第12章-第160話 くろまく
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ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS・ドS。
その階のラスボスは、渚佑子の姿をしたモンスターの集団だった。
俺も指環の『鑑』をしていなければ見分けがつかないくらいソックリだった。しかも、渚佑子の姿をした女性の集団なのだ。本人には絶対言えないが恐怖でひきつる。
「俺は君の姿をした生き物に手を掛けるなんてできない。すまないが全て君が倒してくれないか?」
そう言うのが精一杯の虚勢だと分かってしまうだろう。まあ、俺もそれくらいの見栄は張りたい。
「レイピアを借りますね。」
その後は殺戮劇場の始まりだった。彼女は、自分と同じ顔の生き物を殺すのに何の躊躇もせず、血を浴びることさえ構わず、惨殺を続けていく。
1体1体のモンスター渚佑子の力はたいしたことはないらしい。俺は部屋の隅でそれを見続けるしかできなかった。今のところ、こちらに向かってくる敵を漏らしていないが、目を塞ぐわけにも、敵に背を向けるわけにも、いかないからだ。
そして200体は居たモンスター渚佑子が全て倒されて、階段が出現した。
「大丈夫ですか?」
階段を登りきると血まみれになった渚佑子が近寄ってくる。
「ああ、大丈夫だ。」
内心の悲鳴を押し殺しながら、言葉を返す。
「なんなら、しばらく離れていましょうか? 女性恐怖症が発症したみたいですね。」
顔が恐怖に引きつっていたらしい。
「いや、大丈夫だ。」
俺は渚佑子に近寄り、『洗浄』魔法を掛ける。血みどろの姿から元の渚佑子の姿に戻り、ようやく一息つく。
「すみません。少し限界なんで・・・抱き締めてもらえませんか?」
流石の渚佑子も自分の姿をした生き物を大量殺戮したせいで混乱しているらしい。俺はおそるおそる近付くと彼女を抱き締めた。暖かい本物の人間だ。
俺は部屋の隅に行くと自空間からクッションを取り出し敷き詰め、渚佑子を抱き締めたままでその上に腰掛ける。
*
コツ、コツ、コツ。
モンスターではありえない靴音が響く。
やっと、黒幕のおでましらしい。
「もう渚佑子さん。あまり見せ付けないでくださいよ。何度も貴女たちの前に姿を現そうかと、迷ったじゃないですか。」
よく聞き馴れた声がダンジョンに響く。
「そう思って煽ってみたんだが、渚佑子の好意を無にしやがって「「えっ。」」」
目の前に居る人間が驚きの声をあげる。何か耳の近くでも驚きの声が上がった気がするが、気の所為だろう。
コツ、コツ、コツ。
ようやく、その人物の顔が判別できるところまで近付いてくる。まあ、ひと際大きな姿と声で判別できているのだけど・・・。
「ご存知だったんですね。渚佑子さんが・・・「止めて! 言わないで!!」」
コツ、コツ、コツ。
その人物が呆れた表情でさらに近付きつつ、言葉を返してくると渚佑子が大声でそれを止める。何か俺に聞かれたくない言葉が続く
「ん。なんのことだ? 渚佑子の嫌がることはしないで欲しいな。主に被害を受けるのは俺なんだから・・・。」
抱きついたままの渚佑子が俺の手の甲を抓り上げる。
「い、痛いって!!」
何も腹いせに俺を抓らなくてもいいじゃないか。あ―――痛てっ。
まあ、俺相手だからこんなものなのだろう。これが相手に向けられたら、ところかまわず、ぶっ放しそう・・・で・・・恐いことこの上ない。
「相変わらずですね。貴女たちは・・・。いえ、相変わらず鈍感なのは伯爵のほうでしたね。」
酷い言われようだ。鈍感、鈍感、言われるのは傷付くんだぞ。今回はちゃんと見抜いたってのに・・・。しかも、こんなに大事な場面で・・・。
「酷い言い草だな。ちゃんとお前たちが出てくると見抜いたじゃないか・・・。」
「ふふふ。そうでしたね。私が黒幕だと、いつ気付いたんですか?」
さあ、ダンジョンの奥から出てきた人物とは、いったい・・・誰なのか?
まあバレバレですよね。
さてクライマックス。
次週をお楽しみに(笑)




