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第12章-第154話 げんえい

お読み頂きましてありがとうございます。

「ここは確か。」


 アルテミス王都の近くにあるという、クリスティーが向かい戻ってこなかったダンジョンに到着する。


「そうなんです。伯爵に作って頂いた練習用ダンジョンの跡地なんです。」


 近くまで行くと大きな塔がそびえ立っているのが見えた。おかしい、ここならば王都からも丸見えのはずだが、王都からは見えなかった。


「幻影の魔方陣の上に建っているのか?」


 幻影の魔法陣は良くモンスターボックスの手前に仕掛けられており、先は全く普通の道のように見えるが一歩入ると部屋一面にモンスターが居るというトラップになっていた。


「そうなんです。1メートルまで近寄らないと見えない仕掛けのようです。高さもいったいどれだけあるのか・・・。」


 塔を見上げるがどこまででも続いているかのように見える。


「この練習用のダンジョンはどういう使われ方をしてきたんだ?」


 俺は塔の天辺を見据えるようにしてティナに問い質す。


「攻略部隊が解散するまでに地上5階建てまで拡張して練習用として使ってました。その後は、誤って誰かが入ると危険なので周囲を封鎖していました。偶々、入り込んだ子供から噂になり、調査のためクリスティーが単独で向かったのです。」


「責めているわけじゃないが。なぜ、1人で行かせたんだ?」


「魔獣の暴走により、余分な人員を割ける状況じゃなかったことと、クリスティーの足でまといにならない人間がいなかったのが原因ですね。」


 そこまで熟練を積んでいたクリスティーが居なくなるとは、いったい何があったのだろう。


「拡張工事を指揮したのは?」


「当時の攻略部隊のトップたち、アポロディーナ様と私たち各組の組長ですね。まあ、実際は私以外の組長は爵位と共に頂いた領地運営に苦慮しておいででしたので、実質私とアポロディーナ様ですね。何かお疑いの点でも・・・?」


「いや、疑っているわけじゃないんだが、これだけ広範囲に幻影の魔方陣を・・・そういえばアンドレ、ここに敷いた耐久性を上げる魔法陣なんだが・・・まさか、幻影の魔法陣に書き換えられたりしないか?」


 今回、万が一の備えとしてアンディ老とローズ婆さんにも塔の前まで同行してもらっている。


 魔法陣を持ち帰ったあとに気付いたのだが、基本チバラギで作成できる魔法具と図式を書く材料は同じらしいことまではスミス金属で分析が済んでいる。


 昔、魔法具作りのことでいろいろとアドバイスを貰おうと大家さんに質問した際に間違った図式は書き換えられることを聞いた覚えがあったのだ。


「できないことはないの。耐久性を上げる魔法陣と幻影の魔法陣か・・・似ていることは似ているが30箇所は手直しが必要じゃぞ・・・。だが、いったい誰が?」


「さあ、でもあなた方一族の係累の誰かでしょうね。そもそも、ダンジョンを作り変える能力が無ければ、魔法陣の上のダンジョンを除けれないですから・・・。」


「わしら一族を疑っているのかね?」


「いえ伝説ではアポロという人物が帝都から去っていますよね。その係累の可能性はありませんか?」


「わからん。タンタローネなら何か知っているかもしれんぞ・・・。」


「あの娘にあの時代のことを聞けと言うんですか!」


 聞けば教えてくれるかもしれないが・・・彼女にとって良い時代だったとは思えないあの時代のことは聞いたらダメだ。少しでも傷付いた顔をされたら、こっちが立ち直れない。


「ありがとう。そんなにも大切に思ってくれて、わしらはお主に厄介ごとばかり押し付けているというのに・・・。わかった。わしからそれと無く聞いておくよ。」


 表情に出ていたのか。アンディ老がそう言ってくる。


 俺が聞くよりも彼女の父親に似ているというアンディ老から聞いて頂いたほうが良いだろうな。彼女と彼女の父親は良い関係を築けていたみたいだからな。俺もアキエとそういう関係が築けているだろうか。


 最近、放りっぱなしだ。スキンシップもろくにしていないような気がする。


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