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第6章-第55話 たくさんのぱられるわーるど

お読み頂きましてありがとうございます。

 ようやく最後だ。


 祠まで戻ってきた俺たちは『召喚』の術式を自空間にしまい込む。


 とりあえず『勇者』が3人も日本で暮らすことになるのだから、事前にこれまで培った注意すべき事を話しておく必要がある。


 魔法やスキルは人前で使わないこと。


 最近不用意に使うことが多くなっている気がする。特に最近は知人にリクエストされることが多くって困るんだよな。


 『箱』スキルからモノを取り出す場合でも事前に袋などに取り出しておくこと。


 渚佑子なんか面倒臭がる傾向がある。そうは言っても俺も大きな建物とかは無理だ。せいぜいがフランチャイズチェーンのブランド変更時には建物の周囲を囲って見えなくしてから作業をするようにはしている。


 『翻訳』スキルで言葉がわかっても英語以外は返事しないこと。


 KGBとかモサドとか各国の秘密警察だったり、テロ組織だったり、複数の言語をチャンポンで使っている相手にスラスラと応答したら大変なことになる。


 『鑑定』スキルで見たプライベート情報は口にしないこと。


 特に女性の年齢や見た目と性別が違う場合は注意すること。


 緊急時を除き、人並みに法律は守ること。


 その辺りは自分の良心と相談することになるが、異世界で問題無いことでも日本では問題になることのほうが多い。自分の正当性とかに関係なく法律は最低限守るようにしよう。


 万が一魔法やスキルを見られても、スッとぼけること。


 大抵は見間違いや勘違いだと誤解してくれるから、上手くそれに乗っかること、決して言い訳などをしてはいけない。知らないフリが一番。


 誤魔化しきれない場合はすぐに報告すること。


 大統領の手を借りるとか異世界へ逃げるとか手段は沢山ある。


 緊急時は自分の命を第一に考え、助けが必要じゃなくても連絡を入れること。


 自分が知らないだけで問題が広範囲に及んでいる場合があるので情報の集約は必要だ。


 うーん。殆ど自分で破っている気がする。もう少し節度を持たなくてはいけないな。


 もう一つ事前に話さなければならないことがある。本当は日本に連れていってから事後承諾にしたいところなんだが『聖霊の滴』はキレそうだからなあ。


「もうひとつ大事な話が残っている。これから渡る世界は君たちが元々居た世界だという保証は無い。それでもついて来るか?」


 以前、神に質問したパラレルワールドについて詳しく説明する。


 俺が日本と言っている世界は神からすると第10から第99並行世界で上位に第1から第9並行世界、下位に第100から第999並行世界があるらしい。


 召喚魔法を使える人間として言えるのは上位世界の人間しか召喚できないということだ。ただ上位世界にも沢山の日本がある。その何処から人間が召喚されるか分からない。1回目の召喚と2回目の召喚が同じ世界の人間という確率は90分の1だ。


 つまり、前回呼ばれた『勇者』2人と俺が同じ世界の人間という確率は90分の1ということになる。


「じゃあ、元の世界に戻るのは絶望ってことじゃないですか。」


 まあ普通はそう思うよな。


「そうでも無いぞ。これは俺の勘だが5割くらいの確率で俺が居た上位世界が君たちが居た上位世界だと思う。」


「どうしてですか? 90あるんですよね上位世界は。」


「まず最初に『召喚』術式のコストが低すぎることからすぐ近くの上位世界だという可能性。そして失敗することもあるということは、近くの上位世界に人が住んでいない世界があるという可能性。この2つの条件からすると人が呼べる上位世界は1つないし2つだろうということだ。」


 根拠があって言っている話じゃないし、経験と神から聞いた話を統合してみるとこんな感じじゃないかなというだけだ。


「もしかして、『召喚』の術式に失敗して『送還』の扉を潜ったら、人の住めない世界でした。なんてこともあるってことじゃないか。」


「あるだろうね。パラレルワールドは進む時間の速度も違う世界があるから既に地球は無くて宇宙空間が広がっているかもしれないな。」


 360倍で進む世界もある。地球の寿命や銀河系の寿命も360倍あるかもしれないが。


「じゃあ、何でこのタイミングで言うんですか? 合ってればOKだし、違っててもトムさんのバックアップがあるんですよね。俺たちに選択権は無いじゃないですか。」


 俺の側からすると事後承諾でもいいんじゃないかと思うんだがなあ。


「この世界に残るという選択がある。親も友達も戸籍もないどころか別世界の自分がいるかもしれない世界に行くよりも住むところもあって友達も居る世界のほうがいいんじゃないのか。」


「ダメです。それでは私たちがトムさんに何もお返しが出来ない。対価を払って貰うと言っていたじゃないですか。」


 対価なんて本当はどうでもいい。甘ったれたことを言っていたから渇を入れただけだ。まあ俺の傍に来てくれるなら『勇者』としての能力を利用させてもらうけど。


「それは術式の書籍があれば十分事足りるよ。」


「それに私たちが『召喚』の術式を作り出して、渚佑子さんやトムさんを『召喚』したらどうする積もりなんですか?」


 意外と嫌なことを言うな。やっぱりブレイン向きだな『聖霊の滴』は。


「そ、そこは君たちの良心に頼るしかないな。」


 まあ何か隠し玉があったとしても俺の寿命がくるまでに再び作り上げれるようなものじゃ無いことは確かだ。


「ここまで来て全てを放り出すつもりですか、私は何が何でも付いていきますからね。リュウキさんはどうするんですか?」


「俺には君との約束もあるし、この世界にシガラミも無いからな。一緒に行くよ。それよりもシセイがどうするかだな。お前こそ子供が生まれるし、エミリーさんを支えていかなきゃいけないだろう。良く考えろよ。」


「俺は・・・俺は残りたい。」


 まあそう言うだろうな。俺も恋人を引き裂こう。子供と引き離そうとは全然思っていない。


「シセイっ! フラフラ生きることを止めて頑張って向こうの世界で沢山トムさんに貢献して大金持ちになって、私たちを迎えにくるって約束したでしょ。あれは嘘だったの!」


「だってよ。何年掛かるかわからないじゃないか。子供の顔も見れずにそんなに頑張れるかな。なあ一緒に居てくれよ。俺、こっちの世界で頑張るから。」


「ダメよ。ダメダメ。絶対ダメ。これ以上フラフラ生きているシセイを見ていたくないの。もうこの世界には貴方の活躍の場なんて無いんだから、向こうの世界で生きて行きなさい。これは王女としての最後の命令です。」


「そんなっ。そうかよ。俺なんて要らないのかよ。解った解りました。行けばいいんだろ。もう知らないからな。」


「エミリーさん。安心しなさい。ホナミくんは俺が立派な男にしてみせるよ・・・。」


 やっぱり10年後に来るしか無いのか。その時にホナミくんの子供が父親を恨んでいないといいけど・・・。


「じゃあ3人共、当初の予定通り俺について来るということで問題無いんだな。モデルルームは使えないから、俺のマンションに到着するが驚かないでくれよ。」


「今度こそ本当にさようなら。エミリー。レイティア。それからオールド王子、彼女たちをよろしくお願いします。」


 今度は4人か。俺の身体に捕まっていなければ使えない『境渡り』魔法の限界かな。


「しっかり、つかまっていてくれよ。じゃあ跳ぶぞっ!」


この話でクロスリンクは終わりです。

彼等は引き続き登場しますのでよろしくお願いします。

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