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第3章-第36話 こんこん

お読み頂きましてありがとうございます。

 昨夜の話を聞いたアポロディーナは、その場にクリスティを正座させると説教を始める。


 延々と続く説教に寝ぼけ眼の俺も目が覚めていく。身支度を済ませ簡単な朝食を攻略者たちに渡し終わって自身の朝食が終わってもコンコンと続いている説教を無理矢理中止させる。


「このバカを庇うおつもりですか?」


「いやそうでは無いが君たちは準備が完了しているのか?」


 基本的に食料は魔法の袋に入れてアポロディーナに渡してあるし、渚佑子もある程度の数『箱』に入っているはずだ。


 しかし、攻略者たちは朝食を終えて居なかったのだ。


「確かに俺が寝坊したのは悪かったし、クリスティを叱るのも解るが、俺たち不在の間リーダー代理のはずの君たちは、何をしていたのかな?」


「そ、それは・・・。」


「もういいから出発しよう。」


 君たちの朝食はこれだとばかりに試作品のパンズを手渡す。こちらの世界で材料確保の目処がたった俺はハンバーガーの試作に掛かっており、王都のいくつかのパン屋に製造を依頼しているのだ。


 こちらのパンはチバラギ国とは違い乳酸ダネを使ったものだったがパンズをチバラギ国で調達するために持ってきたパン種を無駄にするのも何だったため、パン種とレシピを提供して焼いてもらっているのである。


 そこそこの出来にはなってきているみたいだ。


 そこに具があって完成品となるため、パンズだけだと物足りないだろうと思ったが、意外にもニコニコとペロリと頂かれてしまった。


「コレ美味しいです。」


 アポロディーナもクリスティもご満悦だ。俺と渚佑子は顔を見合わせる。


・・・・・・・


 地下25階でなんと、泉が湧いているところにぶつかった。どうやら、聖水と呼ばれる類のものだ。指輪の『鑑』では詳しい成分ばかりで効用とかは解からなかったので渚佑子の『鑑定』スキルに頼ることにした。


 なんと、200ミリリットル飲むと1%のMP回復するものだった。しかも、濃度が薄いせいかポーション酔いという副作用が無いシロモノだったのだ。


 2リットルで10%、コモンのMPポーション並みの効用がある。


 まあ、MP回復のため毎回2リットルの水を飲めば、お腹がタポタポになってしまうだろうが、MPポーションが無いこの世界には、福音と言ってもいい情報だ。


 各チームの後衛の魔法使いの水筒に詰めれるだけ詰めさせる。


 その後m俺は自空間にその水を取り込めるだけ取り込んだ。コンコンと湧き続けているようだが、その水量は僅かであり、再び一杯に溜まるまでには丸1日は掛かりそうだったからだ。


 その後の攻略はさらにスムーズだ。MPは自然回復が前提だったのが、僅かといえど回復する手段を得たのだ。なかなか当たらない弓矢を魔法の杖に持ち替えて行使する機会が増えればスピードアップも頷ける。


 いよいよ、地下30階のボス部屋だ。休憩によるMP回復と少しならとお腹をタポタポにさせながらの聖水によるMP回復で万全な体制は整った。


・・・・・・・


 ここのボスは厄介だ。


 大型の黒い熊を中心に犬の群れが20頭ほど、それだけなら削り取るだけなのだが、犬の群れを全て倒してしまうとさらに20頭現れてしまう。


 さらに熊に再生能力は無いものの、熊のHP回復能力が高いのだ。HPの半分近くを削り取っても、犬が自分の身を犠牲にするのを許してしまえば、20頭からやり直しだ。


 再び熊のHPを削れるまで犬の群れを減らしていると熊のHPは全回復してしまうのだ。


 おそらく攻略方法は犬を数頭残して、熊への攻撃を集中させるべきなのだが、犬の自分の身を犠牲する行動が極端になるのだ。あるときなどは、最後に残った犬が自分の舌を噛み切ってしまったのだ。


 よほど、慎重に攻略する必要があるようだ。


 最後の4頭になったときがチャンスだ。偶々、犬の群れと熊に隙間が出来たときを狙って、犬を覆い隠すようにコンクリート製の壁で犬の群れを隔離したのだ。


 しかも群れの中心には、俺が居て攻撃もしないし、指輪の『癒』を発動させて犬のHP回復し続けたのだ。


 延々とも思える時間を過ごし、ようやくボスの討伐が完了したのか犬の群れが消えうせる。


 俺は自空間にコンクリートの壁を取り込む。自分が作成した空間といえど、狭い空間で敵と一緒にいるのは、気持ちよくなかった。


 例の紐パンがあるとはいえ、冷や汗ものだったのだ。


「勘弁してくださいよ。始めは意図がわからず、パニックを起していましたよ。」


 やはり、そこは経験の差なのか。渚佑子が始めに気付いたという、そこから、皆で一斉攻撃してやっと倒せたそうだ。


「そうですよ。もう勘弁してください。」


 攻略者から口々に非難の声があがっていく。


「すまん。コレしか無いと思ったんだ。」



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