第４章-第２５話 ほいく
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まず社屋だ。会社の現金よりも俺の個人資産のほうが多いから、そちらで買い上げて会社に貸せばいいか。まずは不動産屋を回ってみる。
今、建設ラッシュらしい。ひと世代古い建物が比較的安く出回っている。
問題は耐震性だけで１階を保育所兼受付２階が会社業務、社長室もここに作る。さらに社長専用の仮眠室という名目で、異世界へ行き来する場所もそちらに移す予定だ。
３階は社員同士が交流できるスペースにするつもりだが、どんな用途にも使えるようなものにするつもりだ。
とりあえず、３階あれば十分なのだ。しかし、中々見つからない。
ようやく見つけたのが７階建てで４階から７階までは別の会社で埋まっている物件だった。駅から１０分程度、ＦＣが３店舗入っているスーパーからも近いところだ。築１０年と比較的新しいため、耐震基準は十分満たしている。
価格は５億円で３０年使えれば十分元が取れる。１階はある会社が使っていたが最近不祥事を起して潰れたらしい。縁起が悪いと２階、３階と相次いで出て行ってしまったという。余りにも開いた状態が続けば、４階以上の会社も出て行ってしまうと売りに出されたらしい。
早速、４階以上の会社との契約を行う。ついでに１階に保育所を作ると言うと凄い反響があった。どの会社でも保育園に入れなくて待機児童ならぬ待機労働者になってしまうお母さんが復帰できないらしい。
「でも、料金が高いのでしょうね。」
「いえいえ、料金は公立保育園の最高額程度にするつもりです。元々、私が経営している会社のお母さんたちに利用してもらおうと作る施設ですので、儲けは考えていません。」
保育園の料金は０歳児が一番高く、学年が上がるほど安くなる。しかも収入が少なければ更に安くなる。補助金があって初めて成り立つ考えだ。
「同じ建物でしたら、お昼ご飯を一緒にしてもらえば割り引くサービスをしようと考えています。是非ご利用ください。」
お昼は保育士がテンテコマイになってしまうらしいから、少しでも負担を減らせれるようにするべきだ。そうすれば雇う保育士も減らせる。そうなれば料金もお安くなるというわけだ。
実は保育所もＦＣを考えていたのだが、普通に経営しても全く利益が出ない業種らしくアルバイトの中にも保育士資格を持つ人間や保育所を脱サラで初めてみたものの、結局あるチェーンに売り渡したという人間が居たので、その人達を契約社員に引き上げて任せることにした。
意外とアルバイトの中にも有能な人間が居て拾い物することが多い、やはり、雇用の入り口であるアルバイトでしっかり見極めた上で契約社員への登用が必要だ。当分、正社員からの雇用はするつもりがないのだ。
やるとなれば徹底的にやろうということで、相馬さんと保育所部門の社員を交えてアイデアを出してもらっている。例えば、保育時間は朝８時から夜６時までだが、それ以外の時間帯をお母さん達にレンタルルームとして安く開放して、お母さん達の自己責任の下、残業が多いお母さんの子供の面倒を見たりできるようにする。試みをすることにした。
それに育児休業を終えたお母さん達が前提なので、０歳児は受け入れない。一時に必要な保育士を確保できない短時間保育も受け入れない。など積極的に合理化を進めて、できるだけ保育士の負担を減らそうという試みも実施する予定だ。
保育士の確保が本来は難しいのだが、保育士は契約社員なので、そこそこの給与も確保されるし、保育所の利用はさらに優遇するので保育士なのに子供を育てる余裕が無いなんてこともないだろう。
契約社員への登用は進んでいるが、できるだけ各事業では赤字を出さないつもりだ。将来的には子会社から多額の配当が入ってくるのだが、それはそれと考えている。
できるだけ、しっかりと社内留保を進めいつ来るか解らない不況の波に飲まれないようにしておかなければならない。だから正社員は貴金属買取ショップの彼女だけだったりする。
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フィールド製薬の株は、ストップ安の連続で金曜日には３５００円まで下がっていた。含み益は税金を差し引いても２００億円くらいある。買い戻すのは来週でよさそうだ。創業家に対する風当たりは最悪で、損害賠償訴訟にまで発展しそうである。
あのボンボンは一応保釈されたらしい。証拠保全も必要ないくらい、すべてバレてしまったようであるが他にも犯罪に関わっていないか泳がされている節もあるという情報もネット上で飛び交っている。
田畑会長は連日ＴＶで謝り続けている姿が見られる。俺が心配することではないのかもしれないが・・・。あらゆる意味で俺が引き金になっていることは確かなのでツトムのことをメールで謝っておいた。しかし、事情を調べたのか逆に謝りのメールを頂いてしまった。
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ああ、もう異世界へ行く時間か。最近日本で忙しいこともあって、異世界で新しい試みもできないでいる。まあ偶には、のんびり過ごすか。
さて、異世界でのんびり過ごせるのでしょうか？
