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第11章-第152話 ぶったい

お読み頂きましてありがとうございます。

 翌日、ポセイドロ国に『移動』する。ローズ婆さんの案内で廃墟となった議事堂の一角に偽装された地下迷宮の入り口に案内される。


 今回の魔獣の暴走は前回と違い奇妙な部分が多いのだという。前回は餌にありつくために農業を営む村々が標的になったことが多かったのだが、今回は人々が多い地域に出没するのだという。


 初めは小都市に現れ、その次は大都市、そして王都とまるで人の息をかぎわける蚊のように人が多い地域に出没していったという。逆に人の少ない農村には現れないため、人々は農村に身を寄せるようになっていったのだという。


 しかし、農村も人口がある程度以上に増え街になると魔獣が出没したらしい。結局は、各国の首都の地下迷宮にするしか手段が無くなったらしい。だから食料は問題なく供給できているらしい。


「そうすると君たち一族に一番負担が掛かるようになった。というわけなんだな。」


「ええそうね。本来の持ち主である各国の王の力量だけではすまなくて、私たちも駆り出されているというわけなのよ。」


「あれっ。ポセイドロ国はローズさんの担当なのだろう?」


「実際は前回支配下に置いたダンジョンマスターにやらせているわ。それでも、私の力を使う量をゼロにすることはできなくて、こんな姿になっているのよ。」


「クリスティーは一族の長だから、支配下の置くダンジョンマスターを増やそうと遊撃に出ていたというわけか。」


「そうね。こんなことになるんだったら、クリスティーにも担当分けするんだったわ。それならば、貴方の前にもっと若く綺麗な姿で出られたというのに・・・。」


 化粧品を1セット渡したせいで、皺だらけの顔を埋めるように化粧が乗せられている。流石にパテ職人と呼ばれるBBファンデーションだ。20歳は若く見える。


「大丈夫だよ。十分若いって。」


 首筋との境さえ見なければな。


     *


「あらかじめ言っておくわ。ミネルヴァを見ても驚かないであげてね。この部屋にいるから、どうぞ・・・。」


 珍しく同席しないらしい。渚佑子も遠慮するように言っている。


 なんだろう? 病気か何かだろうか。


「・・・・・・・・・・や、やあ。こんにちわ。」


 『鑑』で見るとたしかにミネルヴァだ。ミネルヴァに違いないんだけど・・・驚くなというほうが間違いだ。目の前に居た物体を見て誰がミネルヴァだと判断するのだろう。


「伯爵! 本当に伯爵だわ。」


 その物体が振り向くとその巨体を揺らして突進してくる。俺は壁とその物体に挟まれて動けない。なんて力だ。


 これがあのミネルヴァなのか?


 あの可憐だったミネルヴァなのか?


 冒険者出身じゃなかった分、頑強とは程遠い体形だったのに・・・。


 それなりに年齢を重ね、それなりに肉付きもよくなっていることは覚悟していたことだが・・・いくらなんでも太りすぎだろう。


 たしか、当時20歳そこそこだったはずだ。攻略部隊の中では最年少、ほらお肌なんかもすべすべもちもちぷくぷくだ。


「聞いたわよ。ティナお姉さまと一夜過ごしたんですって・・・。」


 誰だ。『移動』を上回るスピードで広めているバカは・・・。ローズ婆さんだな。還暦過ぎの女性たちとの既成事実を推し進めて、ちゃっかり次は自分の番とやらかすつもりなんだな。本当にブレないなあの人は・・・。


「ああ、もちろんだ。あいかわらず、うなされるんで添い寝をしてもらったんだ。」


 俺がうなされるシーンは見ているはずだから真実味はあるはずだ。


「添い寝なんですか・・・。そうですか・・・。」


 あいかわらず、騙されやすいらしい。多少罪悪感はあるが、この巨体に踏み潰される趣味も無ければ、踏み潰す趣味も無い。


「では今日も誰かにお願いするんですね。」


「本当はミネルヴァに頼みたかったんだが・・・一晩中、起きているのはつらいだろう?」


 照れくさいがティナは実際に俺の姿を目に焼き付けるとか言って、一晩中起きていたのだ。


「そんなことないです。」


 とりあえず、一晩中起きていてもらえば圧死するなんてことは無いだろう。どう考えてもベッドの上での肉弾戦の相手として不適当だ。まあ、あのお腹周りはぷにぷにしてみたいのだが・・・。


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【新作】「ガチャを途中で放棄したら異世界転生できませんでした」
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