表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
296/563

第10章-第130話 よだれ

お読み頂きましてありがとうございます。

「ありがとうございました。」


「えっ。なんのことです?」


 晴明神社に深夜営業用店舗のダミー用のお札を貰いに行ったところ、千代子さんのお父さんから、お礼を言われたのだ。


「トム社長のお陰で千代子が安倍一族の次期当主に選ばれました。」


 そんなたいしたことはしていない。チバラギ国に連れていっただけだ。あとは、元筆頭魔術師のアヤにお願いし1週間滞在してもらっただけ。


 アヤによると職業は魔術師と出たし、風魔法に対する資質も人一倍あるらしい。特に風を読む能力に関してはアヤも上回る能力を秘めているらしい。


 安倍晴明は天気を操れたというから、風を読み先の天気を予測して予知してみせたのだろう。


 まあ、千代子さんには養殖というズルもしたから、もしかすると天気も操れるかもしれない。


「当主? 今、秘書を辞められると困るんですけど・・・。」


「名目上だけですよ。昔は時の権力者に可愛がれ、国を与えられた例もありますが、今は年に1回、紙飛行機の飛ばしっこをするくらいですね。」


 それで紙飛行機なのか。一族の集まりでは、どれだけ長い間、紙飛行機を飛ばし続けられるか競うそうだ。


 千代子さんは一族の中でも、1位、2位を争うくらい長く飛ばせたということだったが女性だというだけで当主に推挙さえもされなかったそうだ。


 それが『フライ』で自分自身を紙飛行機に見立てて自由自在に飛び回り、長老の度肝を抜いたそうだ。さらに、次期当主の有力候補だった男性を100メートル上空まで連れて行き、半泣き状態にしたという。


「よかったですね。」


 少し引きつっていたかもしれないがポーカーフェイスを貫いた。しかし、派手にやってくれたものだ。


 普段の千代子さんでは考えられないな。余程、鬱憤が溜まっていたのだろう。


 普段の秘書ぶりは完璧で仕事人間と言っても過言ではないだろう。こちらで質問するであろうことはほとんど調べつくしており、ゴン氏さえ許してくれれば、自分の会社とZiphoneの2足のわらじをお願いしたいくらいだ。


 一回アプローチをしてみたが、やんわりと断られた。まあ、俺の会社とZiphoneでは較べるべくもないだろうからな。


「千代子のやつ、言ってましたよ。秘書は天職だって、社長の顔を間近に見続ける役得が捨てられないのだそうです。」


 ああ。俺の会社ではプロジェクトの1つを担当させると言ったから断られたのかもしれないな。今度、俺の会社でも秘書をやってくれと言ってみようか。


 まあ、それは公私共にさつきの仕事だから、勝手に取り上げたら怒るか。


「俺の顔ですか?」


「何を言っているのよ。お父さん!」


 お札を貰うだけのつもりで車を降りてきたのだが、長い間立ち話をしたせいで車のなかで次の仕事の下調べをしていた千代子さんが覗きにきたようだ。


「そんなジっと見るほど俺の顔って、そんなに面白いか?」


 改めて千代子さんに聞いてみる。確かに時折、視線を感じるときがあるのだが、そんなに面白い顔をしていただろうか。気をつけないといかんな。


「えっええええええ、知っていたのですか? 私が見つめていたことを・・・。」


「自分では普通のおっさん顔だと思うのだが、どこか変か? それとも変顔コレクターだとか。」


「変顔って・・・。まったく、鈍感もここまでくると害悪ですね。アヤ先輩が言ってました。チバラギ国では、側室の席はまだ空いているよって。」


 確かに俺は王族であるため特に側室の数に制限は無いし、セイヤにも再三に渡り、側室を増やすようにせっつかれているのだが・・・。


 今でも側室の夜の相手をするのに1ヶ月に1度くらいなのに、そんなに増やしたら、次の逢瀬では名前を覚えるだけで精一杯になってしまうだろう。いくらなんでも、それは失礼だろうから、断っているのだ。


「もっと、俺の変顔が見れなくなるぞ!」


「ええ。でも、もっと間近で見れるわけでしょ。秘書じゃ、そんなチャンスは無いし・・・。せいぜい、お疲れのときの寝顔を覗き込むことくらい。」


 うわー。そんなことをされているのか?


 よだれとか垂らしていかなったか俺。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】「ガチャを途中で放棄したら異世界転生できませんでした」
https://ncode.syosetu.com/n4553hc/
もよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ