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第1章-第13話 かべ

お読み頂きましてありがとうございます。

 多少ボロな格好とぼさぼさの頭、そして、ヒゲをたくわえているくらいでほとんど、変わらない姿なのにどうしてわからないのだろう。


「アンド殿は、国王陛下のまたいとこなのだよ。」


 俺が不思議そうな顔をしていたのが解かったのだろう。


 メルハンデスは、そう付け加える。


 そういう設定らしかった。


 俺は指輪の『鑑』のおかげで、国王本人だと解かっているが、メルハンデス以外の他の人々は、それを当然として受け止めているようだった。


 まあ、雲の上の存在である国王が影の薄い存在になってしまうのは、仕方がないのかもしれない。


 しかも、こちらのキャラは、色が濃そうなのだ。


 同じ人間だとは、誰も想像をしていないに違いない。


 キャラ立ても良いところなのかも、魔法陣研究の第一人者となれば、誰も傷つけられないだろうし・・・。


「一流の魔術師を召喚したと聞いている。そういう戦い方を期待しているのじゃ。」


 陛下も俺には、バレていると解かっているらしく。


 ウインクまでしてくる始末だ。


 いや、だれも不思議そうにしていないところを見るとそういうキャラを作っているらしい。



 陛下は、どうやら俺のハードルを下げてくれる気らしい。


 これで、魔法を使ったとしても卑怯者呼ばわりはされなくて済むみたいだ。


 それならば、まだ戦いようもあるというものだ。



・・・・・・・



 戦いは、魔術師対騎士ということで、訓練所の端と端に立って行われることになった。


 相手は、鎧装束に盾に長剣というオーソドックなスタイルだ。


 それに対して、何も装備を付けないのもおかしいと思い、フェンシング用の装備を自空間から取り出して着る。


 周囲がざわついたところを見ると、こういう鎧はこの世界には無いらしい。


 もちろん、オリハルコンとミスリルを繊維にしたもので、視界は十分にある。


 念のために紐パンにもMPを投入しておく。


 剣は、もちろん、特製のレイピアだ。


 オリハルコン鋼を最高の硬度で鍛え上げてあり、厚さ10センチの鋼鉄とぶつけあっても折れることは無い、1万回の耐久試験に合格しているものだ。


 しかも、刃の部分では、チバラギ製のオリハルコンを使用した鎧をまるで豆腐を切るように切り裂いてしまうモノになっている。


「始め!」


 審判役のメルハンデスが声を張り上げる。


 さて、少し踊ってもらうとしますか。


『ファイアウォール』


 俺は予定通り、火の壁を作る。


 あまり、火属性の魔法は得意じゃないんだが・・・。


 さらに魔法を唱え続ける。


 相手は、思った通り楽々と火の壁を通り抜けてくる。


 どうやら、火耐性の魔道具でも持っているらしい。


 そこらへんは、怠りは無いようだ。


 火の壁を通り抜けてもまた、火の壁が続く、延々と火の壁が続いている。


 そこでニヤっと嫌な笑顔を見せたプラントン。


 勢いをつけて、ドンドンと火の壁を潜りぬけてくる。


 そして、俺へあと1メートルという距離に迫った火の壁のその向こうにある本物の壁にぶつかっていく。


 この壁は、セイヤの王宮と自空間に入れた建物を繋ぐときに使おうと思い入れておいたコンクリート製だ。


 しっかりと鉄筋も入っており、ちょっとやそっとでは壊れないが念のために三枚を逆三角形に配置する。


 おそらく、俺を逃がさないように彼のトップスピードの突入速度だったのだろう。


「ギャ!」


 という叫び声と共に、ドーンと凄い大きな音をたててぶつかっていく。


 俺は、壁が倒れてきても困らないように『移動』で彼が試合開始時に立っていた位置に移動している。


 すべての火の壁が消えると彼がコンクリート製の壁の前で大の字になって寝ていた。


 しかも、長時間火の壁の中にいたせいで、火耐性の魔道具の限界を超えたらしく、彼が自慢そうにかきあげていた、銀髪の髪がぷすぷすと焦げているし、火傷も酷いみたいだ。


 メルハンデスが近くにいた団員に様子を見に行かせる。


 もちろん、こんなことで諦めるような男ではないようだ。


「ふ・・ふざけんな!」


 頭を振りながら立ち上がる。


 流石に鍛え上げた肉体は、なんとか持ちこたえたようだった。


 さらに、彼の前に火の壁を作り上げる。


 今度は、いくら待っても壁を潜りぬけてこない。


 流石に同じ手を喰らうつもりは無いようだ。


 俺は、彼の後方にあるコンクリート製の壁の天辺部分を『遠隔操作』で押す。


 訓練所内にズ・ズーンと大きな地響きを立てて、高さ10メートルはある壁が倒れる。


 目の前の火の壁が消えると逃げ遅れ、足をコンクリートの壁に挟まれもがいている彼の姿が現れた。


 さすがに今度は各国大使の失笑を買っている。


 俺は、スタスタと彼の傍まで歩いていって、レイピアを彼の首筋に突きつける。


「マ・・マイッタ!」


 俺は、その言葉を聞いて、コンクリートの壁を自空間に入れる。


 そのときだった。


「キャー!」


 アポロディーナの悲鳴が上がる。


 彼は、卑怯にも負けを認めたにも関わらず、手に持った剣を振り回して来たのだ。


 ガキィーン。


 彼の剣は、例の紐パンの守備エリアで止まった。


 俺は、手にしたレイピアを振るい、刃の部分でその長剣を切り刻んでいくと、あっと言う間に、柄の部分だけを残すところとなった。


 再度、俺は、レイピアを彼の首筋に当てる。


「死んでみるか?」


 俺は、少し凄みを効かせた声で脅かした。


「ひっ。」


 足も効かないそのプラントン男爵は、四つんばいのまま、あわてて逃げ出していった。


どうでしたか?

壁を使った戦い・・・。


このレイピアを使えば、普通に戦っても勝てそうですが・・・。

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