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第7章-第79話 きかんせよ

お読み頂きましてありがとうございます。

「どうされます?」


「もちろん助けに行く。渚佑子、ヤンデレ神父を呼んできてもらえるか?」


 実は、ティナ率いる空組たちが帰還予定日を3日過ぎても帰ってこなかったのだ。


 俺が物資を引き受ける場合には考えなくて良いが、通常各組が所持する魔法の袋の限界のため、帰還予定日から1週間後の分までしか食料を持たせていない。


 つまり、あと4日経過すると飢えることになってしまうのだ。


 最近は、ヤンデレ神父と渚佑子による安易なダンジョン攻略は行わず、2軍攻略者たちのレベルアップのために地道な攻略スタイルに変えていたのだが、彼女たちはいったいどんなトラブルに巻き込まれたのだろう。


 彼女たちに同行したあの一族はローズ婆さんだった。それで少し安心していたのだが・・・。


 ヤンデレ神父と渚佑子を連れ『移動』で彼女たちが入ったダンジョンの入り口に到着する。今まで使う機会が無かったのだが、毎回各組のダンジョン攻略時に入り口まで同行していたのが役に立った。


 今回は兎に角緊急事態だ。レイピアでダンジョンの壁を切り開き中央部までたどり着くと地面を切り開く。最下層に降り立ち、ヤンデレ神父と渚佑子の広域魔法を使ってもらうために空間連結で一時待避しようとしたタイミングでそれは現れた。


「ダメー!何をするのよ。私ごと浄化しようと言うの?ガイ。ついこの間、従順で熱い夜を過ごしたばかりだというのに、私のこと邪魔になったのね。」


 いつの間にか、ヤンデレ神父はローズ婆さんの毒牙に掛かってしまったらしい。


「あ、あれは伯爵に見捨てられたってヤケになってて軍曹さんが珍しく酒を誘ってくれて、酷く酔った後に寄った娼館にアポロディーナによく似た娘が居るからって、薄暗かったけど本当に似てて夢中に・・・、朝起きたら・・・。」


 ははん。どうやら、軍曹さんにヤンデレ神父はローズ婆さんへ売られてしまったらしい。そういえば、先日の巨額の借金のことで叱ってから、酷く落ち込んでいたっけ。


 いい薬だと放置したのだが、その隙をローズ婆さんが見逃さなかったようだ。


 しかし、そんな卑劣きまわりない罠を仕掛けて絡め取るとは・・・俺も気をつけよっと。


「あのことは秘密にしてくれるって、言ってたのに。半年に1回の治癒魔法で黙っててくれるって!何でバラすんだよ。そうだ!浄化してしまえばなかったことに・・・。」


 修羅場の続きが見たかったが、流石に放っておくわけにはいかなくなったので俺は興奮しているヤンデレ神父に忍び寄り、げんこつを落とす。


「痛ってー!あっ、伯爵!」


 本当にコイツの正義っていい加減になったな。


「あら、居たのね。」


 そう言って、こちらに妖艶な顔付きでニジリ寄ってくる。本当にコイツはブレないな。


「ローズ、ここに居るということはこのダンジョンの攻略は終わっているのか?」


「そうよ。空組ももう帰り着いたでしょ。」


「それが帰って来ないんだ。」


「えっ・・・ああそういうことね。・・・・・・・・・多分、25階の泉のところだわ。今行けば、きっと良いものが見れるわよ。ようやくダンジョンマスターの支配が済んだところなの。あとで私も行くから、先に行っててちょうだい。」


 何だろう。あの間は・・・。いつも表情がころころ変わるローズ婆さんに珍しく全く表情が動かなかったのが気になる。


「・・・わかった。」


 俺たちが作った天井の穴の方向に行こうとしたところ、待ったが掛かる。


「ガイ!貴方は説明が先よ。じっくりと話を聞かせてもらおうかしら。」


 どうやら、再び修羅場が始まるらしい。俺は後ろ髪を引かれながらも、ふりかえらず『フライ』で天井の穴を潜り抜けていく。


「あーまたやったのね。あれほど、穴を開けないでって言ったのにー!」


 後方からローズ婆さんの叫び声が聞こえたような気がするが、気のせいだろう。


・・・・・・・


「渚佑子、何を怒っているんだい?」


 25階に到着し、渚佑子が探索魔法で探し出した泉の方向へ歩いている。渚佑子が言うには泉の近くに大勢の人間がいるらしい。


 さっきから、プリプリ怒っている渚佑子に問いかける。


「ガイの野郎が・・・。いえ何でもありません。」


 出会いは最悪だったが、渚佑子とヤンデレ神父は勇者同士ということもあり、割りと仲良しだったのだが、どうしたのだろう。まあ姐さんと三下みたいだったが、渚佑子もヤンデレ神父のことをよく面倒を見ていたようなのだが・・・。


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