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第8章-第112話 へいこうせかい

お読み頂きましてありがとうございます。

 しばらく休んでから、自宅のマンションに戻ってきた。


「さつきさん。先程はすみませんでした。」


 どうしても、渚佑子がさつきに謝りたいというので同席して貰っている。


 そして、わけがわからないであろう、さつきに渚佑子の召喚の件を話していく。


「いいのよ。万が一、貴女が召喚されたら、トムが迎えに行ってくれるわ。」


「俺もそうしたいのは、ヤマヤマだが、召喚場所から召喚先の異世界の痕跡が残っているのは、およそ半日なんだ。」


 一日中ピッタリくっついているわけにもいかない。チバラギ国に行っている間に召喚されたら打つ手は無いも同然だ。


「トム? どうするのよ。貴方のことだから、何か手段を考えているのでしょう?」


「ああ、反転の魔法陣を使おうかと思っている。もし、魔法陣の上で召喚されたら、逆に召喚者がこちらの世界に飛んでくる。」


「それって、危険じゃないの?」


「大丈夫だ。大方の召喚者は俺のようにそれに特化した魔法使いだ。渚佑子なら絶対に負けない。そうだろう? 渚佑子。」


「ええ。」


 俺が真剣な眼差しで尋ねると肯定で返してくる。この3年間、嫌というほど、そんな場面を見てきた。俺も例の紐パンが無ければ瞬殺だろう。


「それで、さつきにお願いがあるんだ。例の土地を使わせて貰えないだろうか?」


 俺とさつきには、義父さんから、結婚祝いとしてマンション1棟を丸々もらえることになっている。土地は駅近で建設資金も向こう持ちで好きなように建ててもいいというのだ。


「あれは、貴方のものよ。好きに使っていいわよ。」


「そうか。よかった。やるときは徹底的にだ。試してみたい魔法陣がたくさんあってな。」


 相手は魔法使いだ。魔法無効化は必須だろうし、建物の耐久性向上だろ。マンションには商業施設も誘致する予定だから、悪意を持ってくる輩を排除するのに結界の魔法陣は欠かせない。


 一般人相手では、おそらく使うことは無いと思うが万が一のことを考えて、読心の魔法陣を組み込んで・・・。


「トム? 夢を見るのもいいけど、まずは渚佑子さんのことが先でしょ。ちょうどモデルルームも出来上がったという話しだし、そこに住んでもらえばどう?」


 長い間イロイロ考え込んでいたので、さつきに指摘されてしまった。


「それは良い考えだ。早速、工事に取りかかるか。」


「そんな! そんなにして頂いても、何も返せません。」


「何かを返して欲しいわけじゃ・・・。嫌、正直に言おう。チバラギ国で戦争が始まった際には手を貸して欲しいんだ。」


 今のところ、エルフの里や竜の介入もあって、チバラギ国まで来る様子は無いが、向こうの国は多くの転生者を抱えているのだ。


 防衛のための準備は着々と進めているが、それだけでは心許ないのだ。せめて、友好的な条約を結ぶための戦力が必要だ。勇者が1名、居るのと居ないのでは大きく違う。しかも、渚佑子は3種のチート持ちだ。


「お願いする。」


「もちろんです。どんな敵が攻めて来ても社長は守り抜きます!」


 何か違う気がするが、となりでさつきも頷いているし、良いことにしておこう。


「その件と重なるが本当はもっと手っ取り早く召喚されなくなる方法もあるのだが・・・。」


「そんな方法があるなら是非!」


「チバラギ国で常駐してもらうことだ。」


 女神の話と俺が使用出来る召喚魔法を加味して考えると、どうやら、召喚魔法というのは、上位世界の生き物と同じ世界の生き物しか召喚できないようなのだ。


 そして、俺のような特殊な場合を除き上位世界には召喚魔法を使える魔法使いが居ないことから、下位世界と同列の平行世界間での召喚は無理ということだ。


 つまり、渚佑子が下位世界のチバラギ国に居続ける限り、召喚はされなくなるというわけだ。


「・・・いいえ。やっぱり、こっちの世界が良いです。」


 渚佑子は、しばらく考えていた。彼女の『知識』は今居る世界のことしか引き出せないのだが、今までの経験からイロイロ考え込んでいるのだろう。


 やはり、そうか。活躍の場がたくさんありそうな下位世界なら、相当待遇が良かったに違いない。それを蹴って戻ってきているということは、余程の理由があるに違いない。


 それはチバラギ国でも同様だったということだろう。これ以上の詮索はするべきでは無い。俺の近くに居てくれるだけでこんなに心強い。


「社長が連れて行ってくださるならば、どんな世界でもOKです。もちろん、貴方の命は何が何でも守り抜きます。」


「頼んだわよ。私だって、日本やアメリカ、いやこの地球上なら守り抜く自信はあるけど、他の世界は流石に無理だわ。」


 さつきが珍しく弱音を吐いた。これは良い傾向かもしれない。彼女は彼女のできる仕事をしてくれればいいのだ。護衛という仕事に関して完璧を求めすぎるきらいがあるのだが、これで少しでも減っていってくれると良いのだが・・・。



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