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第3章-第26話 てなんと

お読み頂きましてありがとうございます。

「議決権無しの優先株式が順当じゃないか?」


「えっ。それでは借金を抱えて会社が潰れたとき紙くずになってしまいますよ。」


「おいおい。今から潰れることを考えてどうする。大丈夫だ。君のノウハウがあればきっと成功するさ。まあ君の会社が株式公開をしたときに普通株に交換してくれればいいよ。」


 彼は昔の従業員で自己資金で派遣会社を経営している。その彼の力を借りて、我が社の派遣業務を行なっていたのだが、いよいよその彼が自分の会社の業務拡大に取り組みいたいと言い出したのでこれまでの貢献に対して、融資という形で応えようとしている。


 議決権無しの優先株式とは、会社を清算するときに会社に純資産が残っていれば優先的に受け取る権利を有する株式で普通会社を清算するならば借金を抱えていることになるので、ほとんど意味は無い。


 これだけの金額を報酬として渡すと多大な税金が掛かってしまうので、こういう形にしただけだ。


 まあ下手に議決権があると連結子会社になり、借金の肩代わりをしなければならなくなるので突き放したとも言える。


「交換条件は、そうだな。今建設中の高層マンションの地下にテナントとして入ること、それからマンションに入れるための家具の供給元になってくれることだな。」


 彼の親父さんは有名家具店を経営している。彼は派遣会社の経営手腕を買われ、家具店の経営に参加することになったらしい。


 この家具店は関東に本店を含め3店舗を構えている。だが年功序列制度のため、売り上げは多いが赤字を垂れ流している状態になっている。


 そこで彼は規模の拡大と同時に彼の派遣会社から人材を派遣して一人当たりの人件費を下げるつもりなのだ。今後2年間で全国に10店舗を展開する予定だという。


 家具店内部の制度を変えずに外部から人を入れつつそのノウハウは流出せず、彼の派遣会社の人材に蓄積されていく。なんとも上手い方法を考えたものだ。


「社長。我が社に有利過ぎです。全然交換条件じゃないですか。」


「わからんぞぉ。なんと言ってもこの渚佑子が管理する物件だ。どんな無理難題を押し付けられるか。優しくないぞ彼女は。」


「社長。なんですかその紹介方法は。鬼束さんよろしくお願いしますね。」


 彼も彼女が詐欺師を脅している姿を目撃したひとりだ。顔が引き攣っている。


 渚佑子が可愛らしく挨拶するが、目が私に向かって助けを求めている。余程、恐い思いをしたらしい。


 俺もできるかぎりの援助は惜しまないつもりだが、彼のこれから行く道は決して平坦とは言えない。後門の虎ならぬ、後門のドSを配置しておけば、前門で何があろうとも怯むことはないだろう。このまま自分を貫き通してもらいたいものだ。


「渚佑子の最初の仕事はモデルルームに設置する家具の選定と仕入率の決定。そしてモデルルームに来て頂いたお客様に対しての家具の売り込みだな。それによって君の成績にボーナスに跳ね返る。鬼束くんと仲良くやればそんなに難しい話じゃないさ。頑張ってくれたまえ。」


 彼女がやり過ぎれば、彼は低品質の家具を供給しなければならなくなる。でも、十分な利益率を確保できなければ、彼女の売り込みは実を結ばない。さて、どうなることやら。


     *


 それから、彼らの間で繰り広げられた攻防は傍で見ている分には面白かったのだが、彼らは若すぎる。もうちょっといろんな視点で考えられるようにならなければならない。


「さて煮詰まってきたみたいだし、今日はこんなところにしようか。それぞれアイデアを出し合って考えたまえ、議論だけでは何も進まないぞ。そうだな1ヶ月後を目途に何度も何度も会議を重ねるんだ。わかったかな。」

鬼束家具の御曹司の活躍は

蜘條ユリイ名義「腐男子御曹司の彼」で読めます。

2年後建設された高層マンションの管理人になった渚佑子と彼の関係はどうなっているでしょうね。

まだ書いてないので私にもわかりませんが(笑)

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