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第1章-第2話 かんきん

いつもお読み頂きましてありがとうございます。

 昨日はあの後、後宮の侍女達に豪華な浴室で身体を洗い上げられた。


 もしかして、このまま、お勤めなのか・・・と思ったがそんなことは無いらしい。簡単な夕食を頂いたあと、寝室に案内されると疲れていたのか泥のような睡魔に襲われ眠りについた。


 翌朝、男子禁制の後宮に俺がいることは不思議ではないのかとそれとなく侍女に聞いてみたところ、普段からセイヤは出入りの商人と親しくなると、後宮で饗されることが多いらしい。


 それで、出入りの商人の身分証明なのか・・・。


「あのあたり一帯が、貴金属が売られている店舗が多御座います。」


 翌日、約束通り国王夫妻と豪奢な馬車で外出した。市中を案内してくれるらしい。俺は他国から来た商人という設定で、陛下の視察を兼ねており、紹介という意味でもあるらしい。


 馬車はある場所で止まり、侍女が案内してくれる。


「陛下、このようなところにいらしていただき感謝いたします。今日はどういったものをお探しで御座いますか?」


「今日はのう、このトム殿をお連れしたのだ。トム殿は他国の商人でのう。是非ともこの国の貴金属を取り扱いたいと申すので、ここに連れて来たのだ。よろしく頼むぞ。」


「あいわかりました。勉強させていただきます。それにしても、トム殿とはどういうご関係ですかな。いつも、陛下が商人を遇されることはめずらしいことではありませぬが、ここまで敬意を持って遇されるのは初めてみました。」


「ああ、王室に近しい侯爵家から、他国の貴族に嫁がれた方の子供でのう。すでに長男は襲爵しておる。5男である彼は、その貴族ご用達商人になったのだが、その国で成功を収められた。こうしてこの国へ伝手を辿って、買い付けにやってきたというわけなのだ。」


「それはそれは、是非とも私共も、お付き合いさせて頂きとうごいざいます。トム殿、よろしく頼みます。」


 うーん、長い挨拶だ。


「こちらこそ、よろしくお願いします。なにぶん、この国は初めてですから、右も左もわからず戸惑っております。そこに陛下にお力を貸していただけることに感謝の念がたえません。」


「本国ではどういった商品を取り扱っておられるのですかな?」


 セイヤには敬意を持った話し方にどうしてもなるが、商人同士の話になるとざっくばらんだ。それでも、セイヤの前だからか慇懃な態度だ。


「いえ、何でも屋なんですよ。貴金属もあれば、庶民のための商品もあります。例えば、このピーラーという商品なんですけど、本国の店のヒット商品の一つでこのように簡単に野菜の皮を剥くことができます。」


 貴金属店の店頭で野菜を剥くことになるとは、思わなかったが簡単に披露する。ちなみに野菜は、ここに来る前に披露するため用に市場で買いこんできていたりする。


「おお、すごいですね。私、一人暮らしで料理をよくするのですが、この皮を剥く作業が一番大変なんです。是非とも購入したいですね。ちなみにお幾らですかな?」


「はい、100Gです。これは差し上げますのでお使いください。」


「え、頂いてもよろしいのですかな?ありがとうございます。」


 ちなみに、こうして店頭で披露する商品は幾つか侍女に見せ、説明し使ってもらったところ、このピーラーが見たことがなく、使いやすく便利と言われたことから決めた。


 披露する際の説明も簡単だ。まあ、商社時代のプレゼンで、散々、こういったお客様の目の前での披露は経験したのだ。だから、この世界でも容易くできる。


 将来的に、この国に店舗を持つ際には、この国に無い商品で100円ショップならぬ、100Gショップを営もうと考えている。ピーラーは日本でも売れ筋商品だが、どんどんいろんなタイプの商品が発売され、実は倉庫に在庫がダブついているのだ。


 これでこの国でダブついた商品を裁ける。この国に特許などないようだが、少なくとも王室ご用達の商品を真似して売る商人はいないだろう。もし真似されたとしても、おそらく1G=100円くらいの価値と思われるので、幾らでも値下げできる。


 この店では、宝石や金のネックレスを取り扱っているようだ。この世界の宝石が日本で価値があるのかわからない。わかるように日本で訓練したあとで十分だし、宝石を裁くルートもないので、金のネックレスに目がいく。


「この金のネックレスなのですが、金の含有量はどれだけなんでしょうか?」


「基本的に100G硬貨と同じですので4分の3です。」


 そうか18金か。まあそんなものだろう。純金だと言われても見分けがつかないし、この世界の純金が日本のように99.999%の純度があるとは限らないので、これを買っていくことにした。


 このようにして、10店舗あった貴金属店すべてを回り、セイヤに貰った資金の内9万Gと少しを使った。


・・・・・


 次は庶民的な雑貨屋に案内して貰った。流石にセイヤは付いてこない。馬車で待っているという。ここに来たのは、この世界の雑貨屋にどんな商品があり、どういった値段で売られているのかをリサーチするためだ。


 侍女達には、すでに日本から持ち込んだいくつかの商品を渡して、確認して貰っているが侍女が買うものは出入りの商人からのみであるため、庶民の実情がよくわからなかったのだ。


 もし、面白い商品があれば、買っていって100円ショップで売るのも面白いかもしれない。まあ100円で売るのは無理だろうが・・・。実は100円ショップのFC契約の際に他のFCとは違いFC元の商品だけではなく、独自に商品を仕入れて売ってもよいという契約を結んでいる。


 この世界にも紙はあるのかノートなどは結構安く売っている。安いといっても10G程なので、大量に持ち込めば、利益はあがるだろう。しかし、まずは大きく利益をあげたいので保留だ。


 あまり難しい商品を持ってきても売れないだろう。簡単に使用できることは必須条件だ。密閉式の食品保存容器が、いいかも知れない。そんなことを考えながら、雑貨屋の店内を歩き回る。


・・・・・・・


 次は不動産屋だ。まだ店舗を借りるつもりはないが、相場を確かめておきたい。


「広さはどれくらいですか?倉庫は必要ですか?どの辺りにしますか?」


 不動産屋に入ると、矢継ぎ早に質問される。まずは、試験的な出店なので小型の店舗。商品の補充は1週間ごとだから倉庫はいらないだろう。


 庶民でも下層の相手では、100Gの商品を売るのは無理だろう。家賃は高くなるだろうが、上層か貴族の奥様を相手するような場所を指定する。


「そうですね、月1000~2000Gくらいでしょうか。年契約ですと10ヶ月分です。」


 後宮の侍女の案内のせいか、年契約だと割り引いてくれるらしい。


・・・・・


 後宮に戻り、比較的豪華な夕食を取った。セイヤはあまり贅沢をするたちではないようだ。それでも、質は最上級のものを使っているのだろう。味も満足できるものだった。


 夕食の最中もいろいろと侍女やセイヤ、王妃様からいろいろ情報を頂いた。特に目を見張ったのは、頂いた指輪のことだった。指輪は、例の合図の機能のほか32種類の魔法が使える魔道具であった。


 『炎』は、念じるだけで、指先の2センチほど先からライターのように火が出て来た。『水』は、指先からコップ1杯の水が、『風』は、指先から数センチだけだが強い風が吹く。


 特に『雷』は、指先を人に触れさせると電撃ショックを与えるという。日本で身を守る手段として、使用するように言われた。スタンガンのようなものだろうか。


 そして『癒』は、小さな怪我ならすぐに。大きな怪我でも50秒ほどで治してしまうという。怪我はしないほうがよいが、なにかのときに使えるだろう。


 32種類全部の魔法をとくとくと説明された。覚えきれないので、日本から持ってきた商品にあったノートに筆記用具でメモしておく。


・・・・・


 いまさら、恥ずかしいが帰る前に絶対に聞いておかないとな。


「それで、王妃様のお名前は、なんて仰るのですか?」

誤字脱字報告をしてくださる方へ・・・その1


余りにも指摘が多いので・・・「裁く」は「捌く」の常用漢字で、同じ意味として使えます。

この作品を執筆したころ、このサイトって小中学生向けと言われていたので、常用外漢字を避けています。

尚、書籍化の際は中高生向けとして、多少難しい漢字も使用しております。


明らかな誤字のみ辞書を確認してから指摘願います。

宜しくお願い致します。

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