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第12章-第166話 こうちゃ

お読み頂きましてありがとうございます。

「多分、もう来ない。」


 俺が別れの挨拶を切り出すとクリスティーから返ってきた答えは、あっさりしたものだった。


「それが宜しいと思います。」


 こちらの世界に来た丁度1年後、日本に戻ることにした。攻略部隊の女性たちの相手を一巡したころになると、ローズ婆さんが徐々に若返りだしたからだ。このままではヤられる。


 今日という日を選んだのも、ローズ婆さんが居ないのを確認したからだ。実は昨日、例の迷宮の秘密をローズ婆さんに教え、ダンジョンマスターの座がクリスティーからローズ婆さんに代わっている。あと数日もすれば、アポロディーナよりも若い姿で現れるに違いない。


「えーなんで?」


 ここで不満を唱えているのはティナだ。


「20年後くらいに来て、よぼよぼになった姿を見られたいというなら構わないが?」


 丁度、新婚旅行から帰ってくるのがそのくらいである。万が一、さつきとギクシャクしたままの新婚旅行になったら、ここに来てティナをからかうのもいいかもしれない。


「えっ。20年後の私? イヤよ。絶対、イヤ。絶対に来ないで!」


 顔色が、さあーっと蒼くなったティナが面白いように反応する。そこかしこで同じように反応した攻略部隊の女性たちがいたが、軽いジョークということでお願いしたい。


「残念だな。では皆、達者でな。」


 右手にアポロディーナ、左手にクリス。そして、渚佑子を背負う。


「なんで私、ココ?」


 渚佑子がブツクサ言っているが無視して、『境渡り』魔法で日本に渡る。


     ★


「ほら、ここが君たちが住む予定の場所だ。」


 到着したのは、高層マンションの建設予定地だ。既に土台の工事が始まっており、多くの建設作業員が出入りしている。


「随分と広いですね。」


 アポロディーナが建設予定地の囲いがされているところを見回している。高層マンションを中心に地上3階までの郊外型ショッピングモールに4階は住民向け専用駐車スペースに5階は商業施設向け屋上駐車場。


 さらに周囲にもレストラン街併設の駐車スペースや映画館併設の駐車スペース。と、建設が進んでいく予定だ。


「ここには、そこかしこに魔法陣を埋めてあるから、気をつけろよ。」


「なんで、魔法陣?」


 魔法陣は防犯の意味もあるが、大半が渚佑子が召喚されないためだけにあると言っても過言じゃない。


「渚佑子、説明してやりなさい。」


 少々面倒になった俺は渚佑子に丸投げする。


「マイスィートホームを案内してあげる。」


 大げさな物言いで渚佑子が先頭に立って歩き出す。モデルルームに案内するらしい。


     *


「社長は、そこに座ってくださいね。今、お茶をお持ちします。」


 モデルルームに入ると渚佑子はアポロディーナとクリスに何かを囁き給湯室に入っていく。ずっとアポロディーナに引っ付いていたクリスが珍しく、俺の座ったソファの両側に別れて腰掛ける。ソファの柄が気に入ったらしくシゲシゲと柄に見入っている。


 モデルルームには、分譲マンションに設置可能なソファやベッドなどが所狭しと並べられている。もちろん、マンション購入者が独自にソファやベッドを購入しても良いが、マンションのデザインとマッチした限定デザインのものを限定価格で購入できるのだ。


 幾種類かのいろ目のソファで俺の気に入っている青のいろ目のソファに座ったのだが、クリスは左側の黄のいろ目、アポロディーナは右側の赤のいろ目のソファが気に入ったようだ。


 しばらくするとティーカップに紅茶を入れて持ってくる。


「こ、これは・・・。」


 ティーカップに口をつけるとここ数ヶ月に慣れ親しんだ味。アルテミス王宮で極秘に栽培されているという茶葉らしい。タルタローネを尋ねていくと必ず、自らの手で淹れてくれた紅茶の味。


「このところ姿を見ないと思ったら、紅茶の淹れ方を習っていたのか。」


 元々は、鈴江がタルタローネに伝授したらしいのだが、27年経ってより洗練された味に変わっていた。その味を受け継いできたらしい。


「はい。タルタローネ様には適いませんが、この紅茶でリラックスして頂けたら・・・。」


 初めは必ず、鈴江の話を所望されるのでイヤだったのだが、次第にそれも過去の出来事として冷静に語れるようになってくると、まるで本物の別れた夫婦の子供に話して聞かせるような雰囲気となっていったのだった。


 ここ1年で忙しい中、一番ゆったりと過ごせた時間だった。同行していた渚佑子は、それをずっと何も言わずに見てきたのだ。これが一番のお土産になると踏んだのだろう。


「すまない。ありがとう。」


「私たちが一生掛かっても飲みきれない量の茶葉を頂きましたから、いつでも言ってください。」


 俺は紅茶をゆっくりと味わい飲み干した。


「優しいな渚佑子は・・・。」


「そんなことは、無いですよ。ドSですしね。では、アポロディーナ、クリス。」


 いきなり、アポロディーナとクリスが立ち上がり、両側から俺に抱きつく。


「さあ、本宅に伺う前に、その怪我を治してしまいましょうね。」


 俺はすっかり油断してしまったらしい。渚佑子とクリスとアポロディーナが意地悪な顔をしている。クリスの前じゃ呻き声も上げられなかったので、阿鼻叫喚を期待していたクリスと渚佑子は不満そうだった。


 本当にお前たちは、ドSだよ。

蜘條ユリイ名義「私の彼氏は超肉食系」を公開しました。下にリンクを設置しています。

http://ncode.syosetu.com/n7052dn/


最近、ネタ小説ばかり書いている気がする。

まあ面白ければいいのです本人が(笑)


追伸:自虐ネタなのに何故かジャンル別1位になっていてちょっと複雑な気分です。


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【新作】「ガチャを途中で放棄したら異世界転生できませんでした」
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