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第2章-第13話 新婚旅行

お読み頂きましてありがとうございます。

「あー酷い目にあった。」


 北村との余興で歌の選択を奴に任せたのが失敗だった。


 奴が選んだのは、昔の歌謡曲で男性パートと女性パートがあるデュエット曲だった。


 事前に奴が先に歌いだすからというのを聞いていたので、初めのサビだけは、大人しく女性パートを歌ってやったが、あとは男性パートの取り合いになった。


 奴は身長を生かして、俺は腕力と魔法を駆使したが、事前に策を練っていたらしい奴に半分以上の男性パートを奪われてしまったのだ。


 その辺りのことを上手く察してくれた千吾と幸子が女性パートを引き受けてくれなくては、歌にもならなかっただろう。


「面白かったですよ。笑いも取れたし、やっつけでしたわりには招待客の受けも良かったみたいですよ。」


 まるでそれが演出のような振りで、ドタバタコメディ劇を演じてみたのだ。上手くいってよかった。


「でも、あそこで賢次さんの横槍が入るとは思わなかったな。」


 圧倒的に男性パートを奪われた前半を越え、後半に入ったところで、いつの間にか後ろにやって来ていた賢次さんが北村の首根っこを掴んで、そのまま会場の外に出て行ってしまったのである。


 そのおかげで残り4分の1くらいの男性パートを独占できたのだった。


「あれも演出の一環みたいに見えたから、良かったんじゃない?」


     *


 新婚旅行は国内旅行になった。しかも、日本三名泉の有馬温泉・草津温泉・下呂温泉を巡る旅だ。


「すまん。結局、仕事絡みになった。」


 Ziphoneに持ち込まれた企業再生機構の案件に日本三名泉の老舗旅館の名前が幾つかあったのである。俺はそのうち各温泉地でそれぞれ1ヶ所を買い取り建て直しを図るつもりなのだ。


 まずは首都圏にもっとも近い草津温泉に来ている。


「そんなことは言いっこなしですよ。元々行こうとしていたヨーロッパは妊娠が発覚した時点でキャンセルしたんですよ。今からゴールデンウィークに掛けてなんて、泊まれるところを探すだけでも大変なんですから、老舗旅館を巡る旅なんて素敵じゃないですか。」


 こんな時期にも関わらず予約が取れたのは、持ち込まれた老舗旅館が全て休業状態だったからだ。今日だけは、前の従業員が接客してくれることになっている。もし買い取ることになれば、これらの従業員の中から必要な人数雇い入れることになっているのである。


 もちろん、中には他の旅館に勤めなおしている人間や温泉地を離れた人間もいるのだが、できるかぎり前の従業員を全て雇いなおそうと思っている。旅館にも寄るがもともと出来上がっているチームワークを崩してしまうと初めから教育をやり直す必要が出てきて旅館建て直しの効率が落ちるからである。


 資金や施策を投入してある程度旅館自体が持ち直してから従業員の再教育をしても決して遅くないと思っているからだ。


「しかし、新婚旅行と言えば2人で行くものだろう。良かったのか、他の奥さんたちも連れてきてしまって。」


 そうなのだ。結婚式が終わり、てっきり皆、チバラギに帰るものだと思っていたのだが、ぞろぞろと団体での旅行の様相になってしまっている。流石にぐずるセイヤと鈴江とアキエは帰って頂いたが・・・。


 子連れなら未だしも元妻連れとか従兄弟連れの新婚旅行なんてありえない。


「いいじゃないですか。コッソリ付いて来ている兄やケント王子に比べれば・・・。」


 そうなのだ。こちらもてっきりイギリスに戻ると思っていた賢次さんとケント王子が同行しているのだ。もちろん、ケント王子は身バレしないようにサングラスを掛けているが・・・。



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