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第7章-第72話 少女A

お読み頂きましてありがとうございます。

 実は攻略者たちと共に合流してくれた下僕たちに組織の雑務を担当していただいていたのだが彼らが次々と辞めると言い出したのだ。


 ダンジョンでの戦利品は彼らを使い、下処理したあと、各商店に売っていたのだ。話を聞いてみるとその実、攻略者たち彼女の一方的な絶縁宣言だったそうでいつかは彼女たちとの結婚を夢見て、唯々諾々と従っていた彼らたちは、辞めざるを得なかったそうだ。


 それに対して、絶縁宣言を突きつけた彼女たちに聞いてみると本命ができたそうで、俺はそれについて何もいえなかったのだ。


 今よりも高給を約束しても頑として譲ってくれず皆やめていったのだ。そこで処理を外注すると高くついてしまうため、この商会にすべて任せてしまおうというわけだ。


 契約金はヤンデレ神父が借りた額全部のつもりだったのだが・・・。


「2割と言いたいですが3割ですね。」


 目の前の女は、こちらが助け舟のつもりで出した案にいちゃもんを付け出す。しかも、2割と言いかけたということは、こちらで借金返済で動いた部分は既に織り込み済みらしい。こちらの行動を監視していたのかもしれない。


「あっ・・・。」


 そこでアポロディーナが声を立てた。


「あの、違うの。」


「そうね。自慢げに話しただけだものね。普段無口なこの娘が饒舌に語ってくれたわよ。いかに借金を返すために奔走して、あっという間にほとんど回収したんですってね。」


 どうやら、内情は全て筒抜けだったようだ。これは俺が悪い。口止めすべきだったのだ。


「そうね。いくら仲間だとはいえ交渉相手の家族に話してしまうなんて、有り得ないわ。アポロディーナに内緒で行うべきだったのよ。」


 言われて見れば当たり前の話だ。これが企業だったら、コネなどの都合の良いところだけ利用して、実際のプロジェクトからは外されているに違いない。異世界だからと気がゆるんでいたらしい。


「良しわかった。最初の案をのもう。」


「と言われますと・・・。」


「そうだ。身体だ「ダメー!止めて!」」


 俺は商売上負けた悔しさから、勢いに任せて、身体だけならと言うつもりだった。そんなこと出来るはずもない。そういった行為には心がついてまわるのが普通だ。ローズ婆さんならまだしも、相手はアポロディーナなのだ。


 だがそのセリフも突然のアポロディーナの大声に遮られてしまう。


「わかりました。わかりました。きちんと自分でアプローチしますから、これ以上は止めて!」


 俺は、それを聞いてすっと心が冷静になる。良かった。取り返しのつかないことを言ってしまうところだった。


「すまない。」


 俺は素直に謝る。流石にこの場で土下座は出来ないが心の中では土下座していた。


「今日のところは、これで失礼する。また明日、相談しにくる。では、アポロディーナ行こう。」


・・・・・・・


 自宅に戻ると都合よく誰もいない。攻略メンバーが数人居るだけだった。タルタローネ班はダンジョン攻略に行っているし、ローズ班はお休みなので三々五々、皆出かけているのだろう。


 俺はアポロディーナを3階の自分の部屋に連れ込む。


「なあ、本当に俺でいいのか?」


 アポロディーナはこくんと首を縦に振る。先ほどとは違い内気に戻ってしまったようだ。


 だが、あんな熱烈な告白を聞いてしまったのだ。いくら鈍感と言われ続けた俺でも彼女の気持ちが分かってしまった。もう後戻りは出来ない。


 俺はアポロディーナを引き寄せると、軽く頬にキスをした。


「うれしい。」


 彼女はそんな感想を告げてくれた。これは浮気だろうか。そんなことが頭をもたげるが、マイヤーもさつきも側室については、なにも触れてこない。俺も初めは拒否感があったのだが、いつしか普通のことと受け入れている。


 きっとあとは、俺の気持ち次第だろう。この世界でも種馬として貢献するか否か。役割として俺にそれを求められているようだが、どうすれば良いんだか。


 トントン。


「ちょっと、よろしいかしら。」


 ローズ婆さんの声だ。いつもながら神出鬼没な婆さんだ。いったい、どうやって、このセキュリティーをくぐりぬけてきているのか。


 俺はアポロディーナから離れると扉を開けた。


「お邪魔のようでしたのね。良かったわねアポロディーナ。」


 アポロディーナの様子でローズ婆さんにわかってしまったらしい。アポロディーナの赤い顔がさらに真っ赤になっていく。


「本当に邪魔だ。」


 俺がそう言うとベッドに腰掛けていたアポロディーナがずり落ちる。何をやっているのかとそちらに視線を移してみると息絶えだえの様子。ちょっと、うぶすぎないか。一線を越えるまでには、そうとう待たされる覚悟をしたほうがしたほうが良さそうだ。


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