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第6章-第68話 しんそう

お読み頂きましてありがとうございます。

「やっぱり、ダンジョン攻略のほうが気楽だ。」


 俺は、中断していたハアデス国のダンジョンに来ている。1ヶ月もポセイドロ国の骨格を作り上げるのに費やしてしまっている。


 その間も攻略者たちは、タルタローネのダンジョンで常に訓練を行っているので動きがより一層洗練されてきている。


 ミネルヴァには、作り上げた政治システムのコントロール方法をみっちりと教え込んでおいたので、今は汗をかきながら実践しているだろう。


 ポセイドロ国のダンジョン攻略は、タルタローネを組み入れたアポロディーナ組に行って貰っている。タルタローネはダンジョンマスターとしてダンジョン内で迷路を組み替えたり、転送の魔法陣を配置したりできる。


 そのため、同行してもらい。万が一、攻略者たちが危機に陥った際に助け出せるための切り札になってもらっている。もちろん、タルタローネも同行して攻略すれば、そのダンジョンマスターを支配下に置けるという利点があるため、ギブアンドテイクになっているのだ。


「でも、貴女まで来なくても・・・。」


 隣にピタッと引っ付いている女性がいる。ローズ婆さんだ。


 ハアデス国のダンジョン攻略にはヤンデレ神父が同行するためだろうとは思うのだが、なぜか俺の隣にいるのだ。


「お邪魔でしたかしら・・・。」


 邪魔だと言いたいが、先程から周囲の攻略者たちの視線が痛くてそんな返事はできない。きっと、あまりにも場違いなピンクムードにあきられているにちがいない。


「邪魔!」


 俺の思いを代弁してくれるのは渚佑子だ。ローズ婆さんが彼女のポジションを犯しているためだろう。常に俺の隣にいた彼女は、苦々しい顔でそう告げる。


「でも、貴女にはこんなことは出来ないでしょう?」


 そう言ってローズ婆さんはダンジョンの迷路の突き当たりで壁に手を付けると通路が現れる。


「えっ!タルタローネ様と同じ・・・。」


 周囲の攻略者たちがどよめく。


「やっぱり、驚かないのね。」


 ローズ婆さんは俺が動揺していないのをみて、つまらなさそうにそう言う。


「バラしても良かったのか。それは超国家的機密だろう?」


「仕方がないのよ。ハアデス国の国王は現状を維持するのが精一杯で、さらに後継者が居ないのよね。だからこの国の新たなダンジョンは私の支配下におくしかないのよね。」


 彼女たちの一族は各国の王都の地下に張り巡らされたダンジョンの支配者なのだ。だが人との混血により、その支配力が弱まってきたのだろう。


「いままで通り、俺たちが攻略後、支配下に置けばいいだけだろう?」


 俺たちが攻略したダンジョンでダンジョンマスターが復活する前にその国の王がダンジョンを支配していたようだ。


 後継者には代替わりの際に引き継ぐだけで済むのだろう。それがクーデター騒ぎでうまく引き継げなかったようだ。クリスティーにポセイドロ国の地下に潜って貰ったのはポセイドロ国の首都の地下に張り巡らされたダンジョンを支配下におくためだ。


 クリスティーからは、終わったという報告だけ貰っている。きっと言えないことだらけなのだろう。どうやら、ポセイドロ国での活発なダンジョン活動は、この地下のダンジョンに支配者が不在だったことが大きいようだ。


 だがここでローズ婆さんから機密を漏らされたということは、クリスティーからも話が聞けるということなのだ。あとで愚痴のひとつやふたつは聞いてやらなければならないのだろうな。


「このところの新たなダンジョン発生率が非常に高くて、そんなことを言ってられなくなったのよ。攻略と同時に支配下におけば、ダンジョンマスターを復活させて支配下におくのも簡単なのよ。」


「それでも同行するだけで良いだろう。皆にバラす必要は無いじゃないか。」


「もちろん、貴方と仲良くするためよ。貴方の子供を産めば、貴方を心酔している人たちの信頼は、その子供に向くわ。もちろん、その母である私にもね。」


 彼女はしゃべりながら、チラッとヤンデレ神父に顔を向ける。そうか、彼がアポロディーナに惚れているのが解ってはしまったのだな。それで落とす以外に彼の信頼を得る方法を考えついたわけか。


「それにこの組織を譲り受ける過程で超国家的組織にするから問題ないわね。」


 そんなこと勝手に決めるなよ。まあ各国の国王の保護下ならば悪くなることもあるまい。


「嫌です。」「いやっ。」「駄目です。」「許しません!」


 だが、周囲の攻略者たちから返ってきた反応は凄まじい拒絶だった。


「伯爵を信じて集まったんです。誰か他の人の下でなんて考えられません!」


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