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第5章-第65話 きんきゅうじたい

お読み頂きましてありがとうございます。

「事前に調査した情報と食い違う。おそらく、組織の総督府が置かれている場所の地下だぞ。」


 凄いな。フランシス軍曹はあれだけ地下をぐるぐると走り回っていて地上との位置関係が解かるらしい。


「ああ、あいつが居るのはこの先で間違いない。どうする撤退するか?敵の殲滅は今回の任務から外れてしまうだろ。」


「お前本気なのか?この機会を逃すと殺されてしまうかもしれないんだぞ。少なくとも1人は人質が居るんだ。行くに決っている。」


「わかった。では隊長として命じよう。」


 俺は部隊全員に届くように無線で指示を出す。


『突入開始後フランシス軍曹以外の隊員はここで5分待機、その後突入せよ!』


『『『『『イエッサー。』』』』』


「軍曹、俺の腰に手を回せ。俺の半径1M以内が安全地帯だ。」


 例のパンツの範囲ならば安全なはずだ。


「嫌だね。反対だろ俺が前だ。指揮官が前に立つんじゃない!!それに本当に撃てるのか。目の前の人間を。まさか、向こうが撃って来るまで待つ気じゃないだろうな。」


「・・・・多分、大丈夫だと思うが・・・わからん。」


 これまでで先に攻撃したことなどなかったからな。専守防衛の思想が染み付いているのかもしれんが・・・。


「これだから・・・実戦を積んでない奴は。新兵と一緒じゃねえか。・・・できるだけで構わない。案内だけ頼む。」



・・・・・・・



 意外にも向かってくる敵に対して先制攻撃をすることに躊躇いは無かった。撃ちあいになってしまえばそんなことを考える余裕など何処にも無い。


『ファイアボール』


 ときおり、目指す場所以外へと続く扉を壊すために魔法を唱える余裕も出てきた。流石にトンネルが崩壊する可能性のある空間魔法は使えなかったが・・・。


 各部屋に居た敵を殲滅していく。おそらくほとんど死んでいると思うがもし、息があったとしても5分後に突入してくる隊員に止めをさされるに違いない。


「この部屋か?」


「ああ、この部屋にあいつが居る。」


 その部屋には、1人の男と1人の女が居た。女は元妻に間違いはない。


 しかし、もう1人の男が問題だった。この過激派組織の指導者ではないが、この組織の前身であるISOLの指導者バグアーディーの息子であり、数年前に解散したアルタイーダを再組織化した人物だ。


 その人物の情報にはテロ組織の指導者の中でも最大の報償金がアメリカから出されるといわれている人物だったからだ。


「ありゃ、随分な大物が引っ掛かったな。どうする隊長。殺すか?」


 しかも、とても人質という雰囲気ではない。元妻はしなだれかかり、男は元妻の腰を引き寄せているように見える。まるで情事の後の姿のようだ。


「なんだ、その女は!」


「ああ、我々の思想に賛同して改宗までしてくれたんでな。4人目の妻にした。まだ発表していないがな。」


 いくら殺されないためとはいえ、そこまでするか?今度は油田のオーナーからテロ組織の影のドンに乗り換えているようだ。


「まあいい。他の人質は何処だ。」


「俺が言うとでも?」


 敵を俺たち2人だけだと甘くみたのか、元妻を盾にして銃を構えている。彼の視線からしてどこかに脱出孔があるようだ。


 バン。


「あぅ。」「きゃっ。」


 俺は正確に銃を持つ手を撃ち抜く。


 元妻から離れたところで動けないように両手、両足をぶち抜いておく。


「軍曹。自白剤だ。」


「おうよ。」


 フランシス軍曹が自白剤を打ち情報を聞き出す。俺は傍でその情報を録音していく。なんと、9.11テロ事件を凌駕する計画を練っていたらしい。アメリカ・イギリス・ドイツ・フランス・ロシアの首都に爆弾を投下するというものだった。


 この男は、全ての計画を把握しなくては気が済まない主義の人間のようで事細かな情報まで引き出せた。


 コレは緊急事態だ。


「軍曹。人質の場所は把握したな。後は頼む。この男と情報を大統領に届けてくる。」


 ホワイトハウスには、俺が移動可能なように常に空いている空間が用意されている。俺は男とICレコーダーを持って『移動』する。


「すまん緊急事態だ。大統領に取り次ぎをお願いする。それから警護官を数名手配を。」


 俺は姿を元に戻し、顔見知りの職員に頼む。


 数分のちに来た警護官に男を引き渡した。


 男の顔を見た警護官達はその重大性に緊張が走ったようだが、すでに自白剤を使用して情報を引き出した後だと告げると幾分ホッとした顔で男を引き連れていった。



・・・・・・・



「人質救出作戦は聞いていたがお手柄だったようだな。」


 大統領執務室に入っていくと激励して頂いた。


「顔色も良くなってきているみたいですね。」


 術後、何度か連絡していたが直接お会いするのは手術前以来のことだ。前にお会いしたときは、酷い顔色だと思ったが今は若干の赤みもあり健康そうだ。


「おかげさまでな。それよりも情報が聞きたい。」


 俺はICレコーダーを再生し、そのまま手渡す。


「わかった。直ぐ手配する。」


「それでお願いしたいことが・・・。」


 俺は元妻が改宗し、あの男の妻となっていたことを説明し、それが世間に漏れないようお願いした。


 そんなことが発覚した日には、どんな火の粉が降りかかるかわかったものでは無いからだ。


 いっそのことこのまま死んだことにして、異世界に連れていったほうがいいかもしれない。


さすがラスボス・・・やってくれます。

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