第2章-第15話 みょうり
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今回出迎えてくれたのは、セイヤとエトランジュ様と娘と知らない少女だった。
「今日の昼から、トム殿に魔法を教えてくださる教師のマイヤーだ。こんな外見だがマイヤーは王宮専属の筆頭魔術師でもある。」
その少女は俺よりもかなり背が低い。小学生の高学年くらいに見える。
「よろしくお願いします。マイヤーと申します。トム様。これから、一緒に勉強していきましょう。」
マイヤーさんが可愛らしい声で挨拶してくれた。
「こちらこそ、よろしくお願いします。」
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「はい、お土産。元気にしてたかい?」
セイヤにはビールを、エトランジュ様にはデパ地下のスイーツを既に渡してある。娘は何故か、かるかんが大好き、それも餡が入っていないやつが好きなのでそれを買ってきた。
「うん、ありがとう。わあ、かるかんだ。今食べてもいい?」
「いいよ。でも1日1個だぞ。」
「うん、わかってるよ。」
「元気だよ。お姉さんたちは皆優しいし、ママみたいに私を置いてかないし、ここいいわ。ここにずっと居てもいいくらいよ。」
「うん、もう何処にも行かせないよ。パパも1週間に1回は顔を見せるし、寂しくないよね。」
「うん、パパはお仕事頑張ってきて。」
「アキエはいい子だね。」
俺は、娘の頭を撫でると、セイヤに出かけると言いにいった。
「これが今回分である。ビールの空き缶が1個1000G硬貨10枚分になったから、30個30万Gだのう。それから、右軍から街灯が20に自転車が5台。それから王宮は電卓が300個注文があったぞ。」
俺は1000円のソーラー電卓を300個袋から取り出した。
「合計70万Gだ。それから電卓の有用性が解ってきたら、貴族にも使わせるから王宮経由で売ってほしい。これが外国へ流出すると、我が国の優位性が保てなくなるかもしれんからのう。」
「では、この番号を控えて置くといいかもしれないですね。同じ番号は振られないので・・・。もし電卓が別人に渡った場合、流出元を抑えられると思います。」
俺はお金を受け取りながら、電卓の裏に記載されているシリアル番号を指した。
「そうなのか。では、王宮の各部署に渡る前に番号を控えておくよ。」
「店舗は明日の2時から開けますので、右軍に取りに来て頂く様、お願いして頂けますか。」
「おう、言っておくぞ。」
・・・・・・・
王宮を出てスクーターを取りにいくと、スクーターの周りに人だかりができていた。
「すみません。トム様ですよね。」
俺がスクーターからヘルメットを取り出し、スクーターに跨ると、横合いからおずおずと質問してきた。
「はい。そうですが。」
「これが自転車ですか?」
「いえ、これはスクーターという乗り物です。そして、こちらが自転車です。」
袋から自転車を取り出してみせる。とりあえず、今回10台持ってきている。
「これですか、これがアルム大尉が自慢していた乗り物。」
「なんでしたら、乗ってみますか?」
「はい。「「「わたしも。」」」」
スクーターから降り、自転車の乗り方の手本を見せる。
「「「「おーーー!」」」」
「と、こんなものです。」
全員試乗が済み。4人中2人が買うと言い出したので、代金と交換でキーチェーンと自転車を渡した。この世界でも、自転車での出勤風景が見られるようになるのかもしれないな。
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スクーターで、先々週頼んだ金とプラチナのネックレスを取りに行く。
「こんにちわ。」
「あら、こんにちわ。トムさん。今丁度噂してましたのよ。」
「えっ、なにか面白いことでもありました?」
「いえ、先日コレを買わせて頂いたって話をしていてね。」
そこに出てきたのは、目覚まし時計だ。そういえば、店を出したときに、沢山売れたな。こうして使ってもらっているのをみると感慨深いものがあるな。たとえ、100円ショップの商品でも・・・。
「そうですか。毎度ありがとうございます。なにか、不都合でもございましたでしょうか?」
「あらあら、そうじゃないのよ。この店の開店と閉店時刻を相談しててね。いつもは、朝の鐘3つから夕方の鐘2つまでなんだけど、ここ辺りだと鐘の音が聞こえないでしょ。だから、正確な時刻に開けていなかったのよ。でも、これのお陰で正確な時刻に開けられるようになったけど、実際にはどうしようかなってね。」
「そうですね。私の意見としましてはですね。陛下がこのトケイを広めようとなされていますので、急激に広がっていくと思います。1つの考えは、正確な時刻に開店、閉店することで、トケイを推進する陛下側に立つことで信用が得られる。というものです。もう1つは、余りにもキッチリ開店閉店をしてしまうとカドがたつこともあると思われるので、5分前に開店、5分後に閉店されますと若干緩和されるのでは、と思います。」
「それは、いいですね。少しならば、開いているというのは安心かもしれないですね。参考にして良く考えてみますね。」
「あと、品物の受け取りとアルミの件はどうなりましたでしょうか。」
「ごめんなさい。ながながとおしゃべりをしてしまって。」
「いえいえ。勉強になりました。こちらも、聞かれた際の指針にさせていただきます。」
さあ、アルミは幾らなのか?商売になるのか?