第4章-第33話 停戦交渉
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セイヤから連絡が入った。アルメリア軍が隣国まで迫ってきているという話だった。
「すまんが、軍を率いて停戦交渉にあたってくれないだろうか?」
とうとう戦争が始まってしまうかもしれない。辺境伯として十分な軍備を配置してきたとはいえ、できれば戦いたくはない。
「私も行くわ。」
何処に隠れていたのかマイヤーが現われる。
「えっ! マイヤー。」
「公式の場なんだから。夫人同伴は当然でしょ。ドラゴン国に行ったアヤにどれだけ自慢されたか・・・。」
後半が本音らしい。妊婦さんの発言とは思えない。既に安定期に入っているとはいえ、いつ戦いに突入するかわからないところへ連れて行きたくはないんだがなあ。
説得をしようとマイヤーの顔を正面に見据えるがその瞳に強い意志を感じて諦めてしまう。ダメだ。どれだけ説得しても頷いてくれないときの顔だ。
こっそり置いて出かけたとしても後から付いてきてしまうだろう。そんなことになるくらいなら、初めから一緒に行くほうがいい。
「わ、わかった。」
「やったー!」
なんか滅茶苦茶喜んでいる。遊びに行くんじゃないんだがな。
「では私は、いざというときのために辺境伯軍に志願兵を合流させるように準備を整えていますね。」
今度はアヤが現われる。イヤイヤイヤ、別に隠れていなくてもいいのだけど。まるで劇の演出のように現われてくる。
「ああ、心強いよ。」
「それから、交渉の見届け人にはエルフの里の次期長とブルードラゴン殿にお願いしている。現地で会うことになるだろう。」
*
マイヤーからエルフの里謹製ベリーハイレアMPポーションが俺と渚佑子に手渡された。通常のポーションのようにポーション酔いをしないため再使用の制限時間が無い。その代わり1本1億円ほどの金額で取引されている。
マイヤーと俺と渚佑子では大規模魔法の使い手のマイヤーが一番使う可能性が高い。
「アルメリア国ってどうゆう国なんですか?」
そういえば、渚佑子はこちらの世界の事情は教えていなかった。
「さあ。向こうのアルメリア教団が魔族を祖とするチバラギ国を目の敵にしているらしい。ジハードのつもりなんだろう。」
「そうですね。教団の経典にはそのような記述があります。ただ教団の歴史からすると最近付け加えられたようですけど。」
そういえば、渚佑子には『知識』スキルがあったんだった。文書になったものなら、何でも調べられるらしい。
「まあ宗教なんてものは、人気が出てくると金が欲しくなって金が溜まってくると権力が欲しくなるものなのさ。そして権力を得るには敵が必要でさらにお金を集めることに利用される。人々を導くことが彼らの仕事だってのに困ったものだ。」
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