第7章-第82話 このみ
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なるほど、そういうからくりか。
「それなら、空間連結の扉で繋げて置いてあげるから、本命の彼氏と入ったらどうかね。こんなオジサンの裸を見ても楽しくないだろ。」
「・・・だからこそ伯爵を連れ込んだけど。わかんないかなー。」
ちょ・・・。俺が・・・その本命なのか。まさか・・・。
「それって・・・この場に居る皆かね?。」
「違うわ。」
良かった。さすがにこの人数の女性たちを相手にしたら、身体が持たない。
「もちろん攻略部隊全員よ。渚佑子もね。」
・・・・・・え・え・と、攻略・の各組は・4名で・3チームと・リーダーと・副リーダーで・14人だから・5組70人と・2軍が20人・・・渚佑子で・91人・・・。
どうもいかんな。頭の回転がおかしい。
「納得したかな?」
「・・・いくら・・・なんでも、・・・91人は・無理。」
しまった。例の下着まで脱がされてしまったのだった。あれさえあれば逃げることは簡単なのに、予備を自空間から取り出す隙に取り押さえられそうだ。
俺は勢いよく立ち上がる。この際見えてしまっても構わない。が・・・見てため息をつくのはやめてくれ。マジへこむ。
この場はとにかく逃げるしか無い。
「じゃあな。勝手にやってくれ。俺は帰る。」
「あっ・・・。」
『移動』で穴の所まで戻ってきた。『洗浄』魔法で身体を清めて、自空間から予備の下着を取り出したところで厄介な人間の声が聞こえた。
「あらー、素敵な眺めねえ。」
ローズ婆さんだ。それも、穴の上から覗き込んで居る。ここをくぐり抜けないとダンジョンから出られない。
まさに前門の狼と後門の虎たちといったところだ。まさかこの姿で空間連結の扉を使って自宅に帰るわけにもいかない。ティナの言ったことが本当なら、さらに多くの女性たちを相手にしなくてはならなくなる。
そこへティナたちも走ってやってきた。まさに絶体絶命。
「助けてあげましょうか?」
ローズ婆さんが助けてくれるという。
「何が目的だ。」
どう考えても、タダで助けてくれるはずが無い。
「そうねえ。私を含め、攻略部隊のリーダーたちは相手にすること。では、どうかしら。」
「まてまてまて、伯爵まで毒牙にかける気か!それは許さん。」
突然、ヤンデレ神父が現れる。今の状況は彼の『正義』に反するようだ。
「違うわよ。みんなの気持ちを伝えているだけ。それに貴方も伯爵の子供が欲しいでしょ。前にそう言ってたじゃない。」
「誤解を受ける言い方をするな!確かに切実に欲しい。もし、伯爵の子供がいれば伯爵が帰っても、頑張れる。」
そういう意味か、てっきりヤンデレ神父が女性だったのかと思ったじゃないか。周囲を見回すと頷いている。俺が頑なに拒んでいるのが、彼女たちを不安にさせたのかもしれないな。
だが、集団でやられるのは勘弁してほしい。
ヤンデレ神父が時間稼ぎをしてくれたおかげで例の下着を穿けた。MPを投入しつつ、自空間から正装を取り出して着た。
そういうことなら、服を着たまま強引にということにはならないだろう。ましてや正装した俺を汚してまでというのは、相当抵抗があるはずだ。
「皆の気持ちは聞いた。だが、俺は愛無くしてソレができないのだ。聞き分けてほしい。」
こんなことを言えば、さらにアプローチがキツくなってくるのはわかっているが、事実そうなのだから仕方がない。だがこちらに選択権が戻ってくるのは確かだ。
「言ったわね。必ずその気にさせてみるから覚悟しなさいよ。薔薇姫の名にかけて!」
いやローズ婆さんだけは無いから・・・。
・・・・・・・
自宅兼攻略部隊の宿舎に戻ると早速リサーチされた。90人全員の協同戦線らしく各組のリーダーたちがやってきた。俺の好みを聞きたいらしい。
「胸は大きい方が好きでしょう?」
リーダーのなかでも、一際胸が大きい女性が自分の胸を見せつけるようにすくい上げてみせる。
うーん、イマイチ揺れないな。胸は大きいが筋肉でできているらしい。
「そうだな。柔らかくて大きい胸は好きだ。知っているだろうが前の奥さんも大きくないし、今の奥さんは全く無いな。」
「タルタローネ様付きの侍女の方でしたわね。」
「ああ・・・。」
「そうすると美人だけどクールな顔付きの方が好きなのね。」
そういえば、マイヤーもさつきも鈴江もそんな感じだ。てっきり、エトランジュ様のような優しげなのがタイプだと思っていたのだが、あれは鈴江と別れた直後で優しさを求めていただけなのかもしれないな。
というわけで、マイヤーも鈴江さんもクール系美人に仕上がりました。
イラストレーターさんに感謝です。
是非とも本で確認してください。




