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第3章-第22話 えむ

お読み頂きましてありがとうございます。

 看板をつけなくてはいけないからだ。メッツバーガーの古い看板が、FC店舗の倉庫にあったので、廃棄すると言って持ってきているのだ。


 そういわゆる、えむのマークの看板だ。ライトは太陽光発電機に接続した蛍光灯が2本だけなので、少々薄暗いが、基本営業は教会の閉まる夕方までなので、ほとんど付けることは無いはずだ。


 店内にも定番のビックメッツバーガーやテリヤキバーガーの美味しそうな看板をぶら下げる。店頭の台の上にメニューシートを貼り付ける。本来、あるべきコーラなどの炭酸飲料やコーヒー、アイスクリームなど置いていない商品はシールを貼る。こうやってみるとメッツバーガーには沢山の商品があるのに、半分くらいしか売っていないのが実情だ。


 実際には小型冷蔵庫にコーラくらいは入っているので裏メニュー扱いだ。3ケースほど在庫があるので、ツトムが欲しがればツトムの給与から差し引くつもりだ。


 そして、店頭の台の下に木製のえむのマークの板を貼り付ければ、小さなフードコートにあるようなメッツバーガーの出来上がりだ。本当は後方にドリンクサーバーやポテトを揚げる機械にバーガーを焼く機械があるのだが・・・。


 きっと、異世界に来ている日本人がここにくれば、泣いてうれしがるに違いない。


・・・・・・・


 俺が夕方に後宮に戻ると、マイヤーがセイヤ達に宣伝してくれた。


「ねえ、パパ、アキエのポテトは?」


「マイヤー、ポテト5つね。」


 マイヤーがポテト1つを毒見役に渡し、あとの4つをセイヤ、エトランジュ様、アキエ、俺に手渡してくれる。こりゃ、ビールが欲しくなるな。冷蔵庫からエビッスビールを取り出し、ポテトをツマミに一気飲みする。


 ふー、うまいな。労働の後のビールってなんで、こんなにも美味しいのかな。


・・・・・・・


「ねえねえ、パパ、今日はアキエと一緒にお風呂入ろうよー。ね、いいでしょ?」


 セイヤやエトランジュ様の方を伺うと問題無いみたいだ。


「そうだな。久しぶりにいっしょに入るか。」


「そうそう、みんなで一緒に入ろうよ。ね。」


「皆・・・って、いつもセイヤさんたちと入っているのかい?」


「うん。セイヤのオジちゃんは偶にだけど、エッちゃんと良く入るよ。ね、エッちゃん。」


 エッちゃんって、エトランジュ様のようだ。流石にアキエにエトランジュ様は難しいか。


・・・・・・・


 元々、後宮のお風呂は側室達の社交場であり、10名は入れそうな湯船にゆったりしたスペースの洗い場10個もある。小さめの銭湯くらいはありそうな広さだった。


「なんで、マイヤーまで居るんだい?」


 マイヤーまで後宮のお風呂でしかも1番に入っているようだ。


「え、だって大事な仕事の一部だもの、そりゃ居るわよ。」


 詳しく聞いてみると、ここのお湯を張るのは、マイヤーが魔法で出したものであるらしかった。マイヤーが居なくても、侍女が5人くらいで日常魔法を使って入れられるらしいのだが、魔術師も最大MPと一般人の最大MPは比べるものではなく、さらに最高レベル魔術師だけあって、適温ぴったりに入れることができるらしい。


 今の温度はアキエにあわせてすこし温めにしてあるが、暫く前はエトランジュ様に合わせて、すこし熱めに入れていたそうだ。


 今日はセイヤもエトランジュ様もアキエの世話をしてくれている侍女たちも一緒にお風呂に入っている。さすがに後宮の侍女だけ、あって美しいし肌も綺麗だ。あまりジロジロ見るのも失礼だから、予定通りアキエの方ばかりを向いている。


 さすがに後から入ってきたエトランジュ様のなまめかしい肢体はうっかり見つめてしまったが、強引に目を背け心の中で『南無南無南無』と唱えておく。直ぐには立ち上がれない状態になってしまったからだ。心の中で眼福、眼福、眼福と拝んでおいた。


「あ、セイヤオジちゃんだ。」


 前からセイヤがやってくる。前を隠しもせずに、こちらにやってくる。こちらも思わず凝視してしまったが目を逸らした。


・・・・・・・


 アキエの身体を洗うのも、久しぶりだ。ボディーソープもシャンプー、リンス、トリートメントまで肌にやさしいものを日本から持ち込んでいる。


 ボディーソープをタオルに取って、泡立てアキエの身体をガシガシと洗ってやる。次はシャンプーだ。まず、湯船から桶ですくったお湯をざっばーとアキエの頭に掛けてやる。


「えーーん、えん、えん、えーーん。」


 俺はアキエが泣くのも構わず、シャンプーを取り出しアキエの髪の毛をシッカリと洗い上げていく。意外と力が必要なんだよな。泣いていたアキエが、泣きやんで気持ち良さそうにしている。


 ざばー、ざばー、ざばー、ざっばざっばざっばーん。


 初めの2回は我慢していたアキエだったが、3回目と最後の大量のお湯には、堪らずまた泣き出した。そのまま俺は、アキエを湯船に入れた。


「ほら、50までかぞえてごらん?」


「いーち、にー、さーん、よーん、ごーぉ、ろうく、なぁぁな、はあーち、きゅうう、じゅうう、じゅういち、じゅうにい、じゅうさん、じゅうしい、じゅうごう、じゅうろく、じゅうひち、じゅうはーち、にーじゅ、にじゅご、にじゅうはち、にじゅう、にじゅご、にじゅうはち、にじゅう、にじゅご、にじゅうはち、にじゅう・・・・。」


 あいかわらず、20までも数えられないようだ。ずっとエンドレスで繰り返している。

 そろそろ、50かな。


「よし、上がろう。」


 風呂上りは必ずジュースって言われるのでジュースを持って待機していると、アキエがやってくる。2人でジュースを飲んで1週間になにがあったかを語ってくれる。


 もう、うとうとして眠そうだ。添い寝をしつつ、話をきいていたので、こっちも眠たい。アキエが寝たのを確認した瞬間、意識を手放してしまった。


・・・・・・・


 翌日は久しぶりの朝寝をしたあと、昼からメッツバーガーに出勤した。その日も王宮の関係者が沢山来て、大繁盛だった。ランチの猛攻が過ぎ去り、すこし暇になったタイミングで教会内で休憩をしていると、大変驚く人物と出会ったのだ。


さて、どんな人物なのか?



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