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第6章-第64話 むちゃぶり

お読み頂きましてありがとうございます。

「ああ、良かった。お前のそのキレイな首筋に傷を付けてしまうのかとハラハラしたぞ。」


 俺はそう言って、彼女の首筋に手を這わせると彼女は真っ赤になった。・・・ああ、しまった!これじゃあ、セクハラじゃないか。慌てて手を引っ込める。


「じ、じゃあ。行ってくるよ。もう絶対に出てきてはダメだぞ。」


 そう言って、元王宮に空間接続してある扉を指し示す。


「はい。お帰りをお待ちしております。」


「ローズさんもここにいてください。」


「はいはい。貴方の大事な人をここで見ていることにするわ。」


 まだ言ってるよ、この婆さんは・・・。でも、そう思っていてくれるんだったら、誘惑されなくなるだろうから、好都合か。このまま放っておけばいいか。


「手、大丈夫でした?少し歪ですね。治しておきましょう。」


 そう言って渚佑子は、強引に腕をつかまえて、キレイに治してしまった。


「ありがとう。」


 俺が感謝の言葉を伝えると珍しくにっこり微笑んでくれた。そして、2人でそのまま王宮を出て行く。


 そして『フライ』で城壁が崩れたところまで行く。城壁が崩れている幅が狭いせいか、それほど魔獣が侵入しているわけでは無さそうだ。


 だが、それも時間の問題だろう。少しずつだが魔獣がぶつかった箇所から崩れてきている。


「渚佑子!」


 俺が叫ぶと渚佑子は打ち合わせ通り、城壁の少し外側に爆裂魔法を打ち込んだ。そこを中心とした半径100メートルほどの魔獣が吹っ飛ぶ。


 俺はその中心に降り立つと空間魔法で前方の土地を切り取る。その間にも、渚佑子は、どんどん爆裂魔法で吹っ飛ばす。俺はその空いた空間を走りながら切り取っていく。


 城壁から遠ざかりつつ1キロほど走ったところで『フライ』で上空に舞い戻る。切り取った土地は丁度くの字の形になっており、城壁を反れるような形だ。


 魔獣たちも本能的に深さ50メートル下に落ちたいくないのだろう城壁をターンする形で走り去っていく。そのうち、体力が尽きれば自然とこの大暴走は解散するに違いない。


 その様子を上空で確認した俺の後方で、ざわめきが巻き起こった。振り向くと俺たちが打ち漏らした魔獣たちを狩っていたと思われる騎士たちとうちの攻略者たちがそれぞれの得物を空に突き上げていた。


 元王宮と自宅を繋いだ空間連結の扉から、ミネルヴァが向こうに行ったときに話を聞いて、ここまで来てくれたらしい。


 おそらく、戦いが終わったのを察したのだろう。徐々に民衆が再び集まり出した。俺はその民衆たちの前で国家樹立を再び宣言する。


 今度は、歓迎の声を上げる民衆たち、こうして非民主的手続きにより、君主制民主主義国家新ポセイドロ国が立ち上がることになった。


・・・・・・・


「無茶振りにもほどがあるでしょう?」


 新生ポセイドロ国の政治体制を君主以外は、丸々日本のパクリにした。憲法はそのまま使えないし、専門家では無い俺は法律をうろ覚えなため、要所要所を押さえた体制作りに専念した。


 中でも、議員内閣制はその要となるのだが、時間が惜しい俺は、選挙を行わず、侯爵・伯爵・子爵といった上位貴族で構成する参議院と男爵・士爵や平民で構成する衆議院に分けた。


 さらに内閣は最大派閥である議長とその一派を党の幹事長などの幹部に抜擢し首相をミネルヴァに押し付けたのだ。


「なんでもすると言っただろう?」


「それはそうなんですけどね・・・。」


 どちらにしても国の形が出来、俺が退くまでは傀儡政権である必要があるのだ。それならば、俺の動かしやすい人物を持ってくるのが当然だ。


 しかも、俺が喧伝したのだが、国を救った人物として、全国民の9割が指示する人気を誇っているのだ。これを使わない手はない。


「クリスティーは知っているだろう?彼女が次期国王だ。俺がいなくなったあとはひとりで国民たちに向き合わなければならない。支えてやってくれないか。」


「はあ。そうなんですね。私は前国王の悪政も知らない世代なので仲良くできると思うのですが、どうも彼女のほうはそうでもないようです。」


 普段、温和だが高い身長から鋭い視線が送られてくるとすくみ上がるな。


「なぜ彼女何ですか?」


「何を言っているんだクリスティー。」


「わからなければもういいです。とにかく、彼女と一緒にこの国を治めていけばいいのですね。」


「ああ。」


 なんだろう。無茶振りがすぎたか?俺が強権を振るうことで彼女の代には国民からの風当たりは弱まっているはずなのだが・・・。


 旧王宮は本来あった城壁はクーデターの際に壊されてしまったが国王の住まいとしては全く問題はなかったので、後見人としてメルハンデス夫妻、クリスティー、そしてミネルヴァの住まいとして使うこととなった。


 俺はというとダンジョン攻略を進めながら、空間接続の扉を使い、ポセイドロ国と自宅を行き来している。


・・・・・・・


 その日は偶々、ポセイドロ国での政策の説明に夢中になり、遅い時間になったため、王宮に泊まることになった。



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