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第2章-第21話 ぽせいどろ

お読み頂きましてありがとうございます。

「しかたがないだろう。それに君が言ったんだ。鍛え直してやるって。」


 あれ、こき使うだっけ。意味合いはおなじだろう。


 昨夜、1日かけた買い物がすみ、自宅に帰ってくるとそれまで目立たなかったせいか鈴江が夕食を作ると言い出したのだ。


 別れる前、なかなか良かったはずの料理の腕前は若返って悲惨なものになっていた。それなりに女子力を磨いていたのだな。


 どうして初心者にも出来るはずのハンバーガーやフライドポテトでこんなにめちゃめちゃなものができるのかということになっていたのだ。


 渚佑子が手をだしてようやく食べれるものが出来たのだが、その時にケチョンケチョンにこき下ろし、いつもまにやら渚佑子が鈴江に教えるという流れになったのだ。


 翌日、『移動』でポセイドロ国に向かうにあたり、彼女たち2人はお留守番になったというわけだ。


 なぜか昨日から泊まり込んでいるクリスティとアポロディーナがパートナーだ。


 昨日は昨日でクリスティがコーディネートしたベッドをサプライズで自空間から取り出したら、真っ赤な顔をして、こっちが壊れるかと思うくらい背中を叩くし散々な目にあっている。


 だが、アポロディーナが行くなら、絶対行きたいと言い出したため、この2人と『移動』することになったのだ。


「じゃあ行ってきます。」


 各国の大使には、この時間に近くに『移動』で現れるからと言い含めてある。


 今日向かうのは海辺の街並みが美しいと定評のあるポセイドロ国だ。


「きれい。」


 目の前に現れた光景は、その美しい街並みのなかでもひときわ綺麗なものだった。大使がわざわざ、そういうところを選んで居てくれたようだ。


「だろ!」


 クリスティはこの国の出身だという。少し自慢げだ。


「これは素晴らしい!」


 抜けるような青い空に白い雲、エメラルドブルーの海、そしてオレンジと白で統一された街並み。


 まるで地中海のようだが、あそこよりも街並みが綺麗だし、何よりも海が美しかった。


「気に入って頂けましたかな。トム殿、アポロディーナさん、そしてこちらは?」


 ポセイドロ国の大使が近づいてくる。確か名前は・・・。


「討伐隊隊長のクリスティさんです。アントニー殿。女性ながらもBクラスの実力派冒険者です。」


 そう俺が紹介すると何か不思議そうな顔を一瞬した後、にこやかな笑顔に戻る。


「これはこれは、よろしくお願いしますぞ!」


 そう言って順番に握手をしていく。今回、ポセイドロ国にお邪魔したのは、各国の被害の実情を掴みつつ友好関係を結ぶのが目的だ。


 日替わりでハアデス国、デメテアル国、セレスティア国を巡っていく予定だ。


 さらには拠点を設置して、連絡を密に取っていく。


「それでは、御案内しましょう。」


 まずは拠点づくりだ。


 できれば、安全で冒険者ギルドに近いところと希望は言ってある。


 生活をするつもりはないので狭いところでも構わない。自宅兼店舗と拠点間に空間を歪ませた通路を作るからだ。さらには電源と内線電話も引くことで緊急時にも連絡が取れるようにする。


 もともとメッツバーガーの裏にいくつかに区切った倉庫を設けてあり、本来は商業都市やエルフの里を直結するつもりだったのだ。


 あとは、信用のおける人物を冒険者ギルドから取次役として派遣してもらうだけだ。


 その話も陛下・・・じゃなかったアンド氏と相談してギルドの連絡手段として使用を許可する代わりに無償で派遣してくれることになっているのだ。


 もちろん、モノの行き来ができることは、内緒だ。


 最終的には、自宅兼店舗と拠点間で扉一枚の大きさまでのモノだが、行き来させることで、流通小売業へと発展させようと思っているのだ。


 例えば、このポセイドロ国で仕入れた塩はどの国に持っていっても売れるだろうし、海産物を鮮度を落とさずに流通させることができる。


 そうして、案内された拠点は商店を改造したようで、机や椅子、仮眠施設まで至れり尽くせりになっており、その店の奥にアルテミス国への通路の為の扉を設置し、内線電話を引くだけで終わった。


・・・・・・・


「酷い!こんなことって・・・。」


 思わずアポロディーナが上擦った声を上げてしまうくらい酷い状態だった。


 あるダンジョンの近くの村らしいのだが、村人たちは殆ど全滅したらしく、辺りには散逸した骨ばかりが落ちている有り様だった。


「・・・・・・・・。そんな・・・・。」


「どうした?クリスティ。」


 これまで、見たこともないくらい絶望的な表情を浮かべるクリスティ。


「誰か知り合いが住んでいたのか?」


 だがクリスティは俺たちの言葉が全く耳にはいっていないようで呆然と立ち尽くすばかりだった。


 ようやく落ち着いてきたクリスティから聞き出したところによるとここには育ての親が住んでいたそうだ。


 クリスティは今にも飛び出して行きたそうだったがなんとかこらえている様子だった。


 近くにいた兵士たちに聞いても首を振るばかりで要領を得ない言葉ばかりが返ってくる有り様でもちろん、大使にも詳しいことは解らないと言うことだった。






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