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第2章-第24話 れんしゅう

お読み頂きましてありがとうございます。

 その日の午後は、ダンジョン攻略の練習場所作りだ。


 これから攻略するダンジョンの1階から地下5階までの地図を事前に渚佑子の『知識』から作成してくれるように頼んでおいた。


 そこには、複数の『転移』の魔法陣があることが解かっている。


 1つ目は、双方向のモノだ。ダンジョン内の至るところに仕掛けられており、これを利用しなくては階下にいけないことから、かなりダンジョン攻略を難しくしている。


 2つ目は、一方通行のモノだ。これは基本的に踏んではダメなモノだ。多くが大部屋と呼ばれている大量のモンスターが居る部屋に通じており、予備知識無しで踏んでしまうと全滅してしまうのだ。


 しかも、嫌らしいことに5階毎には、この魔法陣を踏んでボス部屋に行かなくては、攻略できないようになっているらしい。


 3つ目は、一定時間ごとに現れたり消えたりするモノだ。下手な時間に踏んでしまうとパーティーが分断されてしまい危機的状況に陥りかねないのである。


 最後は、踏んだら消えるタイプのモノだ。明らかな罠になっており、絶対に踏んではダメな。


 これらの魔法陣は、宝物庫にあったため、アンド氏から設置方法と解除方法の指導をうけながら設置していく。


 他にも、踏むと攻撃されるような罠タイプの魔法陣も宝物庫にある分だけ設置していく。これらは、再利用する価値無しとして、大部分が破棄されていたため、十分な数が集まらなかった。


 それでも、実際に体験するだけでも攻略の際には、より慎重に進められるだろうし、こちらの指示にも従ってくれるようになるはずだ。


 練習用ダンジョンの完成後、軍の兵士をモンスターの代わりに配置していく。双方、模造剣などで戦ってもらいダンジョン内での疲労蓄積を体験してもらうのだ。


 王都の郊外にある岩盤層に作成した。複雑な迷路が6つも並ぶとある種異様だ。


 上空からみれば、ナスカの地上絵かなにかのように不思議な光景が見られただろう。


「ほっほっほー。ようやく出来たのじゃ。わしも体験したいのじゃ。」


「「「「「ダメです!」」」」」


 陛下・・いやアンド氏がとんでもない提案をしてくるが、そこに居た皆が一斉に却下を下す。


「どうしてもか?わしは専門家だぞ、罠に掛かるわけがなかろうが。」


「どうしてもです。」


 皆が総ツッコミをしたにも関わらず、へこたれないアンド氏が喰らいついてくる。流石に国王様をそんな危険なものに挑戦させるわけにはいかない。


 それでも、無理矢理ダンジョンに入ろうとするアンド氏をメルハンデスが幾人かの兵士たちに指示をして強制退場をしてもらった。


 ヤダヤダとごねるアンド氏が兵士たちの手によって退場されていく。この攻防がこれから数日間に渡って続けられるとは、その時の俺には、思いもしなかったのだ。数日後、すべて堪能し終え得意げなアンド氏から言われるまでは・・・。


・・・・・・・


 まず、最初に各攻略チームを連れて、俺が先導していく、罠の魔法陣には、家畜を放り込んで発動させたり、例の紐パンにMPを投入後、自ら入って行って皆を驚かせたりした。


 そして、各魔法陣の絵の特徴を説明していく。攻略個人個人がすべて、これらの魔法陣を完全に覚えてもらう必要があるからだ。ここに無いものは、各チームのリーダーに報告し、指示を仰ぐ。


 各チームのリーダーは、その絵の特徴からどういったタイプの魔法陣なのかを推察もしくは強制発動により調べつつ攻略していく必要があるのだ。


 まあ、俺は指輪の『鑑』で一発で解かるのだが。この方法が使えるのは、鑑定魔法の使える渚佑子くらいでアポロディーナさえもそのレベルに達していないのだ。


 各チームが集合する。女性ばかりで構成されたチームばかりと思っていたら、下僕的な位置の低レベル男性冒険者も存在していることを知った。


 彼らは、生活のために下僕生活を送っている人間とその種の人間に分かれているようで、恍惚とした表情を浮かべながら、奉仕し続ける彼らは、少し異様だ。それでもなんら問題を起こすわけでも無いので放っておくことにした。


 練習初日は、そういう感じで俺が各チームを連れて説明するだけで終った。


 2日目以降は、アポロディーナ、クリスティをリーダーとする2チームが独自に攻略の練習を積んでいく。俺と渚佑子はサポート役だ。時折、失敗して大怪我を負っても、渚佑子が即座に治療に出向く。


 皆、冒険者だから、多少の怪我は申告しない。だが各リーダーがそれぞれ個人の状況を知っておく必要があることをコンコンと説明し、報告を徹底するように、いわゆる報連相を行うのだ。


 MPやHPの回復ポーションが存在しないこの世界でも、怪我の治療薬や解毒剤などは、豊富に存在する。それにその日の終わりには、俺の指輪の『癒』も治癒魔法が使える魔術師などが総出で治療に当たっているのだ。


 2週間もすると指揮系統がスムーズに動くようになり、各個人が魔法陣を間違えることも無くなったため、ようやく、初めてのダンジョン攻略に挑むことになった。


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