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第7章-第60話 すたあせんしゅ

お読み頂きましてありがとうございます。

「姉貴。なんだよこの記事。まるで俺たちがホモみたいじゃねえか。」


「あら嘘はついてないわよ。修羅場明けに同じベッドに寝ていたのは事実だし、劉貴の姪御さんが亡くなったときも付きっ切りで面倒みていたじゃない。」


「サキは死んでねえぞ。それともこの世界の月光寺サキは死んだのかよ。」


「冗談よ。でも原因不明の寝たきり状態なら死んでいるも同然でしょ。」


 この世界でも穂波くんと麻生くんが失踪していた。失踪した日時も場所も同じということでお姉さんの穂波季実子さんに来て頂いたのだ。


 季実子さんは漫画雑誌の編集者で麻生くんの担当者でもあったので彼らの失踪当時に取材を受けたとき、あること無いこと週刊誌の記者に吹き込んだらしい。


 まるで穂波くんが麻生くんの愛人で性転換しようと失踪した穂波くんを追って麻生くんも姿を隠しているのではないかと憶測記事が書かれていたのだ。


「まあそのお陰で麻生くんのマンションも財産もそのままの状態で戻ってきたんだから、そこは良しとしておいては如何ですか?」


 この手の話に俺が巻き込まれるとこれまた厄介な方向に持っていかれるのでさっさと話を切り上げる。失踪を知った麻生くんの親戚という人物が神社の神官で資産を管理するという名目でマンションを処分しようとしていたらしい。


 だがこの話が広まったせいで縁切りをせざるを得ずそのままの状態を保てたということらしい。


「あの有名な山田さんに囲われているとは思わなかったわ。」


 ほら来た。世間でいろいろ言われているのは知っているがゴンCEOと肉体関係があり誑し込んでいるという噂があるらしい。


「囲われてねえよ。」


「劉貴と山田さんとどっちが気持ちいい?」


「無視するなよ。囲われてねえって言っているだろうが、それになんでどっちも俺が女役なんだよ。」


「麻生くん。この2人はいつもこんなのなのかい?」


「さあ。季実子さんとプライベートの付き合いは無かったのでこんな女性とは思わなかったですね。すみません。何か失礼なことばかり・・・。」


「かまわないよ。何処にでもいるからね。手近な男性たちをくっつけて喜んでいる女性は。」


 うちの会社にもいつのまに撮ったのか洋一さんに抱きつかれている写真が出回っていたことがある。さつきが俺とセイヤのツーショット画像を持っていたのには驚いたけど。エトランジュ様がスマートフォンで撮ったらしい。


     ☆


 季実子さんは預かっていたというマンションの鍵を麻生くんに手渡すと帰っていった。


「これからどうするかね? 住むところもあるし、当座の生活費もありそうだな。フラウさんの国籍さえ解決すれば問題は無さそうだが。」


「まずは山田社長に借りを返してからですね。」


「そうだよ。放り出すなんて許さない。俺は山田ホールディングスで悠々自適な生活を送るんだから。牛丼屋のバイトはもう勘弁してほしいけどね。」


 担当店の店長に聞いたところ2人とも意外と真面目で仕事の覚え方も早かったらしい。だが麻生くんはすぐに顔バレしてしまい。穂波くんは愚痴が多くて困っていたそうだ。


「君たちは野球に詳しいそうだね。」


「そうですね。漫画には直接使わなかったけど主人公たちが喋る内容が不自然にならないよう徹底的に調べたし、草野球チームに参加してみたりまるで自分たちが主人公になったつもりで生活していたから。」


「実はZiphoneフォルクスの球団社長を拝命してね。俺にその手の知識が無いものだから困っているんだ。『勇者』らしい仕事じゃなくて悪いが当分のそのサポートをお願いしたい。」


「あ・・ああ。フォルクスね。それはやっかいな。モノを押し付けられたもんだ。山田社長はいったいどんな方向を目指しているんだ? やっぱりリーグ優勝するようなチームか?」


「君たちのような野球が好きな人間をバカにしていると捉えられると困るんだが、リーグ優勝は目指さない。最下位でもいいから沢山のファンが来てくれるような球団を目指す。」


 俺はこれまで考えてきた施案を話して聞かせた。Motyがゲリラライブをすること、その他の歌手にも声を掛けていること。選手の年棒の不均衡を是正すること。プロテストをイベント化して野球界以外からも広く人材を登用すること。


「そうか難しいな。確かにそういった手段を活用すれば一時的な増員は果たすだろうが、恒久的には無理だな。あのチームに決定的に足りないものはスター選手だ。その選手が在籍しているから見に行きたいと思える選手がいないんだ。」


「・・・俺がスター選手になってみせる。」


「おい志正。急になにを言い出すんだ。」


「俺には『成長』スキルがある。これから練習してもまだ間に合う。社長、俺を球団に入れてくれ。鍛えてくれるんだろ。」


「なるほどそれはいいかもな。俺もやってみようかな。そうだ渚佑子さんに神に貰った伝説の盾を野球のグローブに錬金術して貰おう。そうだそれがいい。」


「劉貴ズルいぞ。俺が言い出したことなのに。何でも切れる伝説の聖剣をバットに錬金術して貰ってもボールが切れるだけじゃないか。」


 俺もプロ野球選手にならないかと言ってみようかと思っていたのだが先に言われてしまった。何故かこのメンツで話をしていると全く出番が無い気がするな。

うわっ。この男たち3人とも1人称が『俺』だった。解りにくかったらごめんなさい。

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