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第8章-第94話 みさいる

お読み頂きましてありがとうございます。

「なに! F-15イーグルを取られたというのか?」


 刻一刻と大統領のマイクロフォン付きヘッドギアには情報が入ってきているようだ。大統領は顔を真っ青にしながらも予備のヘッドギアを貸してくれる。


 その情報によるとイスラエルへの払い下げの輸送中に正体不明の集団に囲まれ、応戦を試みるものの圧倒的な戦力差に戦闘機を奪い取られたらしい。


「バカな。なぜ、それがここにいるんだ。払い下げの際には認識コードの書き換えが必要なはずだぞ!」


 戦闘機を払い下げる場合、アメリカ軍所属である認識コードを機器から抜き取り、払い下げ先の国で改めて認識コードを設定する必要があったらしい。


 たとえ今回のように輸送途中で奪われたとしても、認識コードが無いとエンジンも掛からない仕組みのようだ。


 それがなぜか今回は認識コードの抜き取りが行われ、アメリカ軍のサーバコンピュータから認識コードが削除されていたにも関わらず、サーバに未登録の認識コードを設定されたことで正体不明の戦闘機ができあがったということだった。


「オー! マイ、ゴッド!!」


 彼は大統領付きのSPの中でも空軍所属のはずだ。その彼が絶望的な表情を浮かべ、弱音を吐くということは、そうとうヤバイ状況にあることは確かなようだ。


「トム! 退避してくれ、できればジェニファーも連れて行ってくれると助かる。」


 ジェニファーとは、大統領の娘さんだったはずだ。親としての人情は分かるが、そういった事態では無い。リーダーとして一番言ってはいけないセリフのはずだ。


「シャラップ! この機の皆を見捨てろというのですか! 俺を誰だと思っているんですか? 俺が皆を助けられないとでも?」


 俺が大統領に向かって怒鳴ると、一瞬にして親の顔から大統領の顔に戻った。


「では、行ってまいります!」


 俺は、イギリス軍式の敬礼で決めると改めて、機体後部に足を向ける。


「ジョージ! お前も行け! F-15イーグルなら全てを知っているだろ。 トムの命令は私の命令だ。わかったな!」


 ハッチは既に空いていた。右に左に振られているせいで、まだ、敵の戦闘機はロックオンできずにいるようだ。


「ジョージ! F-15イーグルの装備と緊急脱出の仕方を教えてくれ!」


「どうしてそんなこ・・・すみません。お教えします!」


 ジョージは疑問を口にするが、俺が怒りの表情を向けると説明をしだした。F-15イーグルは対戦闘機の空中戦を想定して作られており、中距離ミサイル4基と短距離ミサイル4基と機関砲が備え付けられているらしい。


 俺はジョージの話しを聞きながらも、ハッチ付近に備え付けられているパラシュート装備を身に付けている。


 先の戦争の潜入作戦において、基本的に『移動』を使ったが、闇夜に紛れて、パラシュートでの降下という案もあり、ミッチリと降下訓練を受けさせられたのだ。


 その時の装着ペースをさらに上回るスビードで装着が完了する。やはり、あのときと較べて、騎士レベルに上がったことでかなりしなやかに身体が動くようになっているようだ。


 ジョージが話しをしながらも、目を丸くする様子からすると空軍のパイロットでもここまで早くないようだ。


 念のため、装備を再チェックを行い、指輪を『止』に変える。


 これは、文字通り身体を手直なモノに固定することができる。重力は無視されるらしい。これで空中遊泳も可能だ。今まで使う機会が無かったのだが、意外な利用方法があるもんだ。


 ヤバイ!


 敵の戦闘機が、エアフォースワンをロックオンしたらしく。中距離ミサイルを発射したのだ。


 俺は、慌ててハッチから飛び出す。


 このときほど、降下訓練をしておいてよかったと思うことは無かった。理論上、指輪を使えば落ちることが無いのは分かっていたのだが、恐怖心とは別だ。落ちる! と一瞬目を瞑ってしまったがパニックにならずに済んだ。


 こんなときでも、スムーズに動く身体に感謝したい。何事も訓練なのだと思う。数ヶ月前にヤクザに銃を突きつけられただけで硬直していた俺はなんだったのだろう。


 『ファイアーウォール』


 発射された中距離ミサイルは、赤外線誘導だ。そこに炎があれば、がらがら蛇のようにフラフラと寄ってくる。別名、サイドワインダーと呼ばれるそうだ。


 今だ!


 ミサイルが炎の壁を潜り抜けてきた瞬間を狙い発動する。自空間への取り込みだ。目の前から、忽然とミサイルが消える。


 そして『移動』でエアフォースワンのハッチまで戻ってくる。


 視線をジョージのほうに向けるとしっかりとパラシュート装備を付けているところは流石、元空軍パイロットだと感心したのだが、ハッチ横の手すりを持ちながら、ヘタリこんでいるところを見ると腰を抜かしてしまったようだ。


「アレ! アレ、アレ!」


 バカのひとつ覚えのように繰り返すジョージの指先の方向をみるとさらに中距離ミサイルを2基発射したようだ。


 1基目は、この機体にロックオンしているようだか、2基目は1基目の推進部分に向かって飛んできており、2基直列状況で飛んできている。


 これも同じ対処で処理したのだが、運悪くタイミングがズレて2基目の先端部分を残して、自空間に取り込んでしまった。


 俺の横すぐとなりを先端部分だけとなった。ミサイルが通りすぎていく。俺は見送ることしかできないがエアフォースワンのパイロットにはミサイルが発射された時点で急上昇するように指示してある。


 ・・・・ギリギリ間に合った。危ない、エアフォースの機体スレスレをミサイルの先端が海に向かって降下していった。


ダンジョン編の反動なのかな。

うーん、困った困った(笑)

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