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第8章-第91話 まちがい

お読み頂きましてありがとうございます。

「さつき! いったいどうしたんだ?」


 翌朝、起きて朝食の席に付くとボーッとして酷く眠そうな顔をした、さつきが出迎えてくれた。


「なんでもないわ。昨日の夜、少しお話していただけよ。ねえ、さつきさん。」


 なぜか、返事をしたのは鈴江だった。どうも徹夜したようだ。さつきはうまく返事もできないらしかった。


 きっと自分の記憶について聞きたがったのだろう。ダメだ。このまま、この家に置いておけば、さつきが壊れてしまう。


 たった半日だが元妻と新しい妻を同居させた俺がバカだったのだ。仕方がない、鈴江を連れてアメリカに渡るか。


 事前にアメリカで保護していたというシナリオに口裏を合わせておく必要があるだろう。そのときに生きている本人がいるといないとでは大違いだろうからな。


 もちろん一緒に連れて行くのは幸子だ。渚佑子の場合、万が一、大統領に会ったときに召喚され、巻き込んでしまったら国際問題というだけでは、すまないだろうからだ。


 ヘタをすると日本とアメリカが冷戦状態に突入してしまう可能性もあるからだ。


 それだけで渚佑子を日本で埋没させておくのは、惜しいのだが。そのうちになんとかする必要があるだろう。


 幸子なら鈴江を御せるものと信じている。元々友人同士でもあったのだ。意外とすんなり友人に戻るかもしれないな。


 俺は今日の予定を幸子と渚佑子と鈴江に説明する。とりあえず、さつきは休ませて、渚佑子を伴って社内に顔を見せる。もちろん、名目上は彼女が正社員になったことを伝えるためだが、社内の不安要素を取り除く必要があるだろう。


 その間、幸子に鈴江の面倒をみてもらうのだ。幸子にもかなり釘をさしてあるから、鈴江の裏切りについては、喋らないだろう。そのほかのことについては彼女に任せておけばいいのだ。そのあたりは信頼している。


「ええ、任せておいて!」


・・・・・・・


 渚佑子の正社員昇格は、余程、社内では猫を被っていたのだろう、概ね好意的な印象を受けた。ただ一部の人間は怯えているようで、気になったので別室で聞いてみると貴金属買取ショップで客をビビらせていたのを目撃したという。


 恐らくは詐欺師だったのだろう。その従業員の話では背筋が凍りつくような声で説明したのだということだった。


 その場は、幸子の弟子だからというと納得してくれたが、これからは見られないようにとキツくいっておかなくてはならないだろう。


 なるほど、詐欺師を排除する方法としては効率的かもしれない。俺もできることなら見習いたいくらいだが、誰にも見られないことが前提だ。さらに言えば、アリバイも作っておけばいうことはないのだ。


 あとで渚佑子に指導したところ、気のせいか瞳がキラりんと光った気がした。


 何か指導方法が間違っている気がするが渚佑子相手だと、こういった方向性が一番効果的なのは向こう側の世界でよくわかっている。


「渚佑子、良かったわね。」


 もちろん、素直に喜んでくれる従業員が大半だ。特に彼女の身の上を知っているらしき人々からは、涙を流さんばかりに喜んでいる。


 それも不思議なことに、いつもいろいろとクレームを持ち込んでくる中年女性たちが多いのは気のせいだろうか。


 自宅に戻ってくると意気消沈している元妻がいた。詳しく聞いたところ、俺には直接関係ないドジ話を幸子から沢山聞かされたのだという。ナイスジョブだ幸子。


 しかし、そんな大昔の話まで覚えてやがるのか。


「もしかして、俺のドジ話もあるのか?」


「大丈夫よ。頭の中で思い出して楽しむだけだから、誰にも言うつもりは無いわ。精々貴方の奥さんたちくらいよ。」


 俺のドジ話もあるらしい。しかも沢山あるらしく、奥さん連中の井戸端会議のネタに使おうと思っているらしい。そんなことになったら・・・。


「それは止めてくれ。頼む!」


 もう絶対に幸子を異世界には連れてかないぞ、そう心に決める俺だった。


・・・・・・・


「それでは行ってくる。来週からは忙しいんだろ結婚式の準備で。今週はゆっくりと休養を取ればいい。戻ってきた時に元気な姿を見せてくれ。」


 俺は、さつきが休んでいるベッドルームに向かうと挨拶をする。


「そうそう、トムのことは私に任せておけばいいのよ。貴女が休むために、私がいるんでしょ。ほら、そんなしょげた顔をしないで寝て寝て、今の貴女の仕事は綺麗な花嫁姿をトムに見せることよ。悔しいけど、譲ってあげるわ。それとも替わってくれる。私はそれでもいいけど。」


 自分が護衛としてついていけないことを悔やんでいるのだろう。


「嫌です。わかりました。では、よろしくお願いします。」


 さつきは、真摯な顔付きになり、幸子の方へ返事した。それだけは譲れないらしい。俺も嫌だけど・・・。


あけましておめでとうございます。

旧年は大変お世話になりました。

本年もよろしくお願いします。

書籍化作業中も更新ペースを落とさぬように頑張って参りますので

何卒、ご引き立てのほどよろしくお願いします。


書籍発売に合わせていろいろと練っております。

今後の活動報告にもご注目くださいませ。

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