第12章-第158話 すてみ
お読み頂きましてありがとうございます。
遅れてごめんなさい。投稿時刻を間違えました。
結局、その後18回もしてしまった。途中、口の間からポーションの液体が漏れてしまったからだと思う。
漏れた後に睨まれ、次回以降、背中に回されている腕の力が入り、なぜか足まで絡み付いてくる。密着度が増し、更に熱の入ったキス・・・いや口移しとなっていた。
こんな濃厚なヤツ、奥さんたちともしたことが無いぞ。足まで絡み付いてきた結果、俺の苦行度は数段増している。一瞬でも反応したら、バレてしまうからだ。
「まだ足らないです。なんで、そんなに大汗かいているんですか?」
そう言いながらニッコリと笑う。可愛い。アップで見ると物凄く可愛い。イマドキの娘さんのように付けまつげを装着しているわけでも無いのにまつげが随分長い。
「本当に足らないのかい?」
大汗かいている理由なんて放っておけ。説明できるわけがないだろ。
「本当に足らないです。」
「ならば何故、指環の『鑑』で見た君の魔力値が見えなくしてあるのだい?」
『勇者』は、ある程度ステータス値を隠しておけるようになっているからだ。まして、渚佑子は3度目の召喚の際に基本的なスキルのレベルも上げてもらっていたはずだ。
そのとき特定の人間にだけ、公開することもできると聞いた覚えがある。実際にダンジョンに入ってからというもの、魔力量が見えるようになっていたのだ。
「・・・それは、プライバシー侵害です。」
いまさらである。
いきなり、彼女の魔力量が公開される。だが、おかしい。
「・・・何故、減っていかないのだい? 今、魔法を使用中だよね。」
今、抱き合いながらも魔法で空中を飛んでいるから、常時魔力を消費して減り続けているはずである。それが微動だにもしない。
「ちっ・・・。」
舌打ちされてしまった。どうやら、偽装していたらしい。そういえば、いつだったか偽装することもできるって聞いたな。そうそうポセイドロ国の議長が転生者かどうか聞いたときだった。
渚佑子は隠せるとだけ聞いたが実は偽装もできたんだ。
「そんなに俺をからかうのが面白いのかい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
だから何故、そこでむくれる。からかったのは君だろう。
諦めたのか。渚佑子の魔力量が満タン近くになった。もちろん、僅かずつではあるが減り続けている。
「ボス部屋に行きます!」
渚佑子は、ボス部屋に入るとうっぷんを晴らすかのように大幅に過剰な攻撃魔法で一撃にボスをやっつける。何か怒っているらしい。若い女の子の考えていることは良くわからん。
その後も抱きついたまま、苦行は続く。結局は口移しでも1本分で十分に回復することが分かっている。しかも、嬉しそうに口移しされている姿を見るとまるで渚佑子が恋人であるかのようで錯覚してしまいそうでヤバイのだ。
「ご馳走さま。おいしかったです。」
おいおいどう考えても不味いだろ。あの青汁のような味が渚佑子に全てを注ぎ込んだあとでも尾を引いている。ファーストキッスはレモン味とか言うが青汁味じゃあ、後々うなされそうだ。
それとも・・・。
「大丈夫か? もしかして、味覚障害じゃないのか。日本に帰って医者に見てもらったほうが・・・。まてまて、冗談だって!」
渚佑子は俺を叩こうと手を振り上げて・・・。
「おいおい。右腕自由に動かせるじゃないか? 君が手の力を緩めると落しそうだと言うから、口移しにしたのに・・・こうやって、手渡しすれば良かっただけなのか?」
手に持ったままのポーションのビンを渚佑子の右手の届きそうな範囲に持っていくとビンを奪われ、投げ捨てられた。ヤバイヤバイ。何か怒っているらしい。
渚佑子の捨て身の作戦も失敗しました。さあどうする。




