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第5章-第67話 だまされた?

お読み頂きましてありがとうございます。

「太陽光発電で王宮にエアコンですか?」


 王宮に戻るとセイヤから相談を受けた。ここ数ヶ月後宮でエアコンの洗礼を受けたことで我慢できなくなったらしい。さらに商業都市に持ち込んだ小学校のエアコン設備を見て、どうしても欲しくなったようだ。


「ああその通りだ。」


「あれって夏場はいいですが、冬場はほとんど効かないですよ。」


 あの小学校には、太陽光発電と対になった蓄電装置が備え付けられているのだが、せいぜい昼間に発電した電力を夜使う程度しか想定しておらず、雨や曇りの日が多い冬場の使用を想定していないのだ。


 ただあの小学校には、近くの焼却場の廃熱を利用した床暖房装置が備え付けられていたため、温泉水を利用した設備に転換して乗り切るつもりなのだ。


 エアコンは冬場はあくまで補助的役割のつもりだったのだが、最近考えが替わりつつある。それは地熱バイナリー発電装置の実証実験が完了し、販売されだしたからだ。


 この装置があれば、冬場でも十分にエアコンを活用できる。販売元の六菱重工との繋がりを得たことでこの装置の説明を聞くと温泉水さえ確保できれば簡単に発電可能だという。


 商業都市にこの装置を2台購入し、1台を小学校での実働に設置し、もう1台で実証実験を行うつもりなのだ。それは、この世界では一般的な日常魔法である『お湯出し』を利用した発電だ。


 この『お湯出し』かなり熱いお湯も出せるらしい。火魔法が得意な魔術師ならば1日中使っても大したMPを使用しないという。


「そうなのか?」


 俺はセイヤに詳しい内容を説明していく。但し、地熱バイナリー発電装置を使った実証実験はまだ内緒だ。ある程度目途がついてからでないと難しいからだ。


「うむ。それならば暖房は執務室だけでよい。」


 余程、エアコンの魅力に取り憑かれたようだ。



・・・・・・・



「えっ。」


 俺は、ウィルソン伯爵の姿で女王陛下から勲章を授与されていたはずだった。


 なのに事前に聞いていた文言と途中から違う言葉が陛下の口から飛び出してしたのだ。


 勲章の授与からアルドバラン公爵家の襲爵の儀に移っていたのだ。


 予定では、これからウィルソン伯爵を不幸な事故が襲い、伯爵家を分家筋に譲り、公爵が亡くなった後自動的に受け継がれるはずだったのだ。


 道理で英国王室の儀式の際のマナーと称していろんな儀式のビデオで事前に勉強させられたわけだ。


 そもそも、答えはYESしか用意されていないのだ。その通り儀式を進めるしかない。


「この公爵家を受け取ってくれぬか?」


 儀式が終ったあと別室に居た元公爵を訪ねた。


「分家筋の方々が居られるのでしょう?こんな縁もゆかりも無い人間に渡してもいいほど軽いものなのですか?」


「君を気に入ったんだ。気に入らない親戚に渡すくらいなら、ナショナルトラストに寄付してしまうわ。君が気に入った人間に継がせればいい。」


「ですが・・・。」


「それにこうすれば、わしが死ぬまでウィルソンの顔を見続けられるしな。すまんが、もうしばらく、この関係を続けさせてくれないだろうか。」



・・・・・・・


「それで受け取ったのですね。貴方はそう言う人ですから。」


「すまん。さつき。」


 確実にさつきと過ごす時間が減ってしまいそうなのだ。それでなくても異世界での辺境伯としての人生でかなりの時間を共にできなくなっている。その上、ウィルソン伯爵としての人生なのだ。最低限度の関わりになるとしても月に数日は確実に取られるのだ。


「謝ることじゃありませんわ。私だってその好意に甘えている人間の1人ですもの。それよりも、アノ人のことは、整理つきました?」


「ああまあな。」


「ダメよ。そんな顔をしているようじゃ。このところ忙しかったのですもの、少しお休み頂いたほうがよろしいのじゃありません?」


「だが、会社のこともあるし、君との結婚式のこともある。」


 会社は上手く回っているが、それはそれで寂しい気もする。それにさつきとの結婚式は、もう来月に迫っているのだ。


「結婚式は、全て任せておいてください。当日はピエロをお願いするかもしれませんが・・・。」


「怖いな。」


 元妻との結婚式は、共に身内が居なかったせいもあって、教会で式を挙げただけだった。披露宴もごく身近な人たちに祝ってもらっただけだ。


「会社のほうも順調ですわよ。至急決済を仰がなければいけないようなこともありません。」


「だが、面接が1件あっただろう。あれは重要だ。」


「あの中卒の彼女ですか?えらく肩入れしてますよね。何かあるんですか?」


「まあな。詳しいことはまだ言えないが、他の人間には、任せておけない。」


「わかりました。では、面接が済み次第、休暇に入ってください。決して仕事をしてはダメですからね。陛下にも根回しは済んでいますので向こうに行っても追い返されるだけですからね。」


 あれっ。アキエのところもダメらしい。ハワイにでも行って、ボーっとするか。


これで第2節「貴族編」が終わりです。


第3節は未完なため、第2節を総括して評価、感想をお待ちしております。


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