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第12章-第162話 あぽろ

お読み頂きましてありがとうございます。


DOS攻撃のお陰でテンション だだ下がり状態ですが

なんとか今週分は投稿完了しました。


『ありゃ。バレてるぞ。』


 奥から出てきたのは、確かにアポロディーナだったのだが、男性らしき言葉遣いで俺の脳内に直接語りかけてきたのだった。


「君は・・・何故・・・若いままなのだ?」


 ダンジョンや魔獣の暴走に相当な力を使い、てきっりローズ婆さんほど老けた姿で出てくると覚悟していたのだが、以前と変わらない若い姿でアポロディーナが現れたのだ。このことをローズ婆さんが知れば、たとえ孫であろうとも手加減せずに追及するに違いない。


『おいおい。そっちかよ。伯爵が知りたいことは・・・。僕が誰だとか、知りたくはないのか?』


「アポロディーナだろ。たとえ、今は別人格が宿っているにしてもアポロディーナには違いは無いはずだ。」


 指環の『鑑』で確認してもアポロディーナとしか認識できない。もし、仮に別人格が別の名前を持っているとしたら、今までアポロディーナと過ごしてきた中で『鑑』に違う名前が表示されただろうからな。


『うん。間違ってはいないな。今のこの身体はアポロディーナで間違いは無い。まあ、僕という存在が別人格というのも大当たりだ。ただ、彼女の前世の人格だというだけで・・・。』


 人間ショックなことがおきると別人格が現れるというからな。子供が死に緊急避難的に作り出された人格の可能性が高い。前世が本当かどうかは全くわからない。


「なるほど。前世の人格と融合しなかったというわけか。」


『それはそうだろ。女性として生まれ変わっただけでも違和感バリバリなのに、性格まで女性化なんて・・・。』


 生粋の女好きらしい。トランスセクシャルを受け入れがたいというのは余程なのだろう。普通は女性の性には興味を持つと思うのだが・・・。


「でも、君をアポロディーナと呼ぶのも変だな。前世の名前を教えてくれないか?」


『アポロだ。初代皇帝の孫、ゼススの子供と言えばわかりやすいか?』


 まさかの神話の時代の一族だ。伝説では、ゼススを裏切ったあと旅に出たという話だったはずだ。


「渚佑子。この世界で彼に関する『知識』はどうなっている?」


 彼を含め、神話はたしかアポロディーナから出てきた知識だ。当時は疑問にも思わなかったが、こうなってみると嘘か真かの判断だけでなく、この世界に知識として残っている情報と照らし合わせるべきだろう。


「そうですね。あのとき、アポロディーナさんが語った内容はおおむね合っています。」


 おおむねか。真実を話しても、話さないことで話の方向性を変えられるということか。


「ということは、語られていないことがあるということだな。」


「そうですね。当時、この世界を憂えたアポロとアルテミスは結託して、主にアルテミスはゼススの油断を誘う役目、アポロはゼススを罠に掛け、殺す役目を担ったようです。その役目の違いもあり、この国での国民の鬱憤がアポロに向けられたようで、それに耐え切れなくなったアポロがこの国を出奔したと言われています。」


『おいおい。それで合ってるけどな。どこから、そんな知識が出てくるんだ?』


「そうですね。私が今、引用したのは貴方の乳母サイエンティーナさんが書き記したもので現在、この国の書庫に眠っているものです。これに当時の市民感情を著した書物などをかみ合わせてみると、およそこうだったのではと想像してみました。」


『サイエンティスか・・・。彼女だけは俺のことを・・・。』


 アポロ・・・が遠い目をしている。思い出に浸っているようだ。


「思い出にふけるのは構いませんが、彼女はその書物な中で自分の教育が間違っていたのではないかと後悔していたようです。」


『おいおい。心を抉るヤツだな。少しは感慨に耽らせてくれよ。』


 まあ。ドSだからな。


「そんな性格じゃないくせに・・・。」


『何か言ったか?』


「この国を出奔した貴方は、周辺各国で生涯自由きままに生きたくせに何を言っているんですか。特にポセイドロ国では毎年国家予算の数パーセントをその対策費用と計上されていて、ポセイドロ国の民主化傾向はこの反動だと言われています。」


『ああ。あのときが一番青春を謳歌していたな。』

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