第2章-第16話 えあこんのまりょく
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「渚佑子は、メッツバーガーのバイトには、入ったことは無かったよな。」
彼女には、貴金属買取ショップ以外では100円ショップのバイトぐらいだったのはずだ。
「ですが、バーガーの機器くらいなら扱えます。何れバイトに入ると思い、練習させてもらいましたから。」
あちゃー、身近にも居たかー。
最近、うちの会社でこういうバイトが多くて困っているのだ。
うちの会社では、多くの職種ができると自動的に時給が上がる仕組みになっているせいで、各店に頼み込み、無給で仕事を覚えようとする人間が多いのだ。
一見、WIN-WINの関係のようだが、歴とした法律違反になる。
発覚すれば会社にとって、何もいいことは無い。
イメージダウンもいいところだ。
だが、この場合は、助かったというべきなのだろう。
思わず苦い顔になってしまったであろう顔を引き締める。
あとでキチンと説明すれば解かってくれるだろう。
そう、1階には王宮職員向けのメッツバーガー店があるのだ。
オープニングのために何千食もの材料まで自空間においてあるし、セイヤや上級王宮職員向けのデモンストレーション用に店舗内の冷蔵庫には100食分ほどの材料も入れた状態になっている。
「じゃあ、すまんが、皆に振舞ってくれるか?」
俺も手伝おうとするが止められる。
できるまでの間に建物の説明をしろということだった。
確かにそのほうが効率的だ。
カードリーダーにミスリル製カードを接触させ、自動ドアが開くと階段が現れる。
さらに階段を上がるともう1つカードリーダー付きの自動ドアが現れる。
最近はどこの会社にも導入されているセキュリティシステムだが、以前、占領された王宮を攻略した際、簡単に攻略できすぎることから、いくつかのトラップを仕掛けている。
これもその1つで両方の自動ドアは同時に開き駆け上がれば、ギリギリ通り抜けられるように設計されている。
だから、カードを持つ人間が後ろにカードを持たない人間を引き連れる場合、分断が図れるような仕組みになっている。
但し、この世界では必要ないのでこのセキュリティは動作しないようになっているが・・・。
2階に上がると管理職クラスの個室がいくつかと大部屋が2つ現れる。
1つは、いまや花形職員となった税務担当部署の部屋で、もう1つが内政の予算担当部署の部屋になる予定だったところだ。
ここをダンジョン攻略チームの宿舎にするつもりだ。
流石にというか、やはりというか、皆、一瞬にしてエアコンの魔力に取り付かれたようで、思い思いの部屋でエアコンのリモコンを操作しながら、欲しい欲しいと連発していた。
・・・・・・・
1階に降りるとポテトの揚げる臭いが漂ってきた。
最近のフライヤーは完全に自動化されており、数人のお客さま相手なら、1人でも十分対応できる。
ハンバーガーを振舞って解散しようとしたところ、アンド氏が冒険者ギルドを案内してくれるという。
「伯爵様の軍門に下るつもりは無い。覚えといてくれ!」
いつのまに集まったのか。
Aクラス、Bクラスの連中が次々と現れては、こんなふうに言っていく。
アポロディーナやメルハンデスが慌てているなか、俺は、平然と受け流す。
この世界の冒険者のAクラス、Bクラスの連中は、プライドが高く、それぞれが独自のルールによって構成されるチームであるため、誰かに協力しようという意志は少ないらしい。
「あらあら、皆、お子様ね。うちのチームは協力させてもらうわ。」
唯一Bクラスのブラッディエンジェルというチームが参加してくれることになる。
「リーダーのクリスティよ。よろしくね。」
幸子並に豊満な肉体を持ちながら身体の大きさは少なく見積もっても190センチはある女性が握手を求めてきた。
俺は平然さを装いながら、しっかりと握手してすぐ放そうとしたのだが、相手が放してくれない。
やはり、あの肉体は筋肉ようだ。
「何、気に入らないわね。面白い反応を示すのね。」
俺が目の前にある豊満な肉体から僅かに視線をずらしてみていたのがいけなかったのか。
そんなふうに言ってくる。
初対面の女性の身体をガン見しないことなんてごく普通のことだと認識していたのだが、この世界では違うらしい。
見るのはタダだといわんばかりに彼女の胸やお尻あたりに視線が集中している。
「これは、私がもーらった。」
いきなり、掴んでいた腕を引っ張られ、彼女の胸に抱え込まれる。
目の前に迫った豊満な胸から無理矢理視線を外す。
口元がニヤけそうだった顔が強張る。
か、硬い。目の前のソレは予想した弾力はなく、筋肉そのものの硬さだったのだ。
「ダメよ!」
アポロディーナに反対の手を捕まえられ、目の前の迫力ボディに?マークだらけだった頭を覚醒してくれる。
「何よ。ディーナも欲しいの?欲しいならそうおっしゃい!」
愛称で呼ぶところをみると彼女たちは親しいらしい。
「いえ・・・その・・・。」
真っ赤になって俯いてしまう。
はっきりと肯定されなかったことに、やはりと思いながらもがっかりしていることに愕然とする。
メルハンデスを酷い目に遭わせたのに、目の前の女性に好かれたかったらしい。
しばらく奥さんたちと離れなければいけない状況に心が付いていけない状態らしい。
ここ最近、身近に女性が居なかったことなんて無かったから、甘えていたらしい。
俺は頭を振りながら、アポロディーナから離れる。
そのあと、わらわらっと寄ってきた、女性ばかりで構成されたCクラスのチームが3チーム参加してくれることになった。
皆、クリスティのように筋肉質で高身長の女性ばかりだ。
俺は顔をひきつらせないように出来るだけ笑顔を向けて握手をしていく。
「可愛いわ。マスコットにしたい!」
一瞬、不穏なセリフが耳を掠めるが無視だ、無視。
冒険者ギルド内部は1階は居酒屋風になっており、2階が図書館のように冒険者に必要な知識を提供する場になっているという。
アンド氏によれば、居酒屋では料理のお持ち帰りもできるそうで、手が空いていれば出前もしてくれるそうだ。
自宅の3階には、篭城可能なように簡単な調理室も備え付けられているのだが、自炊ばかりでは、味気ない。
今度利用してみようかな。
なろうコンの応援期間が開始されました。
なろうコンのHPの応援ページ、少し楽しみです。
http://www.wtrpg9.com/novel/
ハーレムな討伐チームになりそうです(笑)




