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第1章-第2話 そうどう

お読み頂きましてありがとうございます。

 中田雅美。通称マッミー。彼は俳優、バラエティータレント、司会と芸能界であらゆるジャンルの仕事に挑戦し、そのどれにも成功を収めているマルチタレントとして有名だ。


 コンサートではMCを努め、笑いを取りために涙ぐましい努力を続けてきていることを俺は知っている。バラエティー番組で知り合った噺家に稽古をつけてもらったり、本来は上手いはずの歌の音程をワザと外してみたり、オカマっぽい喋り方をしてみたりと従来のアイドル像とは正反対のことを嬉々としてやってみせる男だ。


 そして、その技術を惜しみなくキタ・シャニーズ芸能事務所の後輩たちに伝え、後輩たちが独り立ちしていったことで、彼が独立を考え出したのが解散の切っ掛けと言われている。


 世の中では北村と犬猿の仲のように思われているみたいだが、それは考え方が違うせいだ。その実、他のメンバーや後輩たちと同様に慈愛の視線で見ていることを俺は知っている。


「先に北村と会ったんですか。」


「そうしないとアイツ拗ねるだろ。40にもなろう男が拗ねる姿なんぞ、見たくないぞ俺は。」


「すみません。私が甘やかし過ぎました。解散の理由もアイツの甘えた言動が原因なんです。ぜんぜん、懲りてないというか。本当にすみません。」


 中田はグループの中でリーダー的役割を担ってきたためだろうが責任感が強い。


「解散当時は俺もゴタゴタしていたから、聞けなかったんだが、どんなことを言ったんだアイツは・・・。」


「・・・アイツ突然、離婚すると言い出しまして。」


「人のことを言えた義理じゃないが、あの夫婦に何があったんだ?」


「何も・・・信じられます? 先輩が離婚したから、俺も離婚するって言い出したんですよ。」


「・・・・・なんだ、そりゃ。」


「なんだそりゃですよね。私は北村の奥さんも娘さんも良く知っていて、北村が言い出した前日にもSNSで夫婦仲の良いことや娘さんへの溺愛ぶりを聞かされていたのですよ。それなのに・・・。」


「他の女か?」


「いえいえ、メンバーのスケジュールの把握も俺の役目です。仕事と家庭を往復する間に、浮気をする暇なんてありません。これは断言できます。」


 まさに女房役だな。家庭にも女房が居て、仕事にも女房が居る。そして、その両者がSNSで繋がっているのか。堪らんな。逃げたくなるのも、分かる気がするが・・・。離婚はダメだろ。・・・そんなことは誰が許しても、俺が許さん。


「じゃあなんだ。本当に俺の真似なのか? 俺の真似をするだけのために結婚して子供を作って離婚するっていうのか? アイツは! そんなこと聞いてないぞ!! 昨日会ったときに一言もそんな話をしていなかったぞ!!!」


「それはそうでしょう。俺たちが必死に止めてそのことが原因で解散までしたというのに、先輩の再婚の話が来た途端、コロっと撤回しやがりました。昨日なんか何もかも忘れたようで先に先輩に会ったことを嬉々としてメールしてきやがりましたよ。」


「なんか・・・すまん。・・・今、ココに北村が居たら、殴ってしまいそうだ。」


 一瞬、『移動』魔法を使い、北村を殴りに行こうかと思ったが止めておく。


「賠償金が高いですよ。」


「そうだな。それはバカバカしいな。そんなんだったら、北村に結婚式の招待状なんか、送るんじゃなかったな。」


「それは止めてください。北村の奥さんがMotyの本当のリーダーに会えることを楽しみにしているんですから・・・。彼女が悪役を買って出てくれなくては解散の後の各個人のアイドル活動なんて出来ていないんですから、慰めてあげてください。」


「あれって、やっぱりそうだったんだ。」


 後から取ってつけたように報道されだしたから、おかしいと思ったんだ。ワザと北村の奥さんがそう見えるように動いていたのなら良く分かる。


「それでも、厳しいよな。中田はともかく、あとの板垣と加藤の仕事はあるのか?」


「なんで私はともかくなんですか、私の仕事も半減しましたよ。それは、移籍の件も含んでいるから、仕方が無いですけどね。一緒に移籍した加藤の仕事は単発が多いみたいですね。残留した板垣はタレント活動は諦めて、後輩の歌唱指導を熱心にやっているみたいです。」


「Ziphoneの仕事ならいくつか回せるが、できれば2人か3人くらいのセットで使いたいのが本音だ。どうしたら、いいか考えてくれるか?」


「先輩にそこまでして頂かなくても大丈夫ですよ。キタ・シャニーズ芸能事務所は金払いの良いところだったんで、いまのところ皆、生活には困ってません。どうしても、というのでしたら、私と加藤と北村の奥さんの3人を使ってみたら、如何でしょう。」

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