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第2章-第18話 そうしつ

お読み頂きましてありがとうございます。

「但し、アイツの相手は、渚佑子、君にお願いしたい。」


 視界から消えてほしいというほどではないにしろ。存在するだけで何を言い出してしまうか解からないのだ。


 本当は異世界に無理矢理連れてこられて、優しい言葉でも掛けてやらなきゃいけないのだろうけど・・・自分の中の何かが邪魔をする気がする。


「ええ、扱き使ってやりますとも。もちろんです。」


 渚佑子が意地の悪い笑みを浮かべる。この子ならあいつとも対等に渡り合えるかもしれないな。


 2人で、もう1つのベッドルームに行き、自空間から取り出したアイツの遺体をベッドの上に置く。


 渚佑子は、例の呪文を長々と唱え始める。土色をしていたあいつの身体に血色が戻り始める。しばらくすると胸が上下に動き出した。


 さらに待つところ、5分ほど。


 ようやく、あいつの目が見開かれる。


「ここは、どこ?あなたは、だあれ?」


 今アイツの目に映っているのは、俺のはずだ。


 まさか記憶障害かなにかだろうか?


「何をボケた振りをしてやがる。俺は、山田取無。お前の元夫だ。忘れたとは、言わせんぞ!」


 俺は思わず強い口調で詰め寄った。


「元夫?結婚?離婚?そっちこそ何を言ってるのよ。私は18歳よ、そんな訳あるはずないでしょ。」


 18歳????


 俺は、思わず呆然となり、渚佑子に視線を移す。


「あっ。・・・もしかして・・・。」


「なんだ?なにかわかったのか?」


「この人の年齢って、33歳だった?」


「だから、18だって言ってるでしょ。」


「貴女は、ちょっと黙ってて!」


 元妻は、渚佑子の勢いに押されて黙り込む。


「確か、そんな年だったな。」


 7つ年下だったはずだ。


 確かアイツが25歳の時、勤めていた会社の元上司の勧めでお見合いをして、すぐ結婚して、すぐ子供が生まれて、アキエは5歳だ・・・うんうん、合っている・・・はずだ。


「そうですか。それでは、計算が合ってしまいますね。」


「何がだ?何の計算だ?」


 何のことを渚佑子が言っているのか・・・・ま・・まさか・・・。


 確か死後数分で1日分の記憶が無くなると聞いた覚えがあるな。


 例えば5分いや4分で1日とすると1時間だと15日だ。


 誤差があったとしても、ソレくらい記憶が失われるなら、アイツが誘拐された時期に重なるから、ちょうどいいと思ったんだ。


 だが、向こうの時間の1時間はこちらの360倍・・・360時間だ。


 だとすると15日間失われるはずだった記憶は、およそ15年分失われたと・・・なるのか?


 33歳 ひく 15年 で 18歳か・・・。


 なるほど、ぴったりだ。


 そこまで頭の中で計算して、渚佑子の顔を見て頷いた。


「すみません。まさか・・・まさか・・・こんなことになるなんて・・・。」


 渚佑子が今にも泣き出しそうな顔を見せる。


「大丈夫だ。問題ないさ。」


 俺は、渚佑子の頭を撫でながら告げる。


「でも、アキエちゃんが・・・アキエちゃんが・・・。」


 そうだな。


 ママの記憶からアキエのことがすっぽり抜け落ちたことを知ったら・・・。


 まあ、訳あって記憶喪失になっていることにしよう。


 アキエのことだ、自分の心配よりもママやパパのことを心配してくれるに違いない。あの子は、そういう子供だからな。


「大丈夫、大丈夫。問題ない。問題ない。」


「でも・・・。」


「不憫だなんて思うな。今、あの子は幸せなはずなんだ!」


 きっと、今頃は、侍女たちに寝かしつけられて、幸せそうな寝顔をみせているに違いない。


「もう、放っておかないでよ。ここは、どこ・・・そうだわ。わたくしの資産管財人をしていた叔父夫婦が夜逃げしたと聞いて飛んできたのよ。」


 こいつって、どこかのお嬢だったのか。


 結婚するとき、天涯孤独の身の上という話だったし、食いつぶしたのかもしれないけど貯金もそれほど無かったはずだ。


 確か、旧姓は、豪徳寺だったはずだ。


 豪徳寺・・豪徳寺・・・・・ん・どこかで聞いたな。


 それも最近だ。確かZiphoneに政府の整理機構が持ち込んできた案件の元経営者の苗字が豪徳寺だったはずだ。


 その企業は数十年前には、日本で1番の流通業でJリークのオーナーだったこともある大きな会社だったはずだ。


 Ziphoneグループにも流通小売業も存在するのだが、それほど大きいわけではない。


 スケールメリットも無くノウハウもそれほど存在しないから、断ろうと思っていたのだが、無理矢理押し付けられそうになっているのだ。


「何よ。何か言ってよ。ねぇ。」


 次第に不安になってきたのだろう。


 全く見知らぬ場所で見知らぬ人間に取り囲まれて白い視線を向けられているのだ。


 流石にアイツであろうとも限界なのかもしれない。


 まずは、真実を告げるべきだろう。


「ほら、これが君だ。今の君なんだ。」


 俺は、元妻の豪徳寺鈴江を鏡の前に立たせる。


「これが私・・・。」


 鈴江は、鏡に自身を映したままで顔に手をやり、頬を触ったりしている。


「キャー!」


 鈴江は、悲鳴を上げて気絶した。


 咄嗟に頭をぶつけないように支えられたのは、奇跡だったかも、それほど大きな声の悲鳴だったのだ。


一応名前ついてましたコノ人。

登場回数は多いのに作者も忘れるほど名前がでてこない人物って・・・(笑)


なろうコンのタイアップイラストコンテストにエトランジュさまが・・・。

みなさんもあの大きな胸に癒されて下さいね(笑)

http://crafe.crowdgate.co.jp/

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