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第7章-第75話 こうざ

お読み頂きましてありがとうございます。

「ふざけんな!女に教えを請えと言うのか?」


 ここで声を張り上げているのは、プラントン元団長だ。


 これまで1年以上、彼の成果報告が聞けないでいる。それにつれ、彼をバックアップしていたわずかな貴族たちも殆ど見離しており、さらに何度かのダンジョン攻略の挑戦時にSクラスの仲間を失っており、ジリ貧状態に陥った彼らを鍛え直してほしいとアンド氏からお願いされたのだ。


 既に教師向きの攻略者たちを使いダンジョン初心者向けの講座を開いており、まず、そこを卒業することを条件にダンジョン攻略の同行を許可したのだが、気に入らなかったようだ。


「それならば、どうしたらいいのかね?うちには女性の講師しかいないのだがね。」


「貴様がなんとかしろ。」


 その言葉にそれまで静かに聞いていた周囲の攻略者たちがいきりたつ。


「おい、お前!誰に向かって、そんな口をきいているんだい!えー。」


 それまでの勢いがしぼんで下を向いてしまう元団長。


 最近、ぞんざいにしゃべりかけられることに慣れていたが、そういえばこの国の伯爵であり、ポセイドロ国の国王代理でもある俺に対する態度としては、不味いと思い直したようだ。


「まあよい。それよりも、女性だからなんだ。そんなことは全く関係ないではないか。」


 俺としては、彼女たち攻略者が女だからと侮られることこそ、許せないと思ったのだが・・・。


 この講座の受講生は、初めこそ軍人が大多数だったが冒険者ギルドとの共同開催ということもあって次第にギルド登録初心者の数が増えている。


 実はこの講座を卒業する以外にも、講師やサポートしている攻略者たちの下働きに入り、マンツーマンで教えてもらいダンジョン攻略に同行している子もいる。


 俺がそう伝えると元団長は震え出した。エアコンが効きすぎだろうか?


 さらに元団長の顔色が土色から真っ赤になっている。


「お、俺に女の下で働けと言うのか・・・弱い女は家でジッとしているものだ。こんなところにしゃしゃり出てくるな!」


 ここまで男尊女卑が酷いとは、あきれ果てる。この国はそこまで男尊女卑色が強い訳ではない。


 どちらかといえば女房のケツの下に挽かれている旦那が多い。だがその旦那が外では亭主関白を装っているのを女房が黙認しているのが一般的のようなのだ。


 元団長はいまだに独り身らしく、結婚に対して幻想を抱いているのかもしれない。


「ほう、ならば戦ってみるか?そうだな、5対5で勝ち抜けば特別に講座で満点を取った男性への推薦状を書いてあげよう。」


 元団長が連れてきた男たちを見回すと頷いている。


「その言葉、忘れんなよ!」


 どうしても団長時代に身についてしまった偉そうに言う癖が抜けないらしい。


「但し、そちらが負けたら全員ギルドランクを返上してもらおうかの。」


 いきなり、横からアンド氏が提案してきた。過去のギルドランクの昇格には貢献度に重みがおかれており、50歳くらいまで続けていればAランクが取得できたらしい。


 今はそれが見直されており、より高度なモンスターの討伐や魔法などの特殊能力、魔法陣などの知識が加味するものに変えているそうだ。


 それまでに成り上がったSクラス冒険者から取り上げる訳にはいかないらしい。どうやら、こういう機会を狙っていたようだ。


 この場にいるSクラス冒険者も後には引けないようだ。ここで逃げれば女性に敗れるよりも酷い悪評になるためだろう。目を泳がせつつもだれも反対意見を出せないようなのだ。


「わかった。」


 元団長が周囲のSクラス冒険者を見回して頷くのを確認するとそう返事をしてくる。


 公平を期すため、近衛師団の訓練所で明日開催することになった。


・・・・・・・


「はい!私たちに行かせてください。」


 元団長が帰り、その場にいた攻略者たちを前に参加者を募ると真っ先に手を挙げる者がいた。2軍のトップクラスの人たちだ。


「お姉さまたちの手を煩わせることも無いでしょう?」


 現在、常時ダンジョンにトライしている攻略者たちは幸組、華組、憑組、欲組と4組あり、彼女たちも補欠として2割から3割くらい参加している。参加数は少なくてもどの組に配属されるかわからないため、結構大変らしい。


 4組中、2組は今ダンジョンに挑戦中であり、1組は昨日帰還したばかり、もう1組は1週間後のトライに向けて準備をしている最中だったのだ。


久し振りの登場のプラントン元団長。今度はどんな活躍を見せてくれるのか(笑)

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