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第11章-第150話 こうきゅうへのだしん

お読み頂きましてありがとうございます。


遅くなりました。申し訳ありません。

「何故。ここにアンドレが? その席に座るのは現国王のはずでは?」


 ティナと息子であるテオと共にアルテミス王宮で会議に参加している。ここは、大臣クラスの人間が国王の元で活発な意見を出し合い物事をきめていく場であるらしい。


「ああ。息子は今、地下ダンジョンの拡張工事の真っ最中じゃろうて・・・。まあ、トム殿の顔を見たくないというのも男としてわからんわけじゃないからのう。好きにさせておるのじゃ。」


 それって、実質引き篭もっているのでは・・・アンディ老の『男として』というところが引っ掛かりを覚えるが追求すべきじゃないのだろう。


「それではダメです。あの方が反省して二度とこのような事態を引き起こさないことが肝要でしょう。」


 議題は攻略部隊の再結成についてなのだが、俺が去った10年後に後継である現国王がまず最初に行った議案に攻略部隊に対する支援支出の停止がある。そのことをティナが指摘しているのであろう。


 そのことから、各国からの支援を受けられなくなった攻略部隊の解散に繋がっていったのだが、俺の中では織り込み済みのことで、10年も支援を続けてくれただけでも十分だと思っていた。だが実際には、支援だけでなく優遇制度から各国の拠点の閉鎖と続いたことが攻略部隊の解散となってしまった。


 こんなことならば、半官半民の組織にせずに完全な民営の組織として各国の拠点を買い取り運営していくべきだったと反省しているところだ。俺という頭が居なくなっても、そのくらいの判断が彼女たち攻略部隊の人間にもできるだろうと踏んでいたのが失敗の原因だ。


「まあ、いいじゃないか。この場はこれからのことを話し合う場なんだろう?」


「ダメなんです。あの方の立場に居る人間が意図して攻略部隊を潰そうとすれば、いくらでも潰すことができますからね。」


「えっ。現国王が意図的に潰したというのか?」


「ええ。初めは脅しだったみたいですが・・・次第にエスカレートしていって、最終的には各国に根回しして全ての権利を取り上げてしまいました。流石に伯爵自身に対するものと各組のリーダーが頂いた爵位だけは取り上げられませんでしたが・・・。」


 俺がここに集まったこの国の宰相や担当大臣の顔を見回すと顔を背けられてしまった。本当のことらしい。


「ゴメン。ティナの視点で構わないから、詳しく教えてくれないか? 貴方たちも反論があったら、その場で発言してほしい。」


 俺は周囲に向かって頭を下げる。こうすれば、とりあえず嘘はつかれないだろう。


「そうね。多分、一番初めは私のところに打診があったの。後宮に入らないか? と。」


「ちょっと待った。失礼だが当時君には子供も居て、40歳も越えていたのだよな。そんなことって有り得るのかい?」


「有り得ないでしょう。年齢も高く、出産経験もある女を後宮に入れたいだなんて・・・。普通ならば、若くて後継を残せる女性を選ぶはずよ。もちろん、私は断りました。何かの間違いだろうと・・・そうしたらね。今度は、他の攻略者たちに打診がいったみたい。」


「それは本当のことなのか?」


 俺はその場に居る。それを指示したであろう人物たちを見回して言う。


「ああ。本当のことじゃよ。アイツめ。わしに隠れて、攻略部隊で下働きをしていたらしいのじゃ。」


 宰相クラスの人間たちは口に出したくないのか、代わりにアンディ老が口を挟んだ。アンディ老も人のことを言えない。冒険者ギルドのギルド長などという裏の顔を持っていたのだから・・・。


「そうなのよね。まさか、私の相方だった彼が国王になるなんてね。」


「本当によく見つかりませんでしたね。初期のころは彼らがギルドに出入りすることも多かったはずですが・・・。」


「のう。それが不思議で不思議で・・・。」


 ああ、そういえばこの人はギルドの仕事をクリスティーに押し付けて、ギルドに滅多に居なかったような・・・。


 ここまでくれば、先が読めてしまう。国王になった彼は、ティナに未練があったのだろう。襲爵していない彼女なら堂々と後宮に招くこともできると踏んでいたのだろう。


 だか断られてしまった。元々、攻略部隊の女性に対する恩賞の一環として大臣たちに指示していたのかもしれない。だがそれの悉くが拒絶されてしまう。相手が国を救った攻略部隊の人間では強制的に入れることも適わない。


 顔を潰された彼は思ったのだろうな。攻略部隊さえ無くなってしまえば、なんとかなる。と。


「それで攻略部隊が解散したあとも打診は続いたのか?」


「ええ。今回の魔獣の暴走が始まるまで続きましたね。それからも続くようならば、この件に噛んでいるんじゃないかと疑うところでしたが、流石にそれは無かったみたいですね。」

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