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第3章-第34話 ききいっぱつ

お読み頂きましてありがとうございます。

 確か、ここの壁は・・・。


 ぶっつけ本番だが、とにかく、やってみるしかない!


「トムなにを!」


 俺は、自空間からレイピアを取り出し、行き止まりの壁に向かって切りつける。


 やはり、豆腐を切っているような感触だ。目の前の壁は、まるで短冊のように切込みが入っていく。


 そして、壁を蹴り倒し向こう側に雪崩れ込んでいく。もちろん、後ろから総勢15名のチーム全てがその広い部屋に左右に分かれている。


 俺はそのまま、部屋の中央に居たモンスターベアの足を背後から忍び寄りレイピアで切り落とす。そうこの部屋はボス部屋なのだ。



「GYAAAAAAAAAOOOOOOO!!!!」



 片足を失ったモンスターベアがバランスを崩し、前のめりに倒れていく。さらに返す刀で反対の足も切り払い、モンスターの前から飛びのく。


 ぴちゃ、ぐちゃ・・・。


 前のめりに倒れたモンスターベアが気持ち悪い音を立てながら、足が再生しだしたその瞬間、すぐ後方に迫っていた玉がモンスターベアを押しつぶした。


 これには、再生能力持ちのモンスターベアも耐えられなかったようで、押しつぶされたお腹の周囲が再生しようと蠢いており、実際に再生していったが押しつぶされたお腹が再生できる空間が無かったため、玉が食い込んだままになっている。


 その後は、簡単だ。玉で床に釘付けになって、動けないモンスターベアを皆で切りつけるだけだ。


 およそ30分後、ようやく討伐しおえたモンスターベアが塵のごとく消えうせ。それに呼応するように玉も消えうせる。ボスが死ぬと罠も停止するらしい。


「このモンスターって、普通に討伐したら、倒しきるのに1日以上かかるんじゃ・・・。」


 おそらく、そうなのだろう。これだけの人数が一斉に切りつけて、30分以上掛かったんだ。普通に戦ったら、1日は掛かるだろう。


 さらに相手は再生能力持ちだ。どれだけ、大怪我を負わせても命を奪いきるのは至難の業だったはずだ。


・・・・・・・


「それで、カップサラダがもう終わりって、本当なんです?」


 ボスを倒しきった後のアポロディーナの次のセリフがこれだ。


 罠に掛かってピンチを招いたことも、目の前のボスを倒したことも、カップサラダの前では、どうでも良いことのようだ。


「「「「本当?」」」」


 周囲に居たクリスティを除く、攻略者たちも関心度が高いようで俺に向かって詰め寄ってくる。


「本当だ。」


 その余りの迫力に俺は、正直に吐露する。


「但し、カップサラダのカップは残してあるので、仕入れは任せるよ。」


「あー腹減った。伯爵、トリプルバーガーとヒレカツバーガーとミートソースバーガーとポテトLLサイズとオレンジジュースをおくれ。」


 相変わらず、空気が読めないクリスティだ。


「ダメだ。お前さっき食べたばかりじゃないか。」


 だから、これから寝るんだってば・・・。


「だって、お腹が減ったんだもの。ちょうだいよ。ねーお願い。」


 デカイ女がかわいこブッてお願いするが、断固拒否する。


「ちぇーーっ。」


・・・・・・・


 宝箱を回収して、階下に降りていくと広い部屋に出る。


「なんで、そんな端っこで寝ているの?」


 俺が部屋の隅で1人で寝ていると渚佑子が声を掛けてくる。俺に女性たちがムンムンでかぐしいかおりが立ちこめる部屋の真ん中で一緒に寝ろと?


「男には男の事情というものがあってだなぁ・・・。」


「なにをごちゃごちゃと言っているの、さっさとこっちに来て!」


 俺の生理的な事情も考慮せず、渚佑子が強引に腕をひっぱっていく。


「ほらほら、私の傍だと安心するんでしょ。」


 案の定、周囲にはクリスティを始め、アポロディーナ、渚佑子や他顔見知りの攻略者たちが1箇所に纏まるように寝ている。


 クリスティが開けておいてくれた空間に納まる。


 密着しすぎじゃないか?


 周囲には、マイヤーのソレとは全く違うものが並んでいる。俺は目を瞑り、無理矢理眠ろうとするが、やはり眠れない。


「どうしたんですか?眠れないんですか?」


 どうしても、我慢できなくなった俺は、渚佑子の耳元で囁く。


「ああ、そういうことですか?まあ、それは言いづらいですね。わかりました、私に全て任せておいてください。」


 渚佑子が周囲の女性たちに声を掛けていく、渚佑子と女性が立ち上がり呪文を唱えると女性が気持ちよさそうな顔をする。


 俺は、指輪を『風』にすると部屋の出口から空気が抜けていくように調節する。



 そう俺は、彼女たちの体臭に耐えられなかったのだ。


 マイヤーのように体臭が薄いわけでは無い。どちらかといえばキツイ部類だろう。



 この世界の住人は、毎日お風呂に入る習慣は無いため、気にしない人間が多いようだが、自宅にはシャワーを備え付けてあることもあり周囲の女性たちには、毎日シャワーを浴びてもらっている。


 だが、ここでは皆、激しく汗をかきつつ攻略しているのだ。まさか女性たちに臭いなどと口を裂けても言えないから、部屋の隅で1人で眠ることにしたのだ。


 そこで、渚佑子にお願いして周囲の女性たちに洗浄魔法を掛けてもらったのだ。そして、空気を入れ替えることでなんとか、眠る準備ができた。


「ほら、トムも。」


 俺も渚佑子に洗浄魔法を唱えてもらう。感覚的には、渚佑子の小さな手で優しく洗ってもらっているイメージがあるのだが気の所為だろう。


「さあ、これで大丈夫。さっさと寝ましょう。」


なにが危機一髪だったのでしょうか(笑)

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