第10章-第134話 ゆっくりと
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結局、ツトムは日本に戻ることになった。彼にも思うところがあったらしい。1年後には恩赦が出て、家族の元に戻るというストーリーがおじゃんだ。
それに就職先の世話をしてやろうという俺の言葉にも首を振った。一人でやっていく気らしい。まあ、モモエさんが蓄財していた銀行のカードを渡していたが、どうやって生きていくつもりなのだろうか?
「だから、そこが甘いんです。もう放っておいてやってください。」
俺が半年に1回くらい生活状況を調査して連絡を入れるとモモエさんに言うとまたお小言を言われてしまった。どうも、俺は甘いらしい。
まあ確かにもう俺の従業員じゃなくなったツトムを管理下に置こうというのは間違っているけどね。
・・・・・・・
「もうママっていう年でも無いですし、連絡はスカイペで取ってますから状況は分かっています。」
幸子がアメリカに渡ることを静香に伝えたのだ。まあ、日本とチバラギ国ほど離れているわけではないのだから、気にしていないらしい。
「それでどうだ。勉強のほうは?」
なんかお父さんと娘の会話になっている。幸子さんの娘なんだから、義理の娘になるのだろうか。
「ええ、太鼓判を押してもらえました。いつでも、勤務先を割り振ってもらってかまわないですよ。」
彼女には、管理官という仕事に勉強をしてもらっていたのだ。管理官というのは俺の代理人として行政を行うことができる人間だ。
元々私立の学校に入学できるほど勉強のできる子だ。記憶力も抜群にいいらしい。この子の教師である王宮職員の話でも優秀だと聞いていたのだ。
「そうか。早速、行って貰うところを決めるよ。」
「はい。それでごほうびなんですけど・・・キスしてください。」
さすがは親子だ。ご褒美を要求される。まあ、キスというのはかわいらしいが・・・。
側室に内定はしていたのだが、実は全くの清い関係だったのだ。そろそろ、1歩進めなくてはいけないらしい。
真っ赤になって俯いている姿はまだ子供だ。
「そうだな。顔を上げなさい。」
俺がそう要求すると顔を上げて目を閉じる。臨戦態勢は整ったというところか。
「ん…む……ふ…、ふぁー。…待った……待って!」
「なんだ。もう終わりか?」
いきなり、濃い奴だったせいか呼吸がうまくできなかったらしい。現代日本で耳年魔になっていたのだろうが実戦経験は無かったらしい。
「いや……あの……その……。」
「ゆっくり進めていけばいいじゃないかな。何をそんなに焦っているんだね。」
もちろん、いきなり濃いキスをしたのは、ワザとだ。こちらの世界の人間とは精神年齢が違うのだ。ミンツと同世代とはいえ、そんなに焦る必要は無いと思うのだが・・・。
「だって、みんな幸せそうなんだもの。早く体験したいのに・・・。ダメ?」
上目遣いで見上げてくる。いろいろ、煽ろうと工夫しているのが痛々しい。まあ、こちらの世界では十分大人の年齢なのだから、手を出しても問題ないのだが。
「いいのか? 初めは辛いだけだと言うぞ。」
「はい。」
・・・・・・・
翌朝、無理をさせすぎたのか、彼女は起きてこれない。
「本当に大丈夫か?」
「ツライけど。嬉しいの。トムのほうこそ、あれで足りたの?」
もちろん、足りないのだが初めての娘相手に2回戦目を強要するバカはいない。なるべく早くすませて、ゆるゆるといちゃいちゃし続けただけだ。
「煽らない。煽らない。次回からは本気でいくから、覚悟しておきなさい。」
俺も身体は1コだ。次に順番が回ってくるのは1ヶ月後くらいだろう。ちょうど、幸子と同じ周期になりそうだ。
しかし、空間連結魔法で有線LAN網を張り巡らし、俺の管轄する全ての屋敷でWifiを使えるようにしたはいいけど、なにやら情報がつつぬけだな。特に奥さんたちの情報交換の速度は速すぎる。もしかして、自分の首を自分で絞めてしまったのではないだろうか?
いよいよ「ネトラレ悪役令嬢は復讐を果たせる?」も第1章のクライマックスです。
こちらは普通?の「異世界転生」恋愛物となっております。
ショウコが初めて召喚された世界のお話です。
どうぞよろしくお願いします。




