがって。ちょっとはフォローしろよ。」


 生放送が終わり、同席した有名な歌手たちからヴァーチャルリアルティのソフトウェアとして売り出したいという申し出を幾つか頂き名刺交換をする。なかなか良い感触だ。しかも、球場でのゲリラライブの話をすると賛同してくれた。


 彼らも新曲の発表の場を探していたらしい。ファンになってくれるかも知れない未知の多くの観客の前で歌えるというのは魅力的ということだった。


 ジェイはサッサと帰っていったが中田たちは個室が割り当てられていた楽屋で待っていてくれた。


「フォローも何もする必要が無かったじゃないですか。格好良かったですよ。それにある程度、ぎこちないほうが視聴者には好感度なんですよ。それに千吾なんか、先輩がMoty再結成の原動力だなんて吹聴してますからコアなファンは既に貴方の味方ですよ。」


「ありがとうな千吾。」


 近くに居た千吾を抱きしめる。まあ見た目は俺が抱きついているようにしか見えないが。


「後は北村の動向次第だな。」


 今日の様子を見てもジェイが納得していないのはわかる。北村が向こうの手駒なのはわかっているし、奥さんの佐藤さんからは早く合流したいと言っていると聞いている。


 だがこれ以上人数が増えるのは困るのだ。ジェイが加入した分は佐藤さんが女性のバックダンサーで小さなグループ状態にして貰ったから何とかなったが、これ以上はもう無理だ。


「下手なことをすれば、今度こそ三行半をつけてやるわよ。」


 余程、北村は家庭内で我が儘なことを言っているのだろう。佐藤さんが少しキレかけている。


「それはそれで困るな。俺がそうさせたかのように世間に写ってしまう。そこは我慢してほしいな。」


「そうよね。ごめんなさい。私よりも、貴方の方が三行半をつきつける方が地獄の底に落とせるわ。」


 おいおい。北村と俺は夫婦じゃない。三行半なんてつきつけるわけが無いじゃないか。まあそんなことを言える雰囲気じゃないけど。


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