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第10章-第140話 むしゃっきん

いつもお読み頂きましてありがとうございます。

 恐い・・・。誰か・・・止めて・・・お願い・・・。でも誰の表情も見ることができない。鈴江とその横に寄り添う幸子の顔以外には・・・。


「なっ! なにを突然、怒りだしているのよ。仕方が無いじゃない、あの時はトムは外出ばかりで相談もできなかったのよ!」


 もうここまでくると幸子が勝手に鈴江の代弁をしている。あのときの鈴江を知っているのが自分しか居ないんだとう義憤に駆られているのだろうが・・・。それが何を意味するのか・・・分かっていないらしい。


「俺は古参のリーダー格の人間だったお前たちには言ってあったよな! 経営は大丈夫だと決算書類を見せて透明性を追求していたつもりだった・・・。」


 それによってリーダー格の人間に安心感を持たせられれば会社が良い方向に回ると信じて・・・。それなのに、何も通じていなかったとは・・・。


「透明性ってなによ?」


 これだ。あんなに政治家に対しては透明性の追求をばかり要求するにも関わらず、透明性自体が何かを理解していないらしい。


「それも説明しただろう。今ならパートの人間に5万円のボーナスを支給をすることができるけど、それを今やってしまうと売り上げが半年下がっただけで最低時給を下げなくてはならなくなると・・・。それでは人が集まらなくなるから、我慢してほしいって。」


 もちろん、資本金としてプールしたお金で借りていた店舗を買い上げ減価償却することで余剰資金を生み出していたのだが・・・それは、元々俺の金だから関係無い。


「それが経営にどう関係するのよ!」


 まだ細かく説明しなければいけないのか。冷静に・・・冷静に・・・。


「たとえばあのとき40名のパートがいたのだよ。つまりあの時点で200万円の余裕があったということだ。」


「たった200万円じゃないのよ。」


 ああ、もうこれ以上説明したくない。こいつの金銭感覚が今と昔では全く変わっているようだ。まあ、今は年収1000万円ベースだし、アメリカに行けば2000万円ベースだ。それに比べれば200万円なんて、はした金に過ぎないのだろう。


 だが経営者はそうはいかないのだよ。俺も会社を始めたばかりの頃は苦労した。それまでの金銭感覚をすべて投げ出さなくてはならなかったからだ。このくらいなら・・・とか思ってしまうと・・・大赤字になってしまう。


 自分がアルバイトだけで生活している人間のつもりでいて丁度いいくらいなのだ。


「まあ、すぐに会社が潰れるほど、金に困ってなかったということだ。それに説明しただろう。この会社は借金をしていないんだって。」


 由吏姉に借りた資本金は俺個人が借りている金だ。代わりに形として株式を差し出していたが、ほぼ現金化できない紙切れだ。


 一番初めこそ、地元自治体の無利息の資金を借りたが、その返済も滞りなく終わっている。


 実はこれは凄いことで、10年間売り上げが3割下がったとしても持っている資産を切り売りすることで維持できるだけのお金を会社内に溜め込んでいたのだ。


 まあ、100円ショップの業界は3割落ち込むことなんて滅多になくいつも平均的な売り上げがあったからこそ、このフランチャイズを始めたのだが・・・。


「それって、普通じゃないの?」


 もうやだ。世の中の会社で無借金でやっている会社なんて、どこかの親会社が資金を出している会社を除く単体の会社だけだとほぼ無いに等しい。あったとしても、バブルの時代に株式公開して潤沢な資金を資本金に溜め込んだ会社くらいだ。


 大手企業でもというよりは、大手企業になればなるほど、設備投資額が高額になるため、銀行に借りずにすむはずがないのだが・・・就職活動の際に決算報告とか載っている資料とか見たことがないのだろうか。


「そういった一切合財の資料を見せて説明しただろう。それが透明性だということだ。本来、社員には見せなくていいものなんだけどな。」


「そうなの・・・。でも、それとこれとは、話が違うじゃない! 鈴江は、貴方のことを思ってしたことなのよ!!」


 はあ。


 ため息をつく。誤魔化しきれなかったらしい。幸子が熱くなっていたから、なんとか逃げ出せると思ったんだがなあ。言ばやに説明しすぎたかな。


 いかんな。俺も幸子相手に熱くなってしまったらしい。

もちろん、無借金の会社が少ないなんていうのはトムの印象です。実際に調べたわけではありません。

トムの会社も一時的な決済用資金は借りてますが決算時にはすべて返済しています。

いざ、銀行に資金を借りる必要が出てきた場合、資金の借り入れと返済状況と決算書類で借り入れ利率が決まるので・・・。

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