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第3章-第38話 ようじょ

お読み頂きましてありがとうございます。

 結局、誰も脱落者を出さずに済んだ。


 もしかするとその場でダンジョン攻略を止めたいという攻略者が出てくる可能性もあったのだが、皆それ以上に使命感をもって集まってくれたようだ。


 こういうときは女性のほうが強いのかもしれない。一見強そうな男性でも、メンタルが弱く恐慌を引き起こす人間も居るのだ。


 しかし、これである程度ダンジョン攻略を一通り経験させずに途中で調子の悪い攻略者を交代させるわけには、いかなくなった。


 今の待機組のレベルが決して低いというわけでは無いだろうが、万が一のことを考えると待機組もダンジョンを1階入り口から経験させていったほうがモンスター化を避ける意味では有効であろう。


・・・・・・・


 そこからが長かった。徐々にモンスターが強くなっているのだが、こちらの実力が追いつかないのか、討伐に要する時間が延び始めたのだ。幸いにもダンジョンの通路での戦闘ということもあってか4名の攻略者以上の実力を持つモンスターに出会わないことが救いだった。


 そうでなければ、重傷や死者を出していたに違い無いからだ。


 結局およそ合計1週間の時間をダンジョンに居たことになった。あとは、最終の地下50階のボスを残すのみとなっている。


「どうだ。いけそうか?」


「いざという時に退避できるように、ボス部屋に入ったら、空間連結を繋ぐことを専念して下さい。」


 かなり弱気の策だが、これが今の俺たちの実力というところだろう。この地下50階のモンスターにも苦戦しているのだ。さらに格段上の実力を持つボスを討伐しようというのが無理なのだ。


 しかし、このボスの実力を知らなければ十分に勝てるレベルに到達出来はしない。そこで苦肉の作戦というわけだ。いざ戦ってみて重傷者がひとりでもでれば引く。あとは何度も何度も挑戦すればその頂きには到達出来るはずだ。


・・・・・・・


 クリスティを先頭に、殿は俺だ。ボス部屋に到着した途端、空間連結の作業を始める。およそ1分ほどの時間だ。


「はじめましてかな。」


 どうやら、ボスは幼女の人型をしており、人族の言葉を喋れるようだ。こういうことを近くにいる渚佑子が逐一教えてくれる。


「私はクリスティだ。」


「で「私がアポロディーナする。このチームのリーダーを務めている。」


 彼女たちにはできるだけ、戦闘の開始を引き延ばせと指示をだしている。


「あなたはこのダンジョンの責任者だろうか・・・。このダンジョンが近くに魔獣を引き寄せているのだ。このダンジョンを停止して頂けないだろうか。」


「ほう、面白いことを言う。君たちはこのダンジョンの最深まで話し合いに来たというのか?だが、それはできない相談だ。このダンジョンを停止すれば、この私も停止する事になる。」


 よし、空間連結は終わった。指輪を『偽』に変更する。


 そうモンスターの姿に化けるのだ。


 中心に居る人型のモンスター以外は灰色の狼だったのでそれに化ける。このモンスターは地下40階のボスで、戦闘の際接触しているので問題なく変身できる。


 俺は反対の端にいるクリスティに目配せする。


「では撤退を条件に周囲の小動物をとりこむのを止めて頂けないだろうか。」


 このクリスティの言葉はモンスターの気を引いたようで一気にそちらに注意が向く。


 俺はそのタイミングを逃さず、変身して狼たちに潜り込む。


「ほほう。そんなことも解ってしもうたか。なおさら、生かして帰せんようになった。」


「どうしても、戦うというのか。」


「きまっているよ。そなたたちの実力も解っておる。50階のモンスター相手にあの体たらくでは、話にならんわ!皆のもの、やっておしまい!」


 そのかけ声の下、一斉に狼たちが飛びかかっていく。


 もちろん、俺もそのタイミングでこの幼女の近くに飛び込む。手には例のミスリル鋼とオリハルコン鋼を結ったロープを手に持っている。相手は油断していたのだろう、あっさりと首と身体にロープが巻きついている。


「お前!おのれぇ化けておったのか!こんなもの、こうやって引きちぎってくれるわ!」


 宇宙エレベーター計画でボツになったとはいえ、理論上地球を火星まで引っ張っても切れないと言われているロープなのだ。どんな化け物であっても、引きちぎれるはずもない。


 幼女の首に掛かったロープを俺が持つ姿は、思わず罪悪感に苛まれそうになるが気にする暇もない。多少暴れたがさすがに数人で押さえ込めばなんとかなった。


 首にロープが掛かった状態ではモンスター化できないらしい。俺たちは、そのまま敵の攻撃をかいくぐり、空間連結の扉に到着する。


 これから、ダンジョンの外に連れ出すつもりなのである。


 幼女がこれから、何をしようとしているのか、察したのだろう。腕や足だけ熊のモンスター化して必死に抵抗する。


 俺は、さらにメッツバーガーで使用するつもりで持ってきた食用油をモンスターに被せてやった。それまで、微動だにしなかったモンスターがするすると手繰り寄せることができるようになった。


 それでも必死に抵抗していたが油で滑って全く抵抗できない様子だ。


 そのまま俺たちは、扉の反対側まで連れ込むことができた。


ダンジョンのボスは幼女・・・テンプレすぎ?


本日で応援期間が終了しますので投稿ペースを元の毎週土・日曜日12時に戻します。


申し訳ありませんが引き続き、ご愛読頂けますようお願い申し上げます。

次の更新は7月4日土曜12時です。


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