表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
191/563

第2章-第25話 きし

お読み頂きましてありがとうございます。

「アポロディーナは凄いな。高確率で正解ルートを引いているぞ。それに魔法陣を見破るのも早い。」


 俺の空間探索魔法とは違い、空間が繋がっていなければ解からない通常の探索魔法しか持たないアポロディーナでは、ダンジョン攻略は難しいはずだ。それを9割以上の確率で正解を引いていったのだ。


「そうじゃの。わしが仕掛けておいた魔法陣をことごとく見破られるとは思わなかったぞ。」


 これは、俺も知らなかったのだがアンド氏が練習が終った練習用ダンジョンにランダムで新しい魔法陣を仕掛けていたのだ。


「そうよ。私なんて、間違って麻痺の魔法陣に踏み入ってしまい。動けない間、ずっとこのじじいに擽られていたんだから。」


 クリスティが身震いするように自分をかき抱いて、アンド氏を睨みつけている。


 アンド氏は嫌らしいことに、双方向の転移魔法陣に良く似た麻痺の魔法陣を多く設置して、そこに掛かった冒険者をイタズラして楽しんでいたのだ。


「それでも、負傷者が出てしまいました。私が頼りないせいなんです。」


 まあ、アポロディーナは20歳、経験値の高い冒険者からすると頼りなく見えてしまうのは仕方がない。だが、リーダーであるアポロディーナに相談せず、自分の勝手な判断で魔法陣に踏み入って怪我を負っているのだ。


 アポロディーナのせいではないと何度言っても、責任を感じずにはいられない性格のようだ。だが、徐々に経験則からアポロディーナに相談したほうが良い結果に繋がるということが見えてきたのだろう。冒険者のほうから、徐々に歩み寄ってくるようになりつつある。


 さらにチームを組んで1週間後、リーダーを交換して再度練習用ダンジョンに挑むようになると、自分たちの考えがどれだけ、あさはかだったのかが、外から観察することで解かるようになったらしい。


 そこかしこでアポロディーナに謝る冒険者の姿や休憩時間も一緒に笑いあっている姿を見かけるようになった。これでもう大丈夫だろう。


 クリスティはクリスティで元々十分なリーダーシップがあったものの、魔法陣に対する知識でアポロディーナに遅れをとっていた。


 そのことがよほど悔しかったのか、夜遅くまでアンド氏に教えを請う姿がよく見られた。こちらも失敗はあるものの、徐々に知識が増えなんとか形になっていたようだ。


・・・・・・・


 各チームの練習中、俺がなにもしなかったわけでは無い。毎朝、クリスティの準備運動に付き合い剣の練習に励んだり、休憩時間に剣が得意な冒険者から、教えてもらったりしていた。


 近衛師団団長との勝負を見ていたものも居たようで、初めは、なかなか引き受けて貰えなかったが、いざ俺が剣に関して低レベルだとわかると真剣に教授してくれるようになった。


 やはり、自分の後方を任せるには心元ないと思ったのだろう。


 今日は、ダンジョン攻略の練習はお休みなのだが、クリスティと幾人かの剣の師匠と一緒に近くの村々に出没するモンスターを討伐する。いわゆる実戦経験を積めということだろう。


 いままで、ライフルに頼った討伐しかやってこなかったせいもあり、剣を使ったものは初めての経験だ。


 俺がそう予定をポロリと零すと渚佑子が食いついてきた。


 よほど鈴江の相手は、嫌らしい。そこでアポロディーナに泣きつき、鈴江の相手を変わってもらい、付いてくることになった。まあ、回復要員にはなるだろう。


 そう思っていたのだが・・・。


 オークの大群をみつけると、即座に爆裂魔法を打ち込んだのは、参った。


「アーーー、すっとした!!」


 よほど鈴江の相手でストレスが溜まっていたらしい。


「おいおい、今日は俺の剣の練習なんだ。解かっているのか?」


「まあいいじゃないですか。これで討伐しやすくなったでしょ。ほら生き残った奴が1頭こちらに向かってきますよ。頑張ってくださいね。」


 そう言って、『フライ』で渚佑子は上空に上がっていく、どうやら、高みの見物としゃれ込むつもりのようだ。


 クリスティや剣の師匠たちも、そこかしこで戦っている。


 俺もこちらに向かってくるオークの猛攻を交わし、剣を振るう。レイピアは使っていない。あれでは切れ味が良すぎて練習にならないため、ショートソードを使用している。


 渚佑子の支援魔法で肉体強化されているため、軽々と剣を振っているが本当は結構重いものだ。


 それをオークに叩き込んでいく。剣の師匠に教えられたことを守りながら、どうすれば彼女たちのように剣の達人になれるか。剣筋を思い出しつつ剣を振っていく。


 一頭目のオークを倒し、二頭目のオークに剣を向けたときだった。


 これまで以上に身体が軽く感じて、思い描いた師匠たちの剣筋や体重の乗せ方などを習得していたのである。たまたま、レベルアップで剣を扱う職業を得られたにしては、あまりにも違いすぎる。


 とにかく、目の前に居るオーク達を倒していく。殆どが一撃で倒せている状況を鑑みるとやはり、剣を扱う職業を得られたようだ。


「どうしたんだ!いったい。」


 剣の師匠たちが近寄ってくる。


 俺はあいさつもそこそこに渚佑子に鑑定を依頼する。


 俺の指輪の『鑑』では、MPが残り何%とかぐらいしか解からない。


 彼女の勇者スキル『鑑定』を使えば詳細な状況が確認できるのだ。


「はい。騎士のLv2まで到達しています。HPも25600まで増えています。」


 渚佑子の話では、剣士の上位レベルが騎士らしい。


いきなり目標達成のその訳は?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【新作】「ガチャを途中で放棄したら異世界転生できませんでした」
https://ncode.syosetu.com/n4553hc/
もよろしくお願いします。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ